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ホイールスペーサーとは?ハブリングとの違いや車検は通るのかなど解説!
目次
ホイールスペーサーとは?
ハブに装着するリング状の部品
ホイールスペーサーは足回りで使われるリング状の部品の1つです。ハブボルトを通す穴が設けられていて、ブレーキディスク中央部分へ装着して使用します。
ブレーキディスクが装着されている時、ハブ全体(ハブユニット)はほぼ覆いかぶされた状態で、センターハブやハブナットだけが目視できます。つまり、ホイールスペーサーは厳密にはブレーキディスクに接しているわけですが、該当部分とハブユニットの径がほとんど一致しているので、実質「ハブに取り付けられている」とも考えられます。
ハブに装着するリング状の部品と言えばハブリングもありますが、ハブリングとホイールスペーサーは役割が全く異なるものです。
ホイールスペーサーの役割
ホイールスペーサーの役割は大きく2つに分けられます。
その1:サスペンションとタイヤの干渉を防ぐ
1つ目の役割はサスペンションとタイヤの干渉です。ホイールインセットとはそのホイールがどの程度内側へ入り込んでいるのかを示す数値で、例えば、インセット40のホイールは、ホイール中心(トレッド面の真ん中を通る線)とホイールのハブとの取り付け面の間の距離が40mmあることになります。
ホイールそのもののインセットはスペーサーを装着しても変化しませんが、取り付け面はスペーサーの厚さ分だけ外側へ移動するという理屈です。
車両に対してインセットの大きすぎるホイールは、タイヤとサスペンションが干渉する原因になりかねません。そのような場合にホイールスペーサーは、クリアランスを確保することに貢献します。
例えば、インセット値があと数ミリ小さいホイールを装着できればイメージ通りのツライチができるのにという場合があるとします。それだけのために新たにインセットの小さいホイールを購入するとなると、数万円単位の大きな出費になる可能性が高いです。
ホイールスペーサーは数千円で手に入るので、コストを抑えて車遊びを楽しむのに便利なアイテムと言えるでしょう。
その2:トレッドを広げて運動特性や見た目を変化させる
2つ目の役割はトレッドを広げることです。つまり左右タイヤの間の距離を長くすることで、装着したホイールスペーサーの厚さ分(2枚分)だけトレッドが広がります。
トレッドを広げる理由は人それぞれで、走行時の運動特性を変化させたいという人がいれば、フェンダー面とホイール面をピッタリ揃えるツライチ仕様にして愛車をかっこよくしたいという人も。
すでに少し書きましたが、今使っているホイールのままトレッドを広げられるのはホイールスペーサーならではです。
ホイールスペーサーとハブリングの違いは?
役割が違う
ホイールスペーサーはホイールの取り付け面を外側へ広げるものですが、ハブリングはホイールハブ径とセンターハブ外径に発生するクリアランスを埋めてホイールセンター出しを確実に行うものです。どちらもハブに装着するのは共通ですが、用途が全く異なります。
ハブリング付きホイールスペーサーが存在する
ハブリングとホイールスペーサーを組み合わせて使う代わりに、ハブリング付きホイールスペーサーを装着します。ハブリングとホイールスペーサーが一体型になっているので、ホイールセンター出しとトレッド幅拡大を同時に行える優れものです。キッチリとセンターを出して、なおかつトレッド幅を広げたいのであれば、こちらを使いましょう。
ホイールスペーサーのメリット
この項目では、ホイールスペーサーを使うメリットを3つのポイントに分けて解説します。
サスペンションとタイヤの干渉を防ぎ、トレッドを広げられるホイールスペーサーですが、どのようなメリットが存在するのでしょうか。
- “ツライチ”状態でカッコよさを魅せられる
- 走行安定性が向上する
- 手頃な価格で購入できる
“ツライチ”状態でカッコよさを魅せられる
1つ目のメリットは「“ツライチ”状態でカッコよさを魅せられる」です。
「ツライチ」は、ボディのフェンダー部分とホイールの表面の位置が揃っている状態を指しています。ボディのフェンダー外側、側面と変わらない位置にホイールの表面が来るようにすれば、くぼみがなくスッキリした印象となって「カッコよさ」を演出できるでしょう。
「純正品から社外品へのホイール交換」はお手軽な車のカスタマイズ要素です。しかし、タイヤ・ホイールの位置がボディのフェンダー外側よりかなり内側になってしまうと、せっかく交換したホイールが目立たなくなってしまいます。
その状態でホイールスペーサーを使えば、トレッドの幅を改善できるのに加えてボディのフェンダー部分とタイヤ・ホイールの面を揃えることが可能です。カスタマイズで見栄えを重視したい人なら、ホイールスペーサーは欠かせないアイテムとなるでしょう。
走行安定性が向上する
2つ目のメリットは「走行安定性が向上する」です。
ホイールスペーサーを装着すると、ボディフェンダーの外側とホイールの表面が揃えられるのが強みですが、加えて「ワイドトレッド」仕様となるのも強みとなります。左右のタイヤ位置が若干ではあるものの外側へ移れば、カーブを走行している際の安定性が高まるため、よりスポーティな走りを味わえるでしょう。
ただし、走行安定性が向上するから、カーブでスピードを出しても安全に走れるとお考えかもしれません。無茶をせず、制限速度を守ることと道路の状況を確認して、安全第一で運転しましょう。
手頃な価格で購入できる
3つ目のメリットは「手頃な価格で購入できる」です。
ホイールスペーサーは種類や使用している素材、対応している車種にも寄りますが、価格が安い商品であれば1枚あたり500円程度で入手できるようです。ホイールスペーサーの厚みは3mmや5mm、10mm、15mmなどと様々で、1枚あたり2,000円を超える販売価格の商品もありますが、ちょっとしたカスタマイズで使うにはお財布に優しいアイテムとなるでしょう。
また、カー用品店やパーツショップだけでなく、インターネットのECサイトでも入手できるため、500円程度で入手できる商品の選択肢も増えます。より多くのアイテムを比較して、条件に見合ったホイールスペーサーを選んでみてもよさそうです。
ホイールスペーサーのデメリット
この項目では、ホイールスペーサーを使うデメリットを3つのポイントに分けて解説します。
ホイールスペーサーにはメリットがある一方で、使い方を誤れば安全運転に支障をきたすかもしれないデメリットがあるようです。
- ナットが十分に止められない可能性がある
- 「バネ下重量」が重くなる
- 強度・耐久性に不安がある
ナットが十分に止められない可能性がある
1つ目のデメリットは「ナットが十分に止められない可能性がある」です。
ホイールを固定するにはナットをハブボルトに噛ませなければなりません。ホイールスペーサーを装着するとタイヤを取り付ける位置が外側へ移動させられる反面、ナットをハブボルトへ噛ませる範囲が少なくなってしまい、ホイールを十分な状態で固定するのが難しくなります。
対策として、ハブボルトを純正および短めの品物から、ワイドトレッドに対応できる長さの品物に差し替える、あるいは別のホイールを選択するなど考えられるでしょう。ナットが十分に止められないと走行中のトラブルに繋がりやすくなる可能性があるため注意です。
“バネ下重量”が重くなる
もう1つのデメリットは「“バネ下重量”が重くなる」です。
本来、ホイールスペーサーはカスタマイズをしない限りは不要のアイテム。カスタマイズを楽しむのが目的で取り付けると、余分な重量がかかり「バネ下重量」が増えて、車の運動性能に若干の影響を及ぼすでしょう。カーブが多く、曲がりくねった山坂道でハンドル操作をしていると、“もっさり感”が出てしまうかも入れません。
カスタマイズを楽しめる分、走行性能でマイナスの影響が出てしまう点は承知の上で使用すべきでしょう。
強度・耐久性に不安がある
3つ目のデメリットは「強度・耐久性に不安がある」です。
特に、10mmや15mmなど厚みのあるホイールスペーサーが当てはまります。無理にタイヤをツライチなど外側へ押し出せる反面、走行中のタイヤ・ホイールが高速回転をする状態での負荷に対する耐久性に不安が生じるでしょう。
ドレスアップを意識して、無理にお気に入りのホイールを装着したい気持ちは理解できますが、厚みのあるホイールスペーサーを使用して走行中のトラブルに繋がるのは本末転倒。適切なホイールを選びつつ、少ない負担・十分な耐久性が確保されているホイールスペーサーを使うべきでしょう。
ホイールスペーサーを装着すると車検は通る?
ホイールスペーサーを装着していると、車検が通らなくなるのではと考える人がいるかもしれません。
厚めのホイールスペーサーを使用して、車検に通らなくなるケースも多々あるようです。ホイールがボディのフェンダーより外側に出てしまうと、保安基準違反となる可能性があります。
自動車が直進姿勢をとった場合において、車軸中心を含む鉛直面と車軸中心を通り、それぞれ前方30°及び後方50°に交わる2平面によりはさまれる走行装置の回転部分(タイヤ、ホイール・ステップ、ホイール・キャップ等)が当該部分の直上の車体(フェンダ等)より車両の外側方向に突出していないもの。
この場合において、専ら乗用の用に供する自動車(乗車定員10人以上の自動車、二輪自動車、側車付二輪自動車、三輪自動車、カタピラ及びそりを有する軽自動車並びに被牽引自動車を除く。)の車枠及び車体であって、協定規則第30号の規則3.(3.2.を除く。)及び6.に適合するタイヤを備えた自動車のもので、かつ、次に掲げるものにあっては、タイヤ以外の回転部分に係る部品の改造、装置の取付け又は取り外しその他これらに類する行為により構造、装置又は性能に係る変更を行う場合を除き、基準に適合しているものとみなす。
ロ:タイヤの次に掲げる部分以外の部分の直上の車体(フェンダ等)より車両の外側方向に突出していない車枠及び車体
(1) サイドウォール部の文字又は記号がサイドウォール部から突出している部分
国土交通省「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示【2021.6.9】」第178条
(2) サイドウォール部の保護帯及びリブ並びにこれらと構造上一体となってサイ
ドウォール部から突出している部分(突出量が10mm未満である場合に限る。)
現行の保安基準では、タイヤよりホイールが外側に出っ張っている状態で公道を走行するのは違反です。もちろん、ホイールスペーサーを使用してタイヤをボディフェンダーの最も外側となる箇所よりはみ出してしまったケースでも車検に通りませんし、走行すると保安基準違反となります。
見かけ上では難しい判断を迫られる上に、車検に通らなくなるリスクを考えると、ツライチのために無理してホイールスペーサーを使うのはお勧めしにくいのが実情です。保安基準でタイヤがボディフェンダーよりはみ出すのはNGであるのを念頭に置いて、ホイールスペーサーを活用したタイヤ・ホイールのカスタマイズを楽しみましょう。
ホイールスペーサーを装着する際の注意点
いろいろと便利なホイールスペーサーですが、装着するにあたって注意するべき点がいくつかあります。
ハブボルトの長さを確保する
ホイールスペーサーが厚すぎると、ホイールナットを締めるためのハブボルトの長さが不十分になる場合があります。車種(ハブの形状)によって違いはありますが、純正ハブボルトでスペーサーを使うなら3mmまたは5mmに抑えるのが一般的です。
スペーサー装着に併せて長いハブボルトへ打ち替えることもあります。ハブボルトとホイールナットの締まり量を確保することができますが、スペーサーを外してホイールを装着する時にナットの全長が足りずホイールを締めれず、それでも無理やり締めるとハブボルトがネジが切れることもなきにしもあらずです。
タイヤがフェンダーからはみ出さないようにする
タイヤがフェンダーからはみ出していると、はみ出しているタイヤの部位によっては車検に通らないことがあります。タイヤをフェンダー内側で収まるようにするのが無難です。
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- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...