MOBY(モビー)自動車はおもしろい!

MOBY[モビー] > お役立ち情報 > 車検・メンテナンス > 【ウォーターポンプ】故障の症状前兆・異音の種類、交換時期・費用など
車検・メンテナンス

更新

【ウォーターポンプ】故障の症状前兆・異音の種類、交換時期・費用など

車のウォーターポンプとは?役割と仕組み

©tongpatong/stock.adobe.com

ウォーターポンプとはエンジン内に冷却水を循環させる装置(冷却水を送るポンプ)です。この装置がなければエンジン内に冷却水を送り込むことができず、オーバーヒートしてしまいます。

なぜエンジン内に冷却水を送り込む必要があるのでしょうか。その理由は、エンジン内では常に爆発が起こっており、エンジンを冷ます仕組みがなければ温度が上がりすぎ、エンジンやその周辺の装置を壊してしまうからです。

エンジン内部で作られたエネルギーの全てが動力になるわけではありません。使用できるエネルギーはガソリン車で40%未満であり、その他のエネルギーは損失として熱などに変換されているのです。

そのため、エンジンが暖機されると温度は100℃以上、排気温度は1,000℃近くになることも。温度が上がりすぎると物質が溶け正常に動きません。 この状態がオーバーヒートであり、そうならないようにウォーターポンプによって冷却水を循環させエンジンを冷ましているのです。

エンジンを使用している車には欠かせないウォーターポンプですが、使用年数が長くなるにつれ故障する可能性も高くなります。

ウォーターポンプの構造|どこに付いている?

ウォーターポンプはエンジン内に扇風機の羽のようなものを取り付け、その羽を回すことで水を循環させています。現在では電動式ウォーターポンプも普及されていますが、まだまだベルト駆動が一般的です。

ウォーターポンプはエンジンの前側、または横側に付いています。

エンジンルームを覗くとベルト(ファンベルト)が見えます。このベルトはエンジンのクランクプーリーにかかっており、ウォーターポンプのプーリーにかけることでエンジンからの動力を得ているのです。そのためエンジンが回るとウォーターポンプも作動します。

このポンプによって冷却水をエンジンとラジエーター間に循環させているのです。しかし冷ましすぎるとエンジンがエネルギーを作り出しづらくなるので、約80℃前後で保つように設定されています。

ウォーターポンプ故障の症状や異音の種類

異音

ウォーターポンプが故障していると、エンジン部分から異音が発生することがあります。音のイメージは動画を参考にしてください。

しかし、どこから発生しているのか正確に判断するのは素人では難しく、経験のあるプロでなければ分からない場合も多くあります。 

キュルキュル音

「キュルキュル」という異音は、ベルト鳴きである可能性が高いです。

ベルトの張りが弱くなる場合に発生する異音であり、ウォーターポンプそのものの可能性は低くなります。しかし、ウォーターポンプのプーリーに問題がある可能性もゼロではないので、回転させてスムーズに回るかどうか確認しましょう。

基本的にベルト鳴きはベルトの劣化で発生します。ベルトが古ければ交換、もし手動で張りを調整する車なら張り具合を調整してみましょう。

カラカラ音

カラカラ音はベアリングから発生している可能性が高い異音です。ベアリングの劣化によって異音が発生し、交換しなければさらに音は大きくなります。目視でどこが悪いのか分からないのも、ベアリングの特徴です。

劣化し細かな隙間が発生しているか、ベアリングの動きが悪くなってしまうなどの原因で異音が発生します。

ウォーターポンプの場合、ベアリング単体で交換する方法は一般的ではなく、交換するのであればウォーターポンプ本体のアッセン交換となる可能性が高いです。

ベアリングが故障しているのであれば、今後、他の部品が故障する可能性も高いので、一緒にすべて新品にした方が今後のトラブルを予防できるためです。

現在の車では基本的に装置本体を交換する方法がとられていますが、車種によってはベアリングだけ交換する場合もあるので、お願いする整備工場でしっかりと確認し作業をお願いしましょう。

キーン音

キーン音はメカニカルシールから発生する可能性が高い異音です。メカニカルシール以外にベアリングから発生していることもあります。カラカラ音と同様に本体もしくは単体での交換が必要となります。

もしメカニカルシールだった場合、同時に水漏れもチェックしておきましょう。劣化していると水が漏れている可能性もあります。

ベアリングもメカニカルシールもウォーターポンプ内の部品なので、ウォーターポンプを外しての作業は必須です。また車種によってはエンジンを持ち上げながらの作業となる場合もあり、簡単にできる作業ではありません。

知識や経験がないのであればプロに任せましょう。仮に自分で行い、ガスケット周りの清掃がきちんとできていないと新品を取り付けても水漏れを起こしてしまうので大変危険です。

水漏れ

ウォーターポンプ付近からの水漏れの多くは、ウォーターポンプのガスケットやシールの劣化が原因です。

ガスケットやシールはものによって素材が変わりますが、熱などによって劣化します。それに加え古いクーラントをいつまでも使用している場合、さらに劣化は進むでしょう。

水漏れを起こしやすい箇所は、エンジンに取り付ける際に挟み込むガスケットやメカニカルシール部分です。どちらも熱の影響や冷却水の影響を受ける箇所となります。

また、ゴム製品は車の状態が良くても劣化します。使用していない輪ゴムでも時間が経てば硬くなり引っ張るとちぎれますよね。それと同じことがシールなどにも当てはまるのです。

もし自分で点検を行うのであれば、どこから水漏れが発生しているのかをしっかりと確認しましょう。

新車のようにきれいな状態の車はほとんどないので水漏れ箇所の確認は難しく、自信がなければ整備工場で点検する方法がオススメです。

水漏れをしているのであれば、すぐに交換を行いエンジンにダメージを与えないようにしましょう。

ウォーターポンプの不具合を放置するとどうなる?

©metamorworks/stock.adobe.com

ウォーターポンプが故障すると、エンジンを冷ますための水を循環させることができなくなるため、エンジンの温度が下がらず、そのままにしておくとオーバーヒートしてしまいます。

オーバーヒートしそうになるとラジエーターファンが回り続けます。ラジエーターとは高温になった冷却水を冷ます装置。エンジン内で熱を帯びた冷却水が、グリルの内側にあるラジエーターを通り熱を冷まします。

通常であれば、ファンは1、2分で回転が止まるのですが、オーバーヒート気味であればファンが回り続けます。

エンジンが高温になっていると、車は「早く冷たい冷却水をエンジンに流しなさい」と指令を送ります。

その指令を受けたラジエーターがファンを回し、冷却水を冷まそうと試みるのですが、ウォーターポンプの故障で冷却水が流れないと、いつまでも冷めません。そのためファンが回り続けるのです。

ファンが回り続けていると感じたら、冷却水量の点検を

いつまでもファンが回り続けているなと感じたら、オーバーヒートの可能性を疑いましょう。冷却水は適正量入っているかを確認し、入っていないならすぐにエンジンを止める必要があります。

普段からウォーターポンプの水漏れ状態をはじめ、車の状態をしっかりと把握しておきましょう。

ウォーターポンプの故障に前兆はある?

ウォーターポンプ故障の前兆として異音があります。「ゴロゴロ」や「ガラガラ」などの音かもしれませんし、それ以外の音かもしれません。

絶対にこんな音がするという音はありませんし、ゴロゴロと異音がしていたとしても、ウォーターポンプとは限りません。

そのため、分かりやすい故障の前兆はないと考えた方が無難です。また、水漏れに関しては、すでにトラブルが発生しているので前兆としては省きます。

仮に水漏れが発生していた場合、クーラント独特の甘い臭いがしたり、ウォーターポンプの周辺にクーラントの跡が発生したりします。ウォーターポンプは、エンジン内に組み込まれている場合がほとんどなので分かりやすい異音でもない限り、前兆を見つけるのは非常に難しいです。

また、異音がしていたとしても、素人判断は危険なので必ず整備工場で診断を受けるようにしましょう。

執筆者プロフィール
山北吏(つかさ)
山北吏(つかさ)
1989年生まれ。現役整備士(整備士3級)webライター。webライター歴は1年半。愛車はインプレッサ(GH8)。車に乗るなら絶対MT!実家が田舎だったこともあり山道は得意!整備士として働き始め3年目。前職は輸入業...

\ この記事が役に立ったらシェアしよう /

MOBYをフォローして最新記事を受け取ろう

すべての画像を見る

画像ギャラリー

コメント

利用規約

関連する記事

関連キーワード