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車検の予備検査とは?受ける必要はない?検査場での必要書類と費用【ナンバー取得・ユーザー車検】
予備検査は2種類に分かれる
予備検査には、以下2種類の意味があります。
- ユーザー車検前の予備検査:テスター屋で行うチェック
- ナンバー名のない車に対して行う予備検査:ナンバー登録をする前に行う車検
予備車検と呼ばれるもののほとんどは、ナンバーのない車に対して行う車検を指します。この予備検査は中古車販売店など、車を売っている店の利用が多いものの、個人で利用することも可能です。
この2つは全く違った作業であり、対象となる車の条件も異なります。ではそれぞれ詳しくお伝えしましょう。
①ユーザー車検前にテスター屋で行う予備検査とは
車検を行う陸運局や軽自動車検査協会の近くには、テスター屋と呼ばれる民間の検査場があります。この検査場では、車検で測定する検査の一部を行っており、車検に合格できる範囲かどうかを測定しているのです。
つまり、ユーザー車検前にテスター屋でチェックしてもらう行為を予備検査と呼ぶのです。ユーザー車検では、ヘッドライトの光軸や光量、アライメントの検査を必ず行います。
しかしこれらのメンテナンスをしたければ、専門の機器が必要であり購入するにしてもかなり高額です。民間の認証工場では、このような装置を持っていないためテスター屋を利用して、光軸などをチェックします。
加えて、テスター屋ではチェックだけでなく、光軸などがずれていた場合、調整も行ってくれます。そのため、事前に調整して車検に挑むことができるのです。
この検査場は一般人でも利用できます。ディーラーなどと比べかなり安く時間もかからないうえ、車検で落ちた後でも利用できるので、もしユーザー車検を受けるのであれば利用することをおすすめします。
テスター屋の利用は事前準備なしでOK
テスター屋では準備する書類などはありません。利用料金さえ払えば、流れ作業ですぐに検査をしてくれます。そのため、時間がないときでもスムーズに利用することができます。
テスター屋の料金
テスター屋は民間業者なので、料金の決まりはありません。一般的には1つの検査で1,000円から3,000円ほどの料金設定がほとんどです。そのため、全ての検査をすれば数千円はかかるだろうと考えておきましょう。
②ナンバー取得前に行う予備検査とは
ナンバーのない車に対して行う車検も予備検査と呼ばれます。ナンバーのない車は新車だけではありません。中古車でも、一時抹消登録などでナンバーのない車も存在します。そのような車に対し行う車検の一種です。
この場合の予備検査は仮車検と考えてOKです。正規の車検と同じ検査を行います。予備検査に合格すると、「自動車予備検査証」が発行されます。そして有効期間が3ヶ月しかありません。3ヶ月を過ぎる前に車両登録を行う必要があるのです。
このように、予備検査は仮として行う検査なので正規の車検証は発行されないなど、違いはあります。では、一般の方が予備車検を利用する場面とはどういったタイミングなのでしょうか。
どのような場面で必要?
例えば、家にずっとあった一時抹消登録をしていた車検の切れた車をまた乗ろうとした場合や、そのような車をヤフオクなどで売買したときなどです。
個人売買で予備検査をする義務はありませんが、親切心で検査を終わらせておく方もいるでしょう。購入後に車検を受けなくてもいい状態になるので、購入者には嬉しい対応です。
また、中古車販売店であれば予備検査を行い、車検をする必要がない車の方が売れたりします。このようなメリットを設けることで、予備検査を受けておくといったこともあるでしょう。
このように、予備検査は一定の利用者がいるのですが、この記事では個人で予備検査を受けることを条件として記載しています。
予備検査の必要書類
予備車検で必要な書類は、ユーザー車検とは異なります。事前に用意すべき書類と、当日、車検場で用意する書類の2種類に分けご紹介します。
事前に用意すべき書類
- 登録識別情報等通知書or自動車検査証返納証明書(軽自動車と普通車で呼び名が変わる)
- 譲渡証明書
- 点検整備記録簿
- 印鑑
「登録識別情報等通知書」と、「自動車検査証返納証明書」は同じ意味合いを持つ書類です。軽自動車と普通車で呼び名が変わるので両方を記載しています。
この書類は、一時抹消登録をしているという証明です。必ず必要なので事前に用意しておきましょう。また、点検整備記録簿も必要書類ですが、ユーザー車検同様、後日整備することで省略できます。
ユーザー車検との違いは、自賠責保険などの書類が必要ない点です。予備検査ではナンバーを発行しないので、まだ公道を走らないためこれらの書類が省略されています。
車検場で用意するもの
- 自動車検査票(軽自動車検査票)
- 申請書
この書類は予備検査の申請をするために必要だったり、検査ラインで必要になってくる書類です。車検場で白紙の書類を渡されるので、必要事項を記入して提出しましょう。
大まかにはこのような形ですが、車によっては必要になる書類が増えることがあります。例えば、代理で予備検査を受けるなら申請依頼書、リコール対象車なら改善処置済証などです。
その点は、自分の車の状態を考えて、事前に車検場に問い合わせるなどして揃えるようにしましょう。
予備検査の費用
予備車検の費用を大まかにお伝えすると1台あたり1800円〜2200円です。詳細は以下のとおりです。
【軽自動車】
検査手数料 | 技術情報管理手数料 | 合計 |
1,400円 | 400円 | 1,800円 |
【普通車】
車の大きさ | 検査手数料 | 自動車技術総合機構への手数料 | 合計 |
普通車 | 400円 | 1,800円 | 2,200円 |
小型自動車 | 400円 | 1,700円 | 2,100円 |
※車検時の法定手数料は令和3年10月に変更されています。従来よりも400円ほど値上がりしているので、古い料金表との金額差にご注意ください。
陸運局へ持ち込んでの予備検査では公道を走れない
予備検査はナンバーのない車しか検査を受けられないので、当然、公道を走って車検場へ向かうことができません。
そのため、車検場へ持ち込む場合、この2つのどちらかの手段を取りましょう。
- 積載車を用意して車検を受ける車を運搬
- 仮ナンバーを取得して一時的に公道を走る
また、予備検査が終わったとしてもナンバーを発行するわけではないので、来た方法と同じ方法で帰らなければなりません。ナンバーがない状態で公道を走るのは違法です。
このことを知らずに、検査当日にバタバタしないためにも、しっかりと準備しておきましょう。
予備検査を個人で行うメリットはあまりない
個人で予備検査を受けるメリットはあまりありません。予備検査とは本来、車を販売している会社が利用する検査だからです。
予備検査を事前に行えば、車両登録時に車検を省けます。つまり何台もの車を所有する会社が、登録作業をスムーズに行うために予備検査を受けるのです。
そう考えると、個人間の売買であったとしても予備検査を受ける必要はないように思います。ナンバーがないため、公道を走れない手間が増えてしまうといったデメリットまで出てきます。
ユーザー車検と名義変更は同時に行えるため
ユーザー車検と名義変更は同時に行えます。そのため、仮に一時抹消登録をしていてさらに車検が切れている車の売買をしたとしても、1度車検場へ出向けばどちらも行えるのです。
ナンバーの発行も希望ナンバーなど、特別な事情がない限り当日で完了します。わざわざ予備検査をするメリットはあまりないと考えられます。
基本的にはユーザー車検で対応しよう
予備検査とは、車検場の近くにあるテスター屋で事前チェックを行う検査と、ナンバー取得前に行う車検。この2つの意味合いがあります。
主に予備車検といわれる内容は後者です。ナンバー取得前の予備検査は車検と同じ項目を測定します。しかし、必要書類が違ったり、まだ公道を走ることができない点などが車検との違いです。
また、個人間で予備検査を受けるメリットはあまりないと考えます。理由は、名義変更とユーザー車検は同時に行うことができるからです。
予備検査の対象車はナンバーがないため、公道を走れないなど移動が大変です。そのため、本当に必要な場面以外ではユーザー車検をおすすめします。
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- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...
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- 鈴木 ケンイチ
- 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレー...