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キャンピングカーの「電気事情」について考える

キャンピングカー情報をはじめとして、キャンプや車中泊、バンライフなど、アウトドア&車旅の情報を配信しているWEBマガジン・DRIMOから、実際に車中泊やキャンピングカーを楽しんでいるライターによる記事をMOBYがご紹介します。※以降の記事内容および記事タイトルはDRIMOからの引用・参照です


電気のない生活は考えられないほど、私たちの生活はあらゆるものが「電気で動いている」。

その「ありがたさ」は、昨年の台風19号の際の大規模停電で思い知らされたと言ってもいいだろう。冷蔵庫の食糧は傷み、水もガスもあるのにお風呂が沸かせない……。

さて、「持ち運べる我が家」であるキャンピングカーも、その事情は一般家庭と同じである。車内に架装されている設備のほとんどが電気を必要とするのだ。

キャンピングカーの電気は2種類

キャンピングカーで使われている電気には次の2種類がある。

※一部バスコンには下記以外、DC24Vがあるものもある。

直流12ボルト(DC12V)

用途1:セルモーターを回す、ワイパーを動かす、ヘッドライトを点灯するなど、「クルマとしての基本装備」を動かす。

用途2:キャンピングカーの居室部分で、室内照明、冷蔵庫、FFヒーターなどの「生活装備」を動かす。

交流100ボルト(AC100V)

家庭にあるコンセントと同じ。

キャンピングカーでの用途は家庭用エアコンや電子レンジなど。これらを搭載していないキャンピングカーならば不要。

では、これらの電気はどこから・どう供給されるのか。

ご存知の通り、どんな車でも自動車には必ずバッテリーがある。このバッテリーがDC12Vの供給源だ。

ただし、このバッテリーは上記のDC12Vの解説のとおり「エンジンを始動する」という大役を担っている。

もしもバッテリーを使い過ぎた=バッテリーが上がってしまった場合「車を動かすことすらできない」という事態におちいる。

それでは安心して、車内で生活することはできない。

そこで「生活装備」を動かすためのバッテリーは「クルマのバッテリー」とは別に搭載されている。それが『サブバッテリー』だ。

サブバッテリーは、いわゆる車両用のバッテリー(メインバッテリー)とは別系統。なので、たとえ旅先で装備を使いすぎてサブバッテリーがすっからかんになっても、「エンジンがかからない!」という事態にはならないのだ。

サブバッテリーを理解しておこう

サブバッテリーには『ディープ・サイクルバッテリー』というタイプがよく使用される。見た目は一般的な自動車用バッテリーと変わらない。同じ『鉛バッテリー』の一種だが、実は出力特性が異なる。

メインバッテリー

自動車用バッテリーは「スターターバッテリー」とも呼ばれ、主にエンジンをかけるセルモーターを回すためにある。

セルモーターを回すためには「瞬時に大電流を流す必要がある」という特性があるため、どん!と大きな力を発揮する、いわば短距離走者=スプリンターと言ってもいいかもしれない。

しかもこのタイプは、空っぽに近くなるまで放電してしまうと、性能が極端に低下するという特性もある。

サブバッテリー

ディープサイクル・バッテリーは、大電流を一気に取り出すことには長けていないし、そもそもそんな必要もない。少ない出力で長時間流し続けるのが得意な長距離走者、というイメージだ。

つまり、キャンピングカーの居室部分で、所要電力の比較的小さいLED照明などを長時間使うのに向いている。

ディープ・サイクル=深放電という意味で、底をつくぐらいまで使っても、特に問題ないという特徴からこのように呼ばれている。

※ただし、放電した状態で長時間放置すると、充電しても元に戻らないのでご注意を!

次世代のバッテリーを採用する会社も

さて、そのディープサイクル・バッテリーはサブバッテリーとしては主流と言っていい。

簡単にメリット・デメリットをまとめると、

△メリット
・歴史が長く、品質が安定している
・製造している会社も多く、比較的安価に・安定的に入手できる
・価格と性能のバランスが良い

▼デメリット
・品質が安定はしているものの、性能面で飛躍的な進歩も望めない
・重量が重い=搭載できる数が限られる。燃費面でも不利

こうした欠点があることから、最近では次世代型のバッテリーを採用するビルダーも増えつつあるのだ。

次世代バッテリー事情

キャンピングカーが普及するにつれ、電子レンジや家庭用エアコンといった「電気喰い」の設備の需要も高まっている。つまり、電気への要求は高まるばかり、というわけだ。

結果、標準装備やオプションで、サブバッテリーを2個3個と積む例も珍しくなくなりつつあるが、スペースや車の許容限度荷重の問題もあり、好きなだけバッテリーを積めるわけでもない。

そこで、最近注目を集めているのが『リチウムイオン・バッテリー』だ。

ディープ・サイクルバッテリーに比べて小型で軽量。しかも、使用に伴う電圧降下が緩やかなので、その特性は「超長距離走者的」と言える。まさにキャンピングカーでの使用にもってこいの特質を備えているのだ。

従来のバッテリーに比べて高価なのが難点だが、近年はどんどん価格も下がってきており、キャンピングカーの中には最初から搭載している商品も出てきた。

今後、さらに普及していくことは間違いない。

サブバッテリーの充電方法は?

メインバッテリーは、ご存知の通り「走行充電」しているため、わざわざ充電する必要はない。日常的に動かしている車なら、ほとんどバッテリーのことなど気にせず使っていることだろう。

一方、サブバッテリーはどうだろう。一部「走行充電」のものもあるが、スマホの充電同様、「使ったら補充」が基本である。

サブバッテリーの充電方式には次のようなものがある。

走行充電

メインバッテリー同様、車のエンジンが作動しているときに充電されるシステム。

ただし、ディープ・サイクルバッテリーやリチウムイオンバッテリーは、メインバッテリーと充電特性が異なるため、ただつないだだけでは満充電になりにくい。バッテリーの特性に合わせた走行充電システムを搭載する必要がある。

走行充電システムはオプションであることが多い。

外部入力充電

キャンプ場やRVパーク、あるいは自分の車庫などで、外部のコンセントからキャンピングカーに給電している際に、同時にサブバッテリーを充電するシステム。

これも、バッテリーの特性に合わせた充電器を備える必要がある。

例えばキャンプ場で外部電力につないで、照明やエアコン、電子レンジを使ったとする。その場合は、外部の電力を使いながら、同時にサブバッテリーにも電力が流入=充電する。

ソーラーパネルからの創電

以前は車の屋根程度の面積では、補助的な電力程度しか創り出せなかったソーラーパネルだが、近年は性能がどんどん向上。面積が小さくてもかなり効率よく電力を創り出せるようになった。

太陽光発電だから騒音も排気ガスも出すことなく、旅の途中はもとより、電源がとれない月極駐車場などに停めていても、満充電にしてくれるのでキャンピングカー愛好家の間では人気のアイテムだ。

いずれの充電システムも、ビルダーや車両によって標準・オプションなど装備状況が異なるので、車両を購入する際には、よく検討する必要がある。

DIYでの取り付けは可能か

バッテリーは快適なキャンピングカーライフの肝となるもの、それだけに、各ビルダーによって考え方もさまざまだ。特に最近は搭載するバッテリーのタイプ、充電の方式など、システムの多様化が顕著といえる。

そこでユーザー側として気を付けておくべきなのは、「安易なDIYに走らないこと」だ。

12Vと聞くと、家庭用の100Vより電圧が低いので「簡単」「容易」なイメージを抱きがちだが、実は取り扱いを誤ると、火災などの危険度が高いのはむしろ12Vのほうだ。

なぜなら、まず同じ電力でも家庭用のように送電・配電されるものとバッテリーとでは性質が違う。同じ電圧でもバッテリーというのは、一度に大容量を放出する性質がある。

小さな乾電池と銀紙があれば着火できるというライフハックをご存知の人も多いだろう。同様に、バッテリーから電力を取り出すコードの太さ(電流量)にも注意が必要だ。

キャンピングカーを自分仕様にDIYするのは楽しい。それは理解できる。しかし、快適化したいからと、安易に素人が改造するのは、ありていに言って「危険」である。

ご自身が「電気技師」や「電気工事技師」でもない限り、ビルダーや電装系に造詣の深いショップとよく相談しながら、いかに快適なシステムを手に入れるか検討するのが、安全かつ賢明な方法といえるだろう。

ライター: 渡部 竜生

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