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車中泊で節水に役立つアイテムと用意すべき常備品【軽バン秘密基地計画#09】

キャンピングカー情報をはじめとして、キャンプや車中泊、バンライフなど、アウトドア&車旅の情報を配信しているWEBマガジン・DRIMOから、実際に車中泊やキャンピングカーを楽しんでいるライターによる記事をMOBYがご紹介します。※以降の記事内容および記事タイトルはDRIMOからの引用・参照です


前回は「千葉の台風被害でも活躍。キャンピングカーでの災害対策」で、電源や水について書いたが、今回はその続き。

災害時における車中泊仕様車の最大のメリット

ところで、本題に入る前に災害時におけるキャンピングカーや本格的車中泊仕様車の何よりの利点を今一度確認しておくと、それは「雨風を凌げて平らなところで足を伸ばして寝られることとプライバシーを確保できること」に尽きる。

シートをリクライニングさせただけでの車中泊では肺塞栓症(所謂エコノミークラス症候群)を発症してしまう恐れがあり、非常に危険だ。

何故発症したか原因は不明だが、実際私は肺塞栓症を発症しながら医師にそれを見落とされ、非常に危うい目に遭った経験がある。悪運の強さと体力がもう少しなかったら、この文章も存在していなかったことになっていたようだ。

また、これも原因不明だが左脚の動脈がダメになってしまう病気をしたこともある(これも坐骨神経痛と誤診され、リハビリの理学療法士さんのおかげで一命または一脚をとりとめた)ため、血行に関しては人一倍神経質になってしまう。足を伸ばして寝られて、多少の寝返りを打てることは非常に重要だ。

シートを倒すとフルフラットと言いながらも凸凹した面しかできない普通のミニバンでは、数泊は耐えられたとしても、やはり体が疲れてしまう。せめて凸凹な面を平らにする工夫はしておく必要がある。

また以前にも書いたことがあると思うが、地面の傾斜にも注意したい。極力平らなところに駐車することが基本だが、どうしても少し斜度がある場合は頭の方が高くなるように駐めて、足の下に何か少し挟んで高さの調整をするなど工夫が必要だ。

そして、「プライベートな空間の確保」も非常に重要だ。避難所生活が長引いたりすると、人にもよるが、これが大変大きなストレスとなってしまうようだ。2等客室と言えば聞こえはさほど悪くもないが、実態は雑魚寝のフェリーの大部屋でも私は熟睡することができる。

しかし、それも長くてせいぜい2泊だからであって、旅の最中だからだと思う。いつまで続くかわからない避難生活とは気持ちの上でも大きく違う。体育館のような場所での生活にはきっと私も耐えられないのではないかと思う。

日中は他の人がいるところに居るとしても、「夜寝るときの静かでプライベートな空間のを確保」は、何物にも替えがたいキャンピングカーや本格的車中泊仕様車の利点だ。

別に災害時のことを念頭に置いて車を選んでいるわけでもないのだが、何かあった時のことを考えると、平らで足を伸ばして寝られる空間を確保できる車のありがたみが際立ってくる。

節水に役立つ物とアイディアの続き

災害時だけでなく、普段のキャンプでも水道のあるキャンプ場など以外では水は貴重だ。繰り返すが節水はとにかく重要! 先ずはこれを再度強調しておきたい。

ただ水を積んでおくだけでなく、シャワーの設備があると節水に大いに貢献することは前回書いたし、「農薬などを散布するためのパワフルな霧吹きのような物」が便利であると「キャンピングカーにトイレ・シャワーは必要?」の記事で紹介したことがある。

水を無駄に多く使わないで済ます方法はシャワー以外にも色々あるので、まずはそんな節水に役立つ物やアイディアを幾つかご紹介したいと思う。

まずは車に水を積んでおこう

節水の前に水について言えば、未開封の2Lのペットボトルを常に車に数本積んでおくこともオススメする。タンクに貯めた水は、時間が経つとそのまま飲用することができなくなっていることもあるが、未開封のペットボトルなら安心だ。

私はキャラバンに3本、バモスに1本積んであったので、シャワー用ポリタンクの10Lと4Lのペットボトルに貯めてあった水(どちらも海から上がったとき用に車に常備してあるもの)とも合わせて、断水しても切羽詰まった状況にはならずに済んだ。

それだけではない、車がオーバーヒートしてしまった場合や冷却水が減ってしまった場合にも水は必要。怪我をした時や火傷を負った時も先ずは清潔な水での水洗い。少しでも軽くしておいた方が燃費に……なんてケチなことを言ってないで、車に清潔な水を常備しておくことは絶対に間違いではない。

ペーパータオルとティッシュ

特に食器など、何でも水で洗おうとする前に、まずはティッシュやペーパータオルで汚れを拭き取るだけで使う水の量を大幅に減らすことができる。と言うよりそれだけで済む場合もある。ボックス入りティッシュは大抵誰でも車に常備していると思うが、トイレットぺーパーや丈夫なペーパータオルも常備しておきたい。

無香料・ノンアルコールのウエットシート

大人用もあるけど、赤ちゃんのオムツを取り替えるときとかにお尻を拭くために使うウエットシート。汗臭い男の体を拭くためのシートとかも爽快感があって良いが、体でも使うとヤバイ部分もある程だから体拭き専用となってしまい、多用途とは言えない。

しかし、赤ちゃん用のお尻ふきシートは匂いがなくてアルコールフリーだから、体を拭くだけでなく食器を拭いたりすることもできて万能だ。食器洗いに大量に水を使ってしまうより、先ずはペーパータオルやトイレットぺーパーでざっと汚れを拭き取り、その後さらにウエットシートで拭き取るのが合理的だ。

また、なかなか体全体を洗うことができなかったとしても、部分的に清潔に保つことは病気の予防にも繋がる。そういった意味でも非常に役立つアイテムだ。

消毒用アルコール綿・指先洗浄スプレー

子供の頃から食べる前には手を洗うようにと誰もが言われてきたと思うが、不衛生な手での食事は病気の大きな原因となってしまう。特に災害時などは、より注意が必要だと思う。上とは逆に手を消毒するためのアルコール綿や指先洗浄スプレーがあると、大量に水を使うことなく手を清潔にすることができる。希釈した消毒用アルコールをスプレーボトルに入れておいても良い。

また、アルコール綿は修理などで接着剤を使う際に、接着面の汚れや油分を落とす(これをするかしないかで接着力は大きく変わる)のにも便利だ。

その他の常備品について

食糧

私は、昼食用にカップ麺の類を幾つかとスナック類を車内に常備している。台風などようにある程度予測のつく災害なら、それに対して食糧を備えることもできるが、地震のように予測のつかない災害の場合はそうも行かない。日持ちのする食糧をある程度車内に常備しておくことも大切だ。

火器

調理のできる設備がなければキャンピングカーとして8ナンバーを取得することができないため、8ナンバーの正式なキャンピングカーなら車内に何かしら調理のできる設備が整っているはずだ。

しかし、中には電源を確保できることが前提の設備しかないものもあるし、逆に8ナンバーでない車の場合は車内に調理設備を設置してしまうことができないため、常に調理の設備を積んでいるとは限らない。

お湯がなくても食べられる食糧を常備品としておくのも一つの手段だが、お湯を沸かせるだけでも非常にありがたい。やはり火器類は必須の装備だ。火器にも色々あるが、なるべく燃料を入手しやすいものが良い。

ガスならOD缶と呼ばれるものを使用するタイプよりCB缶(所謂家庭用のカセットガス)の方がずっと入手がしやすい。私はキャラバンにはイワタニのマーベラスというカセットコンロをいつも積んでいる。価格はカセットコンロにしては少し高めだったが見た目もいかに家用っぽくなくて良いし、使用していないときは本体のカバーとなる風防がついていて、ケースなどが不要な点が便利だ。

そして、この風防は風を防ぐことは勿論だが、上の写真のように燃えやすい物が近くにあるようシチュエーションでも比較的安心して使えるところも良い点だ。

アルコールはガスより火力は落ちるが、薬局があればどこでも入手できるので、アルコールも入手のしやすい燃料だ。上の写真のトランギアのアルコールストーブとコッヘルのセットは、風防も含まれていて効率が良く、コンパクトにまとまるから小さな車でも邪魔にならないので、バモスにはこれを積んでいる。

他にガソリンや灯油を燃料とするストーブもあり、灯油もだが、ホワイトガソリン専用ではなくレギュラーガソリンが使えるタイプなら燃料は入手しやすいことになる。そしてガソリンストーブも灯油ストーブも火力が強いのが魅力だが、どちらも決して点火が簡単とは言えない。

そして、決して推奨はできないが、ガスコンロなら車内でも使おうと思えば使える(必ず十分な換気は必要)が、ガソリンストーブ灯油ストーブどちらも間違っても車内や狭いテント内で使おうなんて思ってはいけないところがガスとの大きな違いだ。

固形燃料とそれ用の五徳というのも安価で手軽ではある。また焚き火という手もある。効率良く燃やすことができ、鍋釜を載せる五徳の備わった焚き火用グリルなどもあれば便利だが、焚き火はできる場所も限られるため、やはりガスやアルコールを燃料とするストーブが基本だと思う。

グローブ(手袋)

キャンピングカーに限ったことではないが、普段から車をいじらなければならない時は勿論、キャンプでは何かと必要になることが多いので、作業用のグローブは車に常備しておくべきだ。勿論災害時にも大いに役立つことがあると思う。

最近は上の写真のような掌側が滑らないゴムで背側がニットでフィット感の良いグローブが手頃な価格で手に入る。写真のものはワークマンで10双980円。軍手も良いけど、こっちの方が濡れた場合にも強いので、一袋用意しておくと良いと思う。

車の燃料について

「EVは停電したら家の電気製品の電源ともなる」といった説明がある。間違いではない。しかし良いこと尽くめのような説明で誤解を招いたりしていないかと思うことがある。

当たり前のことだが、家で使いたい放題家電製品を使ってしまったら、車を走らせるための電気は無くなってしまう。そして当然ながら停電していたらEVに充電はできない。車は、災害時に安全な場所へ逃げるための重要な手段であることも忘れてはならない。

ソーラーパネルだけで走行に十分な電気を確保できたら素晴らしいが、現状ではそれはまだ無理なようだ。停電したらお手上げのEVと比較したら、まだガソリンや軽油などの燃料の方が入手できる可能性がある点では災害時にも強みがある。

または化石燃料で発電して大容量のバッテリーを備えていて、電気モーターで走らせるタイプが現状では現実的に非常時にも役に立つ仕組みなのではないかと思う。

以前何かのテレビ番組で、「自衛官は非常時に備え、自分のプライベートな車の燃料も常に半分以下にならないように給油している」と聞いた。それを聞いて以来、タンクの残量が半分以下にしたまま家に帰らないように心掛けていたのだが、それが大正解だった。停電するとガソリンスタンドはポンプが動かせなくなり、軒並み休業となってしまう。

甚大な被害を被った15号のときも、鴨川は幸い駅近辺が停電しなかったため、駅近くのガソリンスタンドが営業していたのだが、それはそれは凄い長さの列ができてしまった。しかし、私は自衛官を見習って車2台とも半分以上ガソリンが残っていたし、携行缶に刈り払い機やチェーンソーに使うためのガソリンも確保していたため、その列に加わらずに済んだのは幸いだった。

台風15号の後にキャラバンの室内を少し模様替えし、新たに導入したアイテムがあったり、カートラジャパンで見つけた面白い物の話もあるのだが、長くなってしまったのでその話はまた次回。

ライター:笠原 サタン

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