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「まるでちっちゃな戦闘機」奇妙な3輪スポーツカー『ボンド・バグ』の侮れない性能

小排気量3輪車でも楽しいクルマは作れる!

flickr.com Author:Steve Knight CC BY-SA 2.0

最近の2輪車は厳しい排ガス規制に対応し、125ccエンジンを従来の50ccエンジン相当へ出力を制限すれば、「原付免許で乗れる原付1種として認めよう」となりそうですが、一部のネット上では3輪/4輪のミニカー登録車も125ccまで認めてほしい、と議論されています。

単なる実用車なら50cc、あるいは相当するモーターでも十分ですが、遊び心や趣味性を求めるクルマ好きにとっては「超小型モビリティの普及を促すイメージリーダーとして、アリじゃない?」というわけですが、実際に昔のイギリスでは面白い超小型車がありました。

それは最終的に2001年までリライアントが生産していた「ロビン」など3輪自動車ですが、中でも、もっとも奇抜で意外な高性能を発揮したのが、3輪2シータースポーツ的な「ボンド バグ」です。

税制改革後もしぶとく生き残ったイギリス製3輪車

その気になればリトラクタブルへ改造できそうなヘッドライトも個性的 ©Itsanan/stock.adobe.com

「軽自動車みたいなクルマは日本独自で海外にはない」的な誤った見識とは異なり、海外、特にヨーロッパにおいて、自動車が一定の進化を遂げた1920年代あたりから「普通のクルマより簡素だけど、安いなりに実用性や趣味性もあるクルマ」は普通にありました。

ヴォワチュレット、サイクルカーなど国や時代によって呼び方は代わり、第2次世界大戦後もバブルカーやキャビンスクーター、そして現在もクアドリシクルとして生き残っている超小型車たちですが、中でも面白いのがイギリスで発展した3輪車です。

戦前から不景気になるとちょっと流行り、安いなりにもうちょっとマトモなクルマを欲しがるユーザー層の要望に応えて安価な4輪車、戦前ならオースチン セブン、戦後ならBMCミニ(旧ミニ)へ取って代わられたものの、根強い愛好家は今も絶えません。

何しろ3輪ですから、いくら4輪車っぽく外装を整えても…否、整えようとするほどユーモラスな見かけになるので、実用性第一のユーザーはサッサと安価な4輪へ乗り換えますが、趣味性を求めるクルマ好きにとっては格好のオモチャというわけでして。

しかもイギリスでは1962年までこの種の3輪車は非常に税金が安く、かつサイドカーつき2輪と同じ扱いでオートバイの免許で乗れたため、安価なクルマを求めるユーザー層にも人気だったわけです。

もっとも、購入時の税金が4輪となってからの人気は低調で、リライアント・モーターがボンド・カーズを合併するなどの業界再編、4輪車も並行して販売することで、どうにか命脈を保っていました(今ではモーガンのスリーホイラーくらいになりましたが)。

奇妙な3輪スポーツ?ボンド・バグ

100マイル(約161km/h)スケールのスピードメーターで実際に最高速は76マイル(約122km/h)に達するという ©Steve Mann/stock.adobe.com

1970年代に入る頃も「リーガル」シリーズの3輪車を生産・販売していたリライアント・モーターですが、リーガルをベースに若者ウケを狙って思い切ってスポーティに振り切った3輪車を開発します。

買収した「ボンド」ブランドを使ってボンド・バグとして1970年に発売しましたが、これがまたカッコイイというか、奇妙というか…?

まず、全長が短いながらも独立トランクすら持つノッチバックセダンだったリーガルのテールを後輪の上でバッサリ切り下ろし、フロントはリトラクタブルライト風に突き出したヘッドライトを持つ、クサビ型のウェッジ・シェイプデザイン。

テールをバッサリ切ったので2シーターに割り切ったコックピットへは、サイドカーテンとビニール窓による幌ドアを開き、高いサイドシルをまたいで乗り込む…と思いきや、なんとヘッドライト直後のヒンジを支点にルーフごとガバッと開く、前開きキャノピー!

航空機でも旧ソ連製Mig21戦闘機などで採用例がある前開きキャノピーですが、クルマでhなかなかお目にかかれません。

ひっくり返った時は脇から這い出ればいいですし、何ならキャノピーを外せばビーチバギー風にもなって心地よさそうですが、クルマに限らずFRPボディの製造を得意とするリライアント・モーターならではの、なかなか遊び心がある面白いクルマでした。

初期のミニより速い、意外な高性能

flickr.com Author:Steve Glover CC BY-SA 2.0

しかしボンド・バグは単に「面白そうな見た目」だけにとどまらず、見た目を裏切るような。裏切らないような…奇妙な見かけですから、どっちとも言えませんが…高性能を誇りました。

わずか30馬力足らずな700cc直4OHVエンジンながら、車重は400kgを切っていましたからパワーウェイトレシオは日本の360cc軽自動車の高性能版に匹敵、トルクウェイトレシオは上回るくらいで、最高速度は約122km/h。

ミニでもっとも安価な850cc版、あるいはヒルマン インプなどの安価な小型4輪車に匹敵する動力性能で高速走行を余裕でこなし、後に750ccエンジンへ換装されています。

もちろん、ミニのように後席やトランクを持たないため実用性は限られましたし、750ccエンジンはリライアント・モーターの新型3輪車「ロビン」への供給が優先されて、ボンド・バグは1974年までの短命で終わりました。

しかし、そのいかにもリライアントらしいデザイン(同社にはカッコイイとユーモラスとも受け取れるクルマが多かった)と趣味性丸出しなコンセプトで、変わったクルマ好きには今でも愛されています。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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