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2度も名前を変えたけど…見た目は変わらず本家との差別化が難しかった?スズキ ワゴンR+【推し車】

約1年半しか販売されなかったワゴンR+(プラス)

さすがスズキ歴史館、国内の車名としては短命だったワゴンR+も展示しています

大ヒットとまではいかないまでも堅調なスマッシュヒット作、コンパクトカーにも軽自動車同様に「後席スライドドア付きスーパーハイトワゴン」のブームを持ち込んだスズキ ソリオですが、もともとはワゴンRを拡大した、普通の後席ヒンジドア式トールワゴンでした。

最初は旧規格軽自動車時代の初代ワゴンRをベースに、「ワゴンRワイド」として1997年に登場、ワゴンRが新規格へ変わると、新規格軽自動車をベースにした新世代の小型車用プラットフォームで、1999年に「ワゴンR+(プラス)」として生まれ変わります。

2000年12月に「ワゴンRソリオ」へ改名したため、ワゴンRソリオ+としてはわずか1年半ほどの販売でしたが、スズキ歴史館ではその貴重な姿を展示中です。

ワゴンRワイド時代から、海外では「ワゴンR+」だった

2代目ワゴンRを拡幅して5人乗りとましたが、後席ヘッドレストが左右2名分だけで軽自動車版と見分けにくいのは残念

短いボンネットと分厚いフロントマスクで背高ノッポの専用ボディ、座面を高くして高さ方向で車内スペースの余裕を稼ぎ、視界も広く取ることで、ただ背が高いだけだったフルゴネットタイプの軽トールワゴンから一線を画した、初代スズキ ワゴンR。

1993年に発売されるや大ヒット、他社も追従したうえ、さらに背が高く、後席にスライドドアを採用したスーパーハイトワゴンへ発展、現在も軽自動車に国民車的な地位を与えているほど、革命的なクルマでした。

当初は単に軽自動車の一種だったものの、寸法や排気量を拡大すれば、コンパクトカーとしても世界的に需要があるとスズキでは考えたようで、1997年にプラットフォームを拡幅して1リッター4気筒エンジンを搭載、定員5名の小型車版「ワゴンRワイド」を発売します。

この型は「ワゴンR+(プラス)」として海外へも輸出または現地生産され、スズキ以外にも提携していたGMの「シボレー」ブランドなどで販売されました。

1998年10月、軽自動車が衝突安全性能の向上を目的として寸法を拡大、現在の「新規格」になるとともに軽自動車版ワゴンRは2代目へモデルチェンジ、小型車版も1999年5月に後を追い、日本でも海外名と統一した「ワゴンR+」として発売されました。

新規格軽自動車のプラットフォームがベースの、国際戦略車

横から見ると、ほとんど2代目ワゴンRそのもの

ワゴンRワイド改め「ワゴンR+」でも、軽自動車版ワゴンRを拡幅したプラットフォームを採用(※)、モノコックボディも同じく拡幅されているもののホイールベースは同一で、外装など軽自動車版と部品共通化を図り、低コストで小型車版を開発しています。

(※スズキデジタルライブラリ「ワゴンRワイド/ソリオ」

エンジンも同じく、軽自動車用660cc3気筒エンジン「K6A」へ1気筒追加&ロングストローク化した「K10A」の自然吸気版(70馬力)とターボ版(100馬力)を採用するなど、低コスト路線は先代と同様ですが、ひとつ違ったのはその役割です。

当時、GMグループの一員だったスズキでは、このプラットフォームを同グループの各ブランドで販売する低価格小型車用と位置づけていました。

日本ではシボレーのバッジをつけた「シボレー MW」として販売したほか、ヨーロッパではオペルのエンジンを搭載して東欧で生産、「オペル アギーラ」、または「ボクスホール アギーラ」として販売。

初代スイフト(海外名イグニス)にも転用され、GMグループ低価格小型車部門時代の末期だったスズキを代表するプラットフォームでした。

日本では販売面でそれほど目立たなかったワゴンR+ですが、世界的には大きな役割を果たしたモデルです。

ワゴンRソリオを経て、「ソリオ」へ

ワゴンR+→ワゴンRソリオ→ソリオと2度も改名したのは珍しい例ですが、出世魚のように大きくなったり見た目が大きく変わったりはしませんでした

せっかく海外名と統一した「ワゴンR+」でしたが、発売から約1年半後の2000年12月、従来の1リッターターボを1.3リッター自然吸気エンジン(M13A)へ更新するなどの改良を機会に、「ワゴンRソリオ」へと再改称しました。

軽自動車が新規格へと更新された一時期、スズキは軽ベース小型車の「エブリイ+」(1999年発売)を2001年5月に「エブリイランディ」へ、「ジムニーワイド」(1998年発売)を2002年1月に「ジムニーシエラ」へ更新するなど、改良を機会に改名しています。

三菱の「パジェロミニ」やダイハツの「テリオスキッド」のように「軽自動車の方が縮小版」と思えるネーミングと異なり、「軽自動車の拡大版」というイメージを嫌ったのかもしれませんが、ワゴンRソリオでも結局は同じ。

2005年8月にはワゴンRを外した「ソリオ」へと改名しますが、その頃には3代目へモデルチェンジしていたワゴンRに対しても旧式化してしまい、国内販売は上向かないまま終わります。

スズキがこのジャンルで遅咲きの花を咲かせるには、ワゴンRよりパレット(現・スペーシア)拡大版の後席スライドドア付きスーパーハイトワゴン、2代目「ソリオ」(2011年1月)を待たねばなりませんでした。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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