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スズキ ジムニーのピックアップ特集!生産台数3ケタの希少車も
オートサロンで話題になったジムニートラック
近年では、2019年に催された東京オートサロンで注目を浴びたジムニートラック。
現代世代の若い人には、真新しいトラックのスタイルとして、年配の世代には、懐かしいスタイルとして捉えられたようです。
近年では、トラックといえばキャブオーバータイプで、ボンネットが無いタイプの車両が主流です。キャブオーバーは、積載量を増やすため、可能な限り乗員スペースを前にし、荷台を確保するスタイルともいえ、トラックが正常進化した姿といえるでしょう。
トヨダトラックG1型など、かつてのトラックは、日本車のみならず、アメリカ車、ヨーロッパ車、どこの車両にも共通してボンネットがあるトラックが主流だったことに由来しているのではないでしょうか。
例えば、ジブリ作品の中でも有名な「カリオストロの城」や、「紅の豚」では、劇中に登場するトラックの多くにボンネットタイプの車両が多く描かれています。
他にも「となりのトトロ」に出てくるバスも、「魔女の宅急便」にもボンネットバスが登場します。概ね1960年代から1970年代の物語ともいわれるのが、これらのアニメです。
このことから、ボンネットトラックや、バスがアニメでも描かれるほど、1970年頃より前は、そのスタイルが一般的だったことが伺えます。
過去にもジムニートラックは存在した
オートサロンで話題になったジムニートラックには、ボンネットがあり、ガッシリとした荷台が取り付けられていました。
そんなジムニートラックですが、1970年にデビューした当時、四輪駆動車はランドクルーザーや、ジープといった大型のものが主流でした。
小型の本格四輪駆動車としてデビューしたジムニーは、唯一無二の小さな本格四輪駆動車として存在し、現在まで人気を博す車両となります。
そのなかで、ジムニーシリーズのモデルのひとつに、LJ80Pというモデルがあり、これが初代のジムニートラックと言える存在です。
海外では、スズキ・サムライという名前で販売されているジムニーですが、そちらはジムニー8と呼ばれる、800ccエンジン仕様で販売されており、トラック含め輸出仕様を主眼として作られていたようです。
生産台数たったの321台?幻のジムニートラック
その後、次の世代となるSJ40Tというモデルでも、トラック仕様のジムニーが販売されます。その生産台数は300台前後しかないといわれており、希少車です。
中古市場にもこういったトラック仕様のジムニーは皆無で、マニアであれば是非とも1度は見てみたい1台といえるでしょう。
それ故に、探すことを諦め、軽トラックと同じラダーフレームの特性を活かし、自分でジムニートラックを作ってしまう人も多いようです。
おおよその材料として、キャリィトラックの荷台を取り外して、ジムニーにドッキングするスタイルが主流で、タイヤが干渉しないように台座を新たに作ったりなど、切った張ったの作業で制作されているようです。
ちなみに現在でもニュージーランドのディーラーではジムニーシエラのピックアップ仕様が販売されています。
現代っ子には斬新な見た目
1980年以降生まれの年齢が、30歳から40歳となった現在の日本で、ボンネット付きのトラックは珍しく、斬新なデザインとして捉えられるようになったといえるでしょう。
その理由は、ジムニーが販売された1970年代はキャブオーバータイプが増えましたが、それ以前の1960年頃は、まだまだボンネットトラックが主流だったからです。
今、働き盛り、子育て中の大人たちは、ボンネットタイプのトラックやバスを見る機会は極端に少なく、それ以前の大人とジェネレーションギャップが生じています。
ボンネット付きトラックの人気車は、サニートラック、パブリカピックアップなどあります。海外ではトラック人気が高い地域で、シボレー・エルカミーノや、ホールデン・モナーロなど、乗用車ベースにトラック化したモデルもあります。
現在の日本では、こういった車両が少ないため、過去のイメージが少ないため、ジムニートラックのようなボンネット付きトラックが、斬新なデザインとして捉えられたのではないでしょうか。
- 執筆者プロフィール
- 渡辺 喬俊
- 1986年生まれ、元システムエンジニアからクルマ業界へ転身、社外品サスペンションの試作や、ドライビングサポートのセンサー部品テストドライバーの仕事を経験。愛車はSW20 MR2とBP5 レガシィ。壊れない車が欲し...