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ロールスロイスとは?ルーツや歴史を紹介!
ロールスロイスとは
ロールスロイスとはイギリスを発祥とする高級車ブランドです。現在では世界中のセレブに愛されるショーファードリブンカーの代名詞ともいえる存在のロールスロイスは、もとはレースカーや航空エンジンを手がけるメーカーでした。
現在は「ロールスロイス・モーターカーズ」としてBMWが保有しており、製造と販売をおこなっています。製造はドイツではなく、伝統を重んじてイギリス・グッドウッドの工場で組み立てられています。
ロールスロイスのシンボル「スピリット・オブ・エクスタシー」
「スピリット・オブ・エクスタシー」とは、ロールスロイスのボンネット先端に鎮座する、翼の広げた精霊をかたどるオーナメントの呼称。パルテノン神殿の柱をモチーフにしたラジエターグリルとならぶロールスロイスのシンボルマークです。
ギリシャ神話の勝利の女神ニケをモチーフとされた美しいデザインから、「フライングレディ」とも呼ばれます。
ロールスロイス 110年の歴史
2人の創設者の出会い
フレデリック・ヘンリー・ロイス
チャールズ・スチュアート・ロールズ
ロールスロイスは、優れた電気技術者であり設計者の「チャールズ・スチュアート・ロールズ」と機械工学と商才に長け、レースドライバーとしても優秀であった「フレデリック・ヘンリー・ロイス」の偶然の出会いによって誕生した会社です。
チャールズ・ロールズ(Charles Rolls)はロンドンの貴族に家に生まれ、ケンブリッジ大学に入学。機械工学を学びながらロイヤル・オートモビル・クラブに所属し、レースに参戦していました。1903年にヨーロッパ車の輸入代理店C.S.ロールズを開業し、商才を発揮しますが、イギリスに優れた車がないことをずっと嘆いていました。
一方のフレデリック・ヘンリー・ロイス(Frederick Henry Royce)は、イングランドの貧しい製粉工場の家に生まれ、幼くして父をなくした後、働きながら電気工学を学んでいました。その努力が実を結び、一流の電気技術者として、20歳のときに電気部品製造会社ロイス&カンパニーを立ち上げます。
ロイスは、考案していた電気自動車に見切りをつけ、ガソリンエンジン車の開発に着手。完成した車をロイヤル・オートモビル・クラブに持ち込み、性能テストを行いました。そのときロイスの車をテストドライブしたのがロールズでした。
ロイスのつくった車に感銘をうけたロールズは、販売契約を結ぶためにイギリス・マンチェスターのミッドランド・ホテルでの昼食会にロイスを招待します。その席でふたりは意気投合し、1906年3月に「ロールスロイス(Rolls-Royce)」が創設されることなりました。
モータースポーツでの高い評価を受け航空機エンジンの開発へ着手
ロールスロイス製 グリフォンエンジンが搭載されたスピットファイア
1904年のロールスロイス設立以降、ロイスらの手により多くの車が生み出され、各国で高い評価を受けます。とくに1906年に発表した「シルバーゴースト」は「世界最高の車」と賞賛され、ロールスロイスの名は一躍有名になりました。また、ロールズ自らがドライバーとしてレースに参戦。マン島TTレースでの優勝をはじめとして、数々のレースで好成績を収めました。
1914年8月に第一次世界大戦がはじまると、ロールスロイスはイギリス軍より航空機用エンジンの開発を任されます。ロイスは自動車用エンジンの技術を応用し、水冷直列6気筒の飛行船用エンジンを開発しました。
第一次世界大戦後、フレデリック・ヘンリー・ロイスが死去
第一次世界大戦後はアメリカに工場を設立し「シルバーゴースト」や「ファントム」を販売したものの販売不振が続き、1929年の世界恐慌を期にアメリカでの生産から撤退しました。
1931年には、ル・マン24時間レースで好成績をおさめていたベントレーを譲り受け、これ以降ベントレーの車はロールスロイスのハイパフォーマンスモデルとして存続することになります。その後の1933年にフレデリック・ヘンリー・ロイスが死去。後継者にロールスロイスを託し、71歳で天国へ旅立ちました。
1939年に第二次世界大戦が勃発すると、航空エンジンの製造に注力。ロイスが晩年に手がけた液冷V12エンジンは「ロールスロイス・マーリン」の愛称で英国戦闘機「スピットファイア」に搭載され高い戦果を挙げます。
その後、さらに発展させた「ロールスロイス・グリフォン」エンジンを開発し「スピットファイア」に搭載。高い上昇能力をもつ「グリフォン・スピットファイア」として第二次世界大戦後期に大活躍しました。
1971年の経営破綻後、BMWと提携へ
第二次世界大戦終結後、新工場で新型車「シルバーレイス」の生産を開始し、アメリカで順調にセールスを伸ばし続けました。しかし、ジェットエンジン開発の失敗によって財政が圧迫し、1971年には経営破綻。ロールスロイスはイギリスの公的管理下におかれることになりました。
1973年に民間の重工業製品メーカーのヴィッカーズが「ロールスロイス・モータース」として所有。1992年からはBMWと提携し、ロールスロイス車にはBMW製エンジンが搭載されました。
その後、1998年にフォルクス・ワーゲンがロールスロイスを買収。しかし、2003年にフォルクス・ワーゲンとBMW間の契約により、ベントレーはフォルクス・ワーゲンが所有し、ロールスロイスはBMWが製造・販売する運びとなります。
BMWは、この際に車名を「ロールスロイス・モーターカーズ」としてイギリスに新会社を設立。往年の車名の復活や新型車を開発し、現在にいたるまでロールスロイスのブランドを守り続けています。
最高級ブランドとして君臨し続けるロールスロイス
ロールスロイスの車につけられる「ゴースト」「ファントム」「レイス」などの車名は、すべて幽霊を意味する名前です。
イギリスでは、幽霊は神聖なものとされ、日本のように忌み恐れられるものではありません。幽霊のように静かに走り、壊れることもないという高いエンジニアリング精度がネーミングの由来であるともいわれます。
紆余曲折ありながらも、いまなお最高級ブランドとして君臨しつづけるロールスロイス。世界中で評価されているショーファードリブンカーとしてのイメージを裏切らないモデルを、今後も発表し続けるでしょう。
(MOBY編集部 上田貴大)
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- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...