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「いつかまた日本製で復活を…」廃止からの復活を遂げた歴史あるミニバン・ホンダ オデッセイ【推し車】
ホンダらしいミニバンを求める根強い需要
国産Lクラスミニバンといえばトヨタのアルファード/ヴェルファイアが市場をほぼ独占、長らくモデルチェンジしていない日産のエルグランドが一応残っている…という程度ですが、かつてはホンダからもオデッセイが販売されており、2023年冬にも再販予定です。
オデッセイといえば国産ミニバンに革命を起こした大ヒット作の初代と2代目、スポーツミニバン的な人気を誇った3代目から4代目初期までが全盛期で、国内ではエリシオンと統合して後席スライドドアを備えた5代目はやや低調。
それでも、アルファードやエルグランドとは異なる「ホンダらしい走りのミニバン」を求めるユーザーには根強い人気があり、MOBY編集部がAIに聞いた、「30〜50代のクルマ好きが気になる名車」にもノミネートされています。
5代目はエリシオンと統合したセミハイルーフミニバン
2000年代半ばから2010年代半ばにかけてのホンダLクラスミニバンは、ライバルと同じく売れ筋でFF底床ハイルーフの「エリシオン」、従来型ロールーフでスポーティな「オデッセイ」の二本立てでした。
しかし、その頃になると国産Lクラスミニバン市場はトヨタのアルファード系(ヴェルファイア含む)がほぼ独占という構図が見えてきており、ホンダとしては同クラスに2種のミニバンを並べても共倒れになりかねないと考えたか、国内では両者を統合しました。
その結果、2013年11月に発売されたのが5代目オデッセイで、エリシオンより背が低く、4代目オデッセイよりは高い実用性とスポーティさを両立したボディに、乗降性で有利な後席両側スライドドアを備えるミニバンとして、面目を一新します。
よく言えばエリシオンとオデッセイのいいとこ取りを狙った新型車は、それまでのブランドイメージを活かして「オデッセイ」を襲名、ただ背が高くスペース効率に優れたように見え、パワフルなだけのライバルに対し、実際の実用性や走行性能で勝負したのです。
全高は1,700mm前後に留まっていたため、1,900mmを超えるアルファードに比べれば低く構えたスポーティミニバンとして、「オデッセイ」の名を受け継ぐのにふさわしいセミハイルーフミニバンだったと言えます。
マイチェンで迫力アップも生産終了、しかし中国製で再起
ライバルに比べれば背の低いオデッセイですが、ホンダお得意の薄型燃料タンクをフロア下に配置するなど、床面の低さや有効室内高、スペース効率ではライバルに決して劣らず、パワフルな大排気量V6エンジンこそなかったものの、足回りの充実で走行面をカバー。
後席両側スライドドアのため車重は増えても、「ホンダユーザー、特に従来のオデッセイユーザーが求めるミニバン」として面目はどうにか保ち、2016年2月には待望のハイブリッドモデル(i-MMD…現在はe:HEVと呼ばれるフルハイブリッドシステム)を追加します。
これで経済性でも文句のないミニバンとなっていた5代目オデッセイですが、ライバルに比べて迫力不足のフロントマスク、能力不足を指摘されていた運転支援システム「ホンダセンシング」の能力強化などを中心に、2020年11月のビッグマイナーチェンジで装い一新!
それで販売台数も上向き、総合的な販売力の差でアルファードに及ばないのはともかく、エルグランドには圧倒的な差をつけた…と思ったのもつかの間、1年と経たない2021年6月には国内生産拠点の整理によって、国内での生産・販売終了がアナウンスされました。
ホンダファンならずとも「せっかくまた売れだしたのに、どうして?!」と、悲鳴に近い疑問が巻き起こった国内向けオデッセイ廃止劇でしたが、根強い要望に応えたホンダは2023年4月に中国で継続生産していたオデッセイを日本で輸入販売すると発表。
アコードなど海外向けがメインのセダン同様、「ホンダは少数でもお客様が求める車種の供給を続ける」という施策の一環で輸入される中国製オデッセイは、以前のようにヒット作にはならなくとも、ホンダファンにとってはかすかな希望の星であり続けるようです。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
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- 執筆者プロフィール
- 兵藤 忠彦
- 1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...