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日本の『シビック タイプR』は“ニュル最速FF”ではない?記録更新は「軽量グレード」
記録を更新し“ニュル最速のFF”となった新型『シビック タイプR』
ホンダは2023年4月20日に、前輪駆動のスポーツカー『シビック タイプR』がニュルブルクリンク北コースにおいて、FFモデル最速ラップタイムとなる7分44秒881を記録したことを発表しました。
この記録を支えた主な技術としてホンダは、先代モデルと比較しエンジンの出力向上や冷却、空力の向上、またブレーキのコントロール性や安定性を高めたほか、タイヤ銘柄を市販されるシビック タイプRが標準で装備する「ミシュラン パイロットスポーツ 4S」から「ミシュラン パイロット スポーツ カップ2 コネクト」へ変更していたことを、日本国内向けに発表したプレスリリースで挙げています。
タイヤの変更のみでニュルブルクリンク北コースにおける公式記録を更新したことは、新型シビック タイプRの動力性能の高さを窺い知ることができるエピソードです。
しかし、国外で発表したシビック タイプRのニュルブルクリンク北コースにおける記録に関するプレスリリースでは、日本向けのプレスリリースには記載されていない、仕様に関する情報が記載されています。
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記録を更新したのは軽量化を図った『タイプR Sグレード』
現地時間で日本と同日に発表されたシビック タイプRのニュルブルクリンク北コースにおける記録に関するグローバル向けのプレスリリースでは、日本と同様に前述の性能向上や変更点を記録を支えた技術として伝えています。
しかし、このプレスリリースには注釈がついていて、その内容は「ラップタイムは、最新モデルの軽量版となるタイプRを使用して計測。このモデルは“タイプR Sグレード”として、ヨーロッパの左ハンドル市場でのみ注文が可能となる予定」というもの。
つまり、標準のシビック タイプRからさらに軽量化したヨーロッパ向けに販売する『シビック タイプR Sグレード』がFF車最速ラップタイムの記録を更新したことがわかります。
安全のためのロールケージ等を装着し、その分の重量増を相殺する目的で部品の撤去などによる軽量化を行なうメーカーはありますが、ホンダがYouTubeで公開したシビック タイプRの走行映像では、ロールケージが装着されていることは確認できませんでした。
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「ニュル最速仕様車」の日本導入に期待したい
日本向けのプレスリリースでは標準装備するタイヤを「ミシュラン パイロット スポーツ カップ2 コネクト」に変更しただけでニュルブルクリンク北コースにおけるFF車最速ラップタイムを更新したように見えたシビック タイプR。
しかし、グローバル向けのプレスリリースでは、タイヤの変更に加え、軽量化を図った『シビック タイプR Sグレード』が記録を更新したことがわかりました。
標準の新型シビック タイプRの公式記録をホンダが公表していないため、日本でも販売された『シビック タイプR』と、ニュルブルクリンク北コースにおける最速FFとなった『シビック タイプR Sグレード』のタイムに違いはない可能性はあるものの、その可能性は高くないと考えることが現実的です。
日本仕様車のシビック タイプRでも高いポテンシャルと動力性能を備えていることは間違いないのですが、ハンドル位置以外にも異なる点がある、欧州で販売される予定の『シビック タイプR Sグレード』がニュルブルクリンク北コースにおける最速FFとなったことは、日本向けのプレスリリースでも伝えてほしいと考える人は少なくないでしょう。
現在は注文の受付が一時停止となっているシビック タイプRですが、再開された折にはまさしく「ニュル最速のFF」となる欧州の『シビック タイプR Sグレード』に相当する、軽量グレードの日本導入を期待したいところです。
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- MOBY編集部
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