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【シトロエン 2CV】卵を割らずに運ぶ!愛された大衆車
装飾より機能美。徹底的に無駄を排した2CV
2CVは、フランスカーメーカー・シトロエンが激動期に製造した小型乗用車。ヨーロッパでの大衆車普及を目指し創業されたシトロエンにとって、躍動するきっかけとなったヘリテージモデルです。
2CVのデビューは1948年。パリサロンにてワールドプレミアが実施され、翌年から販売が開始されました。開発チームの指揮を執ったのはピエール・ブーランジェ。何年もの間大衆車とは何かを温めてきた彼は、開発にあたり「車が野原を横切る際、卵を割らずに運べること」さらに「傘がある4輪車」をコンセプトとしました。このことは悪路走破性の高さと無駄を排した車を作ることを意味し、チームは悪戦苦闘しながらもついに2CVを完成することとなります。
初披露された2CVは、独立したフェンダーを持つクラシカルな形状に平面ウィンドウ、ボンネットは波板に強度を施したのみという極めてシンプルなデザイン。その評価は賛否両論を呼びますが、低価格・高機能・実用性を兼ね備えた2CVは瞬く間に大衆に受け入れられ大きな反響を呼ぶこととなったのです。
2CVは1990年に排ガス規制・安全基準クリアが困難となり終了となるまで、約42年のあいだ基本を変えることなく約386万台を生産しました。
広くて乗り心地はしなやか。2CVが愛された理由
無駄なものを一切持たずシンプル極まりない2CVは、室内空間はホイールベースが2,400mmと広く乗降しやすい4枚ドアを採用。全高も山高帽を被ったままでも楽に乗車可能となる1,600mmが確保されました。この車高は同時期に発売されたフォルクスワーゲン タイプ1と比較しても100mm大きいものです。
エンジンは375cc 水平対向2気筒の通称フラットツインを搭載、駆動方式は斬新な前輪駆動(FF)。サスペンションは前輪がリーディングアーム、後輪がトレーリングアームの前後関連懸架を採用することで、最高出力は9PSであるものの、しなやかでフラットな乗り心地とし最高速度も55km/hを確保。卵を割らずに運べる機能的な2CVの仕様は多くの国民から愛されることとなりました。2CVはその後排気量を602ccとし、最高出力を29PS、最高速度も110kg/hまで拡大しています。
2CVには4ドア標準モデルの他にも、後部が荷室となるフルゴネットやフロント・リア2基エンジンのサハラ、ビーチカーのメアリなどがラインナップされ、1980年には2CV 6 チャールストンを限定販売。チャールストンは好評のためその後正規モデルとなりました。
2CVは、使い勝手の便利さのみが強調されがち。しかし、書籍「CITROEN ORIGINS 100年のシトロエン」によれば、70年代にはアフリカなどでラリーレイド・イベントが開催され、ワンメイクレース・2CVクロスを実施。若者の間では、2CVを駆り世界中を旅することがブームにもなっていて、日本へ立ち寄ることもあったようです。
2CVの人気は普遍的!相場価格は高め
フラットな乗り心地はシトロエンの真骨頂
未だに世界中にコアファンが存在し愛される2CV。日本も例外ではなくその人気は普遍的で相場価格は高めとなりますが、現在流通しているのは残念ながらチャールストンのみで80万~180万円で推移しています。(2019年10月時点)
シトロエン 2CVのスペック詳細
- エンジン:グレーの2CV AZ: 425cc ホワイトの2CV 6 スペシャル: 602cc
- 最高出力:グレーの2CV AZ:12PS/3,500rpm ホワイトの2CV 6 スペシャル:29PS/5,750rpm
- 最大トルク:-
- ボディサイズ:全長3,780mm 全幅 1,480mm 全高 1,600mm ホイールベース 2,400mm
- 車両重量:500kg
- トランスミッション:4速MT
- 駆動方式:FF
- 乗車定員:4人
- 新車時車両価格:-
ノスタルジーを感じるドゥセボーのリアビュー
*本記事の画像は2019年8月に開催されたシトロエン創立100周年イベント「シトロエン・センティナリー・ギャザリング」にて撮影。
※参考文献:オクタン日本版特別編集 “シトロエン オリジンズ 1919-2019”(世界文化社)
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- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...