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車の緊急脱出用ハンマーの必要性と使い方|おすすめ商品4選【車が水没したとき】
緊急時に車の強化ガラスを割るには、身の回りにあるものでは難しく、危険を伴います。車用の緊急脱出用ハンマーを携帯して、車の水没や事故時に素早く車外に脱出できるようにしましょう。緊急脱出用ハンマーの選び方や使い方、おすすめ商品を紹介します。
目次
車の水没 危険度早見表
水の量 | 危険度 | 状態 |
ドアの下端ほど 車内浸水し始めた | ★★☆☆☆ | まだ走行可能だが、 エンストの危険あり! |
水深60cm | ★★★☆☆ | エンストする |
水深70cm | ★★★★☆ | 電気系統が故障し始める |
水位90cm | ★★★★★ | パワーウィンドウが 作動しなくなくなる |
車が水没したら、走行可能な水深は「ドアの下端」まで
水深60cmを超えるとエンジンが止まる
水深60cmにまで冠水した道路を走ると、車はある程度までは進むのですが、途中でエンジンが停止(エンスト)してしまいます。このエンストは偶然ではなく、車の構造的に必ず起こってしまいます。
車は、エンジンにガソリンと「空気」を取り込み、燃焼させることで動いています。この燃焼した空気(排気ガス)は自動車後部の排気口から排出され、再びエンジンから新鮮な空気を取り込むことを繰り返しています。
冠水した水によりマフラーが水没した状態になると、排気ができない上、新鮮な空気も入らず、エンジンの調子も次第に悪化、最終的にはエンストしてしまうのです。
エンジンが新鮮な空気を取り込む口に直接水が入り込むと、エンジンが停止してしまいます。こうなると、再びエンジンをかけることは不可能となります。
一般的に自動車は、ドアの下端までの冠水であれば走行可能とされています。水深60cmでも車内まで浸水しますので、車内まで水が浸かるタイミングとエンジンの故障は同じタイミングと考えて良いでしょう。
水深70cmを超えると電気系統系の誤作動が起きる
水深60cmでさえ、エンストを起こしてしまう車ですが、動画では今回はそれ以上に沈めた場合にどんな現象が起きるかを実験しました。
水位:70cm
- ヘッドライトフォグランプが誤作動により点灯
- 誤作動により後席の窓が開く
水位:90cm
- 運転席パワーウィンドウ作動せず
水位:100cm
- 誤作動によりワイパーが動き出す
水位:110cm
- 誤作動により点灯していたライトが消灯
このように、車は水没すると電気系統系の誤作動が多くなります。特に水深90cmを超えるとパワーウィンドウが開かなくなるので、この水深になるまでにパワーウィンドウを開き、窓から脱出する用意をしましょう。
【意外】天井近くまで水没しても「車内外の水圧の差」が無ければドアは開く
自動車が水没した際、「ドアが開かない」「閉じ込められる」ということはよく聞かれます。
水没した時にドアが開かなくなる状況は、車内の方が外よりも水面が低いケースです。このケースでは、たとえ水深が30センチでも、車外の水圧でドアは開きません。
もし、外の水面が上昇を続ける状況でないならば、浸水が進むのを待ち、車内外の水圧差を小さくすればドアが開きやすくなります。たとえ水深120cmでも、車内外の水面の高さが一緒であればドアを開けられます。
自動車が水没してまった時は、早めの脱出か浸水を待った方が良いのかを冷静に判断しましょう。
急速に車両が水没したら、迷わず窓を割ること!
車が急速に水没していく状況では、間違いなく窓を割りましょう。動画では、水深別に窓を割るのに使えるものが紹介されています。
ここでもやはり、パワーウインドーは水深90cmで作動しなくなりました。実験では、スマートフォン、ビニール傘、脱出用ハンマーなどで窓ガラスを割ろうとしましたが、実際に割れたのはハンマーのみでした。
また、緊急脱出用ハンマーには金槌タイプのハンマーもありますが、車内に水が入った状態では非常に使いにくいので、押して割るタイプをおすすめします。
車用緊急脱出用ハンマーの選び方
金づちタイプ|突起の付いた金槌
携帯できるような小型の金槌の形をしたタイプです。シンプルな見た目ですが、グリップを持って突起部分をガラスに叩きつけるだけと、簡単に使えるのが魅力。販売されている種類が最も多い、オーソドックスな緊急車用ハンマーです。
ポンチタイプ|携帯向き、女性にもおすすめ
ポンチタイプはスイッチを押すだけでガラスを割ってくれる脱出用ハンマー。力が必要ないため、女性が携帯するのにもおすすめです。持ち運びしやすいキーホルダーになっていることが多いため、レンタカーや社用車など、車を頻繁に乗り換える人が持っていると便利です。
ピックタイプ|さまざまな機能がほしい人におすすめ
ピックタイプはひと目では脱出用ハンマーに見えない形状が特徴です。LEDライトやモバイルバッテリー機能、消火機能など、オプションが充実しているため、さまざまなトラブルに備えたい人におすすめです。
マルチな機能があると便利
脱出用ハンマーは、ハンマー部分以外にもシートベルトカッターや非常用電灯、モバイルバッテリーなどの機能が備わっている商品もあります。こうしたマルチな機能があると便利です。
車用緊急脱出用ハンマーの使い方
サイドガラスを割る!フロントガラスはNG
基本的な使い方として、「緊急脱出用ハンマーは、まずサイドガラスに使う」と覚えておくと良いでしょう。 車の側面にあるサイドガラスも強化ガラスですが、適切に緊急脱出用ハンマーを使えば割ることができます。
フロントガラスは合わせガラスになっていて、割れた破片が車内に飛び込んで来るのを防ぐためにフィルムも貼られています。緊急脱出用ハンマーで叩いても、ひびが入るだけで完全に割ることができません。
リヤガラスも車種によってはフロントガラスと同様の合わせガラスになっていることがありますので、なかなか割れない可能性があります。
ガラス面に対して垂直に叩く
車の緊急脱出用ハンマーの先は、非常に硬く尖った金属が取り付けられていて、力を1点に集中することでガラスを割るようにできています。
ガラスを割るときは、緊急脱出用ハンマーの力が車のガラス面に対して垂直にかかるようにしましょう。斜めに叩くと力がガラス面にうまく伝わらずガラスが割れない場合があります。
ガラスの隅が最も力が伝わりやすく、割れやすい
車のガラスにはある程度の弾性があり、ガラスの中央に行くほど曲がりやすくなっています。ガラスが曲がると、緊急脱出用ハンマーで叩いた力も逃げてしまい、ガラスは割れにくくなります。
ガラスの隅の方は車の窓枠やピラーに接しているため曲がりにくく、垂直の力が伝わりやすいです。そのため、緊急脱出用ハンマーを使う時はできるだけガラスの隅の部分を叩きましょう。
緊急脱出用ハンマーの収納場所はどこがベスト?
シートベルトがロックしていても手の届く場所に
衝撃などでシートベルトがロックしてしまうと身動きがとれなくなるので、緊急脱出用ハンマーは緊急時にシートベルトがロックしていてもドライバーが確実に手の届くわかりやすい場所に収納しましょう。
具体的には運転席側のドアポケットや座席の脇、センターコンソールボックスの中などに設置するのがよいでしょう。
設置する際は衝撃や振動などで飛び出したりすることのないようにし、専用のカバーやホルダーなどがあればそれを使って確実に固定するようにします。
おすすめの車用緊急脱出用ハンマー
緊急脱出・救出ツール レスキューマン3
トヨタや日産などで純正アクセサリーに採用されている緊急脱出用ハンマーです。形状は緊急脱出用ハンマーとして一般的な「金づちタイプ」と呼ばれるもので、初めて使用するときでも戸惑うことはないでしょう。
日本製で国内自動車メーカーが純正オプションに採用していることからも、安心して購入できる製品です。
長谷川刃物 緊急ツール RE-20
こちらもスズキが純正アクセサリーに採用している緊急脱出用ハンマーで、一般的な金づちタイプの形状をしています。
表面に「ヨコマド ワル」、「ベルト キル」と日本語と英語で表記されているのに加えてイラストも印刷されていたり、グリップ部分のステッカーに蓄光塗料が使われていて暗闇でも場所が分かるようになっていたりと、視覚的に使い方を把握しやすいように工夫されています。
ジーエムライフハンマーエボリューション [ LIFEHAMMER EVOLUTION ] LHEBL001
先端を押し当ててガラスを粉砕する、「ポンチタイプ」と呼ばれる形状の緊急脱出用ハンマーです。
テュフ ラインランドというドイツの製品の安全試験・認証を行う機関で試験に合格した証のGSマークを取得していて、JAFでも取り扱いのある製品なので性能に問題ないと言えるでしょう。
ポンチタイプは収納時にガラスを割る金属が露出しないので、ふとした際にもケガをすることが無く安全ですが、知らない人には一見して緊急脱出用ハンマーだとわかりにくいところが難点でしょうか。
GM [ ジーエム ] レスキューミー [ RESQME ]
こちらもポンチタイプの緊急脱出用ハンマーですが、18gと小型・軽量でキーホルダータイプの変わり種です。 小型ながらガラスを割る能力は十分で、JAFの検証動画でも1回でサイドガラスが割れています。
カラーバリエーションも豊富なので、社用車やレンタカーなどに乗る機会が多いという方には、身に着けて持ち歩くのにピッタリでしょう。
【まとめ】緊急脱出用ハンマーは手の届く場所へ!浸水が始まったら早めに車外に出よう
事故時にすぐに使えるよう、緊急脱出用ハンマーはシートベルトを締めた状態でも手の届く場所に収納しておきましょう。なお、大雨や洪水で車が浸水し始めたら、早めに車外へ出ましょう。
ドアの下端までの浸水までは走行できるとされていますが、車がエンストする可能性があります。パワーウィンドウが作動しなくなる、ドアが開かなくなる前に車外に脱出できなかった場合、すぐに窓を割るようにしてください。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部 カー用品チーム