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下道が大渋滞する可能性も?“他人事”ではない「高速道路駐車場の有料化」は本当に実行されるのか?
近い将来、高速道路の駐車場が有料に?
高速道路のSA/PA(サービスエリア/パーキングエリア)が有料化され、予約も必要になる……かもしれない。そんな気になる話が浮上しています。
日本高速道路保有・債務返済機構と東・中・西日本のNEXCO、および本四高速が2022年8月に「高速道路SA・PAにおける利便性向上に関する検討会(以下、検討会)」を発足。次の内容が含まれた中間とりまとめを2023年2月3日に発表しました。
- 混雑する路線のSA/PAはすべて有料化するべき
- 有料化の際は一定時間内の駐車を無料にすることも検討するべき
有料化・予約制の対象を混雑する路線のSA/PAとし、一定時間(例として2時間、長距離利用者は10時間)の利用は無料とすることが、中間とりまとめでは提案されています。
一部のSA/PAで起きている混雑問題とは?
検討会の提案に対して「高速の休憩施設を有料にするなんてけしからん!守銭奴め!」なんて思う方もいるでしょう。
そのお気持ちはわかります……が、検討会は金儲けを目論んでいるわけではないようです。提案の背景には次のような問題があるとのこと。
- 深夜帯を中心にSA/PAの混雑が慢性化している
- 大型車の駐車マスが不足している(小型車マスも不足気味)
- 駐車マス不足によりSA/PAでの休憩機会が失われている
- 駐車マス外への駐車で危険が生じている
SA/PA混雑の原因には、物流量の増加や、短距離利用者による長時間駐車などがあげられています。また、数分間の立ち寄り駐車が深夜に多いことも、休憩が必要なドライバーの妨げになっている模様。
こうした駐車を抑制し、長距離利用者(主に大型車)の休憩機会を確保することが、有料化・予約制導入の主目的とされています。
有料化・予約制以外の混雑対策はないの?
検討会が考えているSA/PA混雑対策は、有料化・予約制だけではありません。前述の中間とりまとめでは、次のような対策も提案されています。
- 既存SA/PAの駐車マス増設・レイアウト変更
- SA/PAの新設
- SA/PAの立体化
- 大型車専用の休息用SA・PAの新設
- トイレ休憩できるミニPAの新設
- 休息のための道の駅への一時退出(一般道への一時退出)
駐車マス増設・レイアウト変更については全国各地で実施中、道の駅への一時退出は社会実験が行われています。
検討会の提案する混雑対策には、一定の効果を期待できそうです。ただ、建設コスト確保や利用者管理などの課題があるため、各種対策の実現には時間を要するでしょう。
- 執筆者プロフィール
- 加藤 貴之
- 1977年生まれのフリーライター。10年以上務めた運送業からライターに転向。以後8年以上にわたり、自動車関連記事やIT記事などの執筆を手がける。20代でスポーツカーに夢中になり、近年は最新のハイブリッド車に興...