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人の醜さ全開?車いすマークがあれば、誰でも優先スペースに駐車できるの?
車いすの絵が地面に書かれた駐車スペースに、車いすマークを掲示した車が停まっていることがあります。さらに「車いすマークを車に掲示しているにも関わらず、車いすを使っていない」というシーンも見かけることがあります。
実は「車いすマーク」は自家用車に貼るためのマークではないのです。多くの人は車いすの絵が描かれた駐車スペースの利用方法について、誤解しているかもしれません。
「車いすマーク」の本当の意味、知ってる?
「車いすマーク」こと障害者マークは「障害をもつ人でも利用できる建築物・施設」を表すために使われているアイコンであり、別名で”国際シンボルマーク”とも呼ばれています。建築物もしくは施設に付帯したトイレ、エレベーターの設備、バス、電車などの公共輸送機関でよく見かけますね。
つまり、車いすマークは公共施設や公共交通機関に掲示されるものであって、そもそも自家用車に貼り付けるものではありません。
日本リハビリテーション協会によれば「個人の車に表示することは、国際シンボルマーク本来の主旨とは異なります。 障害のある方が、車に乗車していることを、周囲にお知らせする程度の表示になります」とのこと。さらに日本身障運転者支援機構によれば「自家用車は公共交通機関ではありませんので、趣旨と異なる利用法と言えます」と示しています。
よって、「車いすマークを掲示した車が優先スペースに停まっている」というのは、本来おかしい事態とも考えられます。
車いすマークを誤解・悪用して優先スペースに止めている車も…
ところが、車いすマークを車に掲示していれば、優先スペースへ駐車できるものであると誤解、あるいは悪用しているユーザーも多いようです。
筆者の地元にある市民センターの運営担当者からは「車いすマークを貼り付けて優先スペースに車を駐めている来訪客と、本来優先スペースを使うべき来訪客とのトラブルに遭遇したことがあります」という話を詳しく伺うことができました。
来訪客は、市民センターに申請の手続きを行いに来た、車いすを使う年配の男性がいる家族でした。しかし、車いすマークを貼り付けて優先スペースに駐められている車があったため、やむを得ず車に乗ったままの状態で優先スペースの付近で待機していたそうです。
すると数分後、優先スペースに止めていた車のもとへ戻る1人の男性が現れました。そのまま車へ乗り込み駐車場を離れようと車を出そうとしていたのを、家族の1人が問い詰めます。
しかし、男性は「車いすマークを貼っているから問題はない」と答えただけで、そのまま優先スペースから車を出して去っていったそうです。
立ち去った車には「養護老人ホーム〇〇」と書かれたロゴが書かれていたことから、介護施設の職員だったのではないかとのこと。
その男性の受け応えを聞いた家族の1人は憤りを感じ、即座に公共施設へ事情を説明し、クレームを入れたそうです。
これを受けて市民センターは優先スペース周辺に注意書きを増やす対策を行い、駐車場の見回りを増やすなどの対策を施したとのこと。その後、トラブルを起こした男性のような利用客は現れていないそうです。
この場合、男性の車は介護施設の車両であるので、車いすマークが貼られていることは間違いではありません。しかし、「車いすマークが貼ってあるから、どんな人が乗っていても優先スペースに駐車してよい」という認識は誤っているのです。
- 執筆者プロフィール
- 長谷川 優人
- 1990年生まれ。30代突入と同時期にライター業を開始。日常系アニメと車好き。現在所有はワゴンR(MH95S)。アニメ作品の聖地巡礼などで、各地へドライブに出かける。