更新
MT派もAT派も必見!下り坂でブレーキがきかなくなったときに《絶対にやってはいけないこと》とは?
下り坂でブレーキがきかなくなるトラブルに注意!
日常的にブレーキの状態を確認していても、運転の仕方でブレーキが効かない状態に陥ることがあります。代表的なものが「フェード現象」です。
これは、山道の下り坂などで、フットブレーキを使い続けていると起こるトラブル。ブレーキディスクとブレーキパッドが摩擦を続けると異常高温となり、ブレーキパッドの摩擦力が一気に低下。これによって制動力が失われてしまうのです。
この状態でもさらにブレーキをかけ続けると、今度は「ベーパーロック現象」が起こります。
異常高温の熱がブレーキパッド→ブレーキキャリパー→ブレーキフルードへと伝わり、ブレーキフルードがやがて沸騰。その結果、ブレーキホースの中に気泡が発生し、ペダルを踏んでもその圧力がブレーキキャリパーに伝わらなくなり、制動力が失われるのです。
もちろん、ブレーキ機構上のトラブルで制動力が失われることもありますが、これらフェード現象やベーパーロック現象は、勾配がきつい下り坂が連続するような道で、多人数乗車や荷物をたくさん積んでいたりすると、意外と簡単に起きてしまう点が怖いのです。
「ブレーキが効かなくなった!」どうすればいい?
ブレーキが効かなくなったら、まずエンジンブレーキを
運転にいきなりブレーキが効かなくなったら、パニックになるのは仕方がありません。しかし、アクシデント時ほど落ち着いてトラブルバスターをすることが大切です。
“ブレーキが効かない!”と感じたら、まずエンジンブレーキをかけていきましょう。
MT車の場合は、ゆっくりとギアを落としていきます。あせってギアを落としすぎると、トランスミッションを痛めたり、スピンに陥ることがあるので、1速ずつ減速するのを確認しながらシフトダウンします。
マニュアルモードが付いているAT車の場合は、MT車と同じような要領で操作します。
ただし、電子制御ATにはセーフティ機構が付いているので、速度が速すぎるとECUが判断した場合は、シフトダウンしないことがあります。この場合は、手前のギアで減速してから操作すればシフトダウンします。
マニュアルモードが付いていないAT車の場合は、まず「OD(オーバードライブ)」スイッチをOFFにします。ここで1段ギアダウンして減速しますので、次に「2」「L」の順にシフトダウンしていきます。
どちらの場合も、いきなり低いギアに落としてしまうと、トランスミッションの故障に繋がり、最悪の場合はスピンや横転に繋がるので焦らず1速1速落としていくのが肝要です。
サイドブレーキを使うのはシフトダウンしてから
次に講じる手段は、サイドブレーキの活用です。しかしこの方法は、電子式サイドブレーキを採用している車種では使えません。持ち上げ式、ステッキ式、足踏み式のサイドブレーキに限る方法です。
持ち上げ式とステッキ式は、解除ボタンを押しながら、まずはゆっくりとレバーを引いたり戻したりを試みます。いきなりグッと最大に引いてしまうと、やはりスピンや横転する危険があるので注意しましょう。
かなり減速して、停止しそうであれば、一気にレバーを引ききります。停止できたら、MT車はトランスミッションをバックギアに、AT車は「P」レンジに入れます。
エンジンを止めるのは絶対にやめよう
ブレーキが効かないことから、エンジンを止めようとイグニッションをOFFにすることはNGです。ブレーキ以外のメカニズムの作動が停止するため、エアバッグを含む安全装備が働かなくなるからです。
当然、電子制御式のトランスミッションも作動しなくなります。反対に、車両が完全に停止したら、火災発生を防止するためにイグニッションはすぐにOFFにしましょう。
- 執筆者プロフィール
- 山崎 友貴
- 1966年生まれ。四輪駆動車専門誌やRV雑誌編集部を経て、編集ブロダクションを設立。現在はSUV生活研究家として、SUVやキャンピングカーを使った新たなアウトドアライフや車中泊ライフなどを探求中。現在の愛車は...