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「車種によっては差別される?」海外メディアが報じたEV社会の新たな問題とは
「シボレー ボルト EVは駐車しないで!」
GM シボレーの電気自動車であるボルト EVが差別を受けていると、アメリカの自動車メディアサイト「autoevolution」が報じました。それによると、現在アメリカの一部の駐車場には以下のような文言が書かれた看板が掲げられているそうです。
Due to a recall involving battery fires,Chevrolet Bolt EVs and EUVs are prohibited from parking at this faculity until further notice.(バッテリー火災を伴うリコールのため、シボレー ボルトの EV および EUV は、追って通知があるまで、この施設に駐車することが禁止されています)
2017年に登場したボルトは、シボレーと韓国のLG化学が共同開発した電気自動車であり、ボルトは過去、充電中に発火する事故を複数件起こし、GMは何度もリコールを発表しています。
看板を掲示したと思われる駐車場の持ち主は、火災の恐れがあるシボレー ボルトに近づいてほしくないのでしょう。GMは、シボレー ボルトのバッテリーの問題が解決したと述べているものの、その不信感は容易に拭い去れるものではありません。
電気自動車の火災は消化困難
電気自動車の火災が恐ろしいと言われる原因のひとつに、バッテリーが連鎖的に炎上する「熱暴走」が挙げられます。衝撃や過充電などでバッテリー内部でショートが起こると過電流により発熱し、最終的には発火します。さらにバッテリーの燃焼によって酸素が発生し、火の手が強まる恐れもあります。
また火が消えたように見えてもバッテリー内部では反応が続いており、数時間後や数日後に再び発火する場合もあるため、電気自動車火災の消火は困難を極めます。
その周囲に車や家屋がある状態で発火すれば延焼は免れず、それが普段の充電中に起こるのであれば、特定の車を締め出すのは自らの命と財産を守るための行為として仕方ないのかもしれません。
中国では充電中の火災が社会問題に
現在までに充電中もしくは充電後に火災が大きく報道された電気自動車は、GMシボレー ボルトに加え、フォルクスワーゲン ID.3、ヒュンダイ(現ヒョンデ)アイオニック5、それにテスラです。自国製の電気自動車が大量に走行している中国では、充電中の火災がすでに社会問題となっています。
事故による車両火災は仕方がないとしても、充電中の発火は注意のしようがなく、避けようもありません。また自動車メーカー側としては、一度でもそういった火災事故が起きてしまえば、不信感を払拭するのは容易ではありません。アメリカの「シボレー ボルトは駐車しないで!」という内容の看板はその現れといえるでしょう。
ただし、この看板はその一端に過ぎません。電気自動車全体の充電中の発火事故問題が今後も解決されなければ、この問題は「EV差別」という形でさらに広がっていく可能性があります。
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- 執筆者プロフィール
- 伊藤友春
- 1981年生まれ。自動車専門Webライターとして執筆活動中。自動車の構造に明るく、ほとんどの整備や修理をDIYでこなす。輸入車・コンパクトカー・変わったデザインやコンセプトの車が好きで、現在の愛車はその最た...