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2021年も爆売れ!「200万円の軽」でもN-BOXが売れるワケは?ユーザーの声に納得
日本国内の新車販売台数ランキングにおいて、「トップ常連」となっているホンダ N-BOX。
2020年の登録車を含めたランキングではトヨタの「ヤリス」シリーズに首位の座を譲ったものの、軽自動車カテゴリにおいては2015年から6年連続トップを守り、盤石の構えを見せています。
2021年にはN-BOXシリーズの累計販売台数が200万台を超え、今や「国民車」としてのポジションを確たるものにしたといっても過言ではないでしょう。
さらに、2021年12月16日に予定されている年次改良で、ダプティブ・クルーズ・コントロールが全車速に対応します。これに伴い「オートブレーキホールド」の機能が追加されるなど、さらなる商品力の向上にも余念がありません。
しかし一方で、グレードや装着オプションによっては「200万円」を超えるケースもあり、その価格に驚く人もいるようです。
たしかに「軽自動車に200万円」というのは一昔前では考えられない価格設定ですが、そのように「豪華な軽自動車」が国民車として定着した理由は一体どこにあるのでしょう。
強豪ひしめく「スーパーハイトワゴン」のなかでトップに立てた理由は
現在、軽自動車カテゴリにおける新車販売台数の上位には、N-BOXをはじめとする「スーパーハイトワゴン」と呼ばれるジャンルの車種が複数ランクインしています。
ダイハツ タントやスズキ スペーシアなど、「利便性の高いスライドドア」や「広大な室内空間」を強みとする車種が売れ筋となり、2019年、2020年には上記3車種が販売台数トップ3を独占しました。
これらの車種はいずれも、軽自動車の取り回しのよさはそのままに、子どもが立ったまま着替えられるスペースや、ベビーカーの収納も苦にしない多彩なシートアレンジなど、まるでミニバンのような使い勝手を特徴としています。気軽に運転でき、さまざまなシーンに対応可能な「日常の足」として、スーパーハイトワゴンは幅広いユーザーから支持を得ています。
しかしこれらの車種のなかで、なぜN-BOXは首位の座を走り続けているのでしょうか。ディーラーの販売員にその理由を聞きました。
一度乗ったら離れられない利便性
まず、N-BOXを購入するユーザーに見られる傾向として、「指名買い」の多さが挙げられるといいます。
販売員の話では、「N-BOXは実際にお乗りになっている方から非常に高い評価をいただいております。利便性のほか、走りの質感も『軽とは思えない』と好評です。セカンドカーとして購入されたお客様から、『これしか乗らなくなっちゃった』といった話もよく聞きます。そのような背景もあって、『次もN-BOXに』と仰っていただけることが多いんですかね」とのことでした。
一度N-BOXを購入したユーザーが、日常の足として使い回せる利便性の「とりこ」になり、その後の「指名買い」につながっているようです。
さらに、「N-BOXからN-BOXに」という買い換えパターンを後押しするのが「リセールの高さ」です。販売員は、「N-BOXは中古市場でも高値で取り引きされているため、買い換えの際の下取りも頑張ることができます。初回の車検を迎える際など、下取り額をふまえたご案内もしやすくなっていますね」といいます。
実際に下取り額を含めた見積もりを見て、「この額で新しくできるのか」と新型への乗り換えを決断するユーザーも珍しくないとのことです。
「200万円」という価格だけを見ると、思わず敬遠してしまいそうなものですが、商品としての魅力に加え、売却時の価値まで考慮すれば、ユーザーにとって納得できる価格設定となっているようです。
「普通車よりもN-BOX」というユーザーも
もう一つ、N-BOXに特徴的な売れ方として、「普通車を検討していたユーザーを取り込む」パターンがあるといいます。
販売員は、「実際にご自身で調べたり、周囲の方からの評判を聞いたりしてN-BOXを見に来た、という方ももちろん多いです。一方で、『子育てが終わったから小さめの車を』といった形でコンパクトクラスを検討されていた方が、N-BOXを見て広さに驚き、『こっちにする』というケースもありますね」と話します。
N-BOXの室内空間やシートアレンジ、取り回しのよさを体感し、「自分には普通車よりもこちらの方が合っている」と判断するユーザーも多いとのこと。
この点で、ライバルのタントやスペーシアを扱うダイハツとスズキは、軽自動車をメインに扱うメーカーとして認知されています。一方、普通車に乗る既存ユーザーを多く抱えるホンダにおいては、「普通車ユーザーの流入」というパターンが生じやすいのかもしれません。
N-BOX人気はいつまで続く?
軽自動車カテゴリにおいて6年連続販売台数1位と、独走状態が続くN-BOXですが、この勢いはどこまで続くのでしょうか。
ひとつの契機として考えられるのは、フルモデルチェンジのタイミングでしょう。同クラスに競合車種がひしめくカテゴリにおいては、モデルチェンジの度に勢力図がガラリと入れ替われることも珍しくありません。
たとえばMクラスミニバンのジャンルにおいては、ホンダ・ステップワゴンの爆発的なヒットを皮切りに、トヨタ・ノア/ヴォクシー、日産・セレナといった車種がモデルチェンジの度に覇権交代を繰り返してきました。
一方、N-BOXは登場以来、スーパーハイトワゴンのなかで無類の強さを誇ってきましたが、過去に一度だけタントに上回られた年がありました。タントのフルモデルチェンジが行われた翌年の2014年のことです。
N-BOXは初の「代替わり」となった2017年のフルモデルチェンジ以降も順調に販売台数を伸ばしており、覇権を握り続けるうえで最初のターニングポイントをクリアしたといえます。
一方で、今後行われるであろうN-BOXやタント、スペーシアといった車種のモデルチェンジを機に、勢力図が変わる可能性も否定できません。
その他、EV車種などの新たな「ゲームチェンジャー」の登場や、自動車関連税制の変更など、販売台数の趨勢を変える要素はさまざまな形で潜在しています。
ヒットする車種は、パッケージングや価格、デザインといった商品そのものの魅力に加え、社会情勢などの外的要因がうまく噛み合った結果として生まれます。時代のニーズに応え続けることを求められるなか、N-BOXが今後どのような進化を遂げていくのかに注目したいところです。
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- 執筆者プロフィール
- 鹿間羊市
- 1986年生まれ。「車好き以外にもわかりやすい記事」をモットーにするWebライター。90年代国産スポーツをこよなく愛し、R33型スカイラインやAE111型レビンを乗り継ぐが、結婚と子どもの誕生を機にCX-8に乗り換える...