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当て逃げの検挙率はどれくらい?被害者が100万円以上の修理費を負担する場合も…

すべてのドライバーにとって、事故は絶対に避けたいトラブルです。なかでも「当て逃げ」の被害にあった際には、精神的にも金銭的にも少なからずダメージを受けることになるでしょう。

当て逃げの加害者が見つからない場合、被害者は自車の修理費用を自身で負担しなければいけません。車両保険に入っている場合でも、等級ダウンにより保険料は上がってしまいます。

車が傷つけられただけでもショックなのに、自分に過失がない事故に対して負担を強いられては、なんともやりきれない思いがするはずです。「泣き寝入り」のケースも多いと言われる当て逃げですが、実際のところ加害者が特定されるケースはどのくらいあるのでしょうか。

「当て逃げ」は正確な実態が把握しにくい

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法務省発表の「令和元年版 犯罪白書」によれば、同年中の「ひき逃げ事件」の検挙率は64.4%です。検挙率は被害の大きさによっても異なっており、死亡事故ではほぼ100%であるのに対し、重傷事故では84.2%、軽傷事故では61.6%という数字になっています。

しかし、これらは「人の死傷を伴う交通事故」に関するデータであり、交通事故の統計を管理する警察庁では「車両のみが被害にあった物損事故」についてのデータは公開されていません。これについて警察庁に問い合わせたところ、「物損事故の統計的なデータは扱っていない」とのことでした。

当て逃げに関する明確なデータが存在しないことは、車両に生じた損傷を「当て逃げによるもの」として確定することの難しさにも起因していると考えられます。

警察関係者は、「当て逃げは、ぶつけた側、ぶつけられた側ともに、すぐには気づけないケースが多く、実態を把握することが困難になる傾向にあります。当て逃げが起きたとしても、起きた時間や場所を特定できないこともしばしばです。またそもそも、いつの間にかできていた傷が、当て逃げによるものなのか判断しにくいこともあります」と話します。

たとえば路上で双方の運転中に起きた事故であれば、加害者がその場を去ったとしても、事故があった事実は明白になりやすいでしょう。しかし、駐車場などで「知らない間に傷ができていた」というケースでは、それが事故によるものなのか、あるいはドアパンチや荷物の接触によるものなのか、状況が明らかでないことも多いです。

このような事情により、当て逃げに関する確定的な数値を出すことは難しいのだと考えられます。

当て逃げ加害者が見つかるケースは「極めて稀」との声も

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当て逃げ事故の加害者が特定されるケースがどれくらいあるのか、損害保険会社のサービススタッフに話を聞いたところ、「契約者の方が当て逃げをされて、加害者が見つかることは稀だと思います」とのことでした。「5年以上事故対応をしていますが、1度も見つかったケースに遭遇したことがありません」という声もあり、当て逃げの加害者が見つかりにくい状況を示しています。

加害者が見つからない場合、損傷箇所の修理は被害者の自己負担で行うか、車両保険に加入していればこれを利用する、という形になります。ただし車両保険を利用した場合にも、翌年から等級が3つダウンし、保険料が増すため、被害者の負担は避けられません。

車両の修理費用も、車種や損傷箇所によってさまざまです。保険会社スタッフの話では、「バンパーなどにできた小さな傷であれば数万円から修理できるケースもありますが、板金代が高額になりがちな高級輸入車などの場合、バンパーなど1箇所の交換だけでも数十万円、損傷が複数のパネルにわたる場合には100万円を超えるケースもあります」とのことです。

加害者が特定されても、賠償金が支払われないケースがある?

当て逃げの加害者が見つからない場合、「被害者側が修理費を自己負担する」という理不尽な事態に陥ってしまいます。とはいえ加害者が特定されたとしても、スムーズに損害を賠償してもらえるとは限らないようです。

保険会社のスタッフは、「契約者側の過失がない事故では、保険会社が相手方との交渉を行うことは法律上許されていません。そのため、当て逃げで加害者が見つかった場合、基本的には契約者本人が示談交渉を行うことになります。このとき相手方が任意保険に加入していなかったりすると、交渉がうまく進まないケースもあるようです」と話します。

任意保険に弁護士特約などのオプションをつけていれば、過失のない事故でも交渉を代理してもらえますが、そうでない場合、自身で苦労して交渉を進めた結果、十分な賠償金額を支払ってもらえない事態も考えられるのです。

なお、車両保険には「無過失事故特約」と呼ばれるオプションが用意されていることも多く、これを選択すれば「自身の過失がない事故であれば、車両保険を使っても等級が下がらない」ようになります。加害者が見つかり、車の傷が「自身の過失なく生じたもの」だと判明すれば、加害者による賠償がなされない場合にも等級を下げずに車両保険を使うことができます(※加害者不明の場合には適用不可)。

加害者特定にはドラレコや監視カメラの映像が必須か

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目撃者などがいない場合、当て逃げの加害者を特定するには、監視カメラやドライブレコーダーなどの映像記録が必須の材料になるでしょう。当て逃げの被害にあった際、その場所に設置された監視カメラを確認させてもらうことはできるのでしょうか。

ショッピングセンターや遊戯施設など、大型の駐車場を管理する施設に確認したところ、「警察や弁護士などの求めがなければ開示は難しい」とする回答があった一方、「状況によっては当事者の求めに応じて開示する場合もある」と答える施設もあり、管理施設によって対応は異なるようです。

いずれの場合にも、映像記録の開示を求めるうえでは、「被害にあった場所や時間帯が明確であるか」が1つのポイントとなるようです。これらの点は警察に被害届を提出する際にも重要な情報となります。

証拠がない状態で、当て逃げの加害者を特定することは困難を極めます。泣き寝入りを避けるには、駐車監視機能のついたドライブレコーダーを設置したり、普段から駐車前後に車両まわりを確認する習慣をつけたりと、「発生から対処まで」を迅速に行うための準備が必須と言えそうです。

駐車場で当て逃げされたとき、どうすればいい?

執筆者プロフィール
鹿間羊市
鹿間羊市
1986年生まれ。「車好き以外にもわかりやすい記事」をモットーにするWebライター。90年代国産スポーツをこよなく愛し、R33型スカイラインやAE111型レビンを乗り継ぐが、結婚と子どもの誕生を機にCX-8に乗り換える...

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