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高速教習は実施した?しなかった?…都心部と地方の教習所ルールの違いとは
免許を取るために教習所に通うと、必ず高速教習を受けることになります。しかし、実際に高速道路を走らずに、高速シミュレーターだけで教習所を卒業してしまったという人もいることでしょう。
なぜ、人によって高速道路を実際に走行する人と、そうでない人に分かれるのでしょうか。
実際に高速道路を走らない理由とは?
高速教習は、道路交通関係法令によって必ず実施するように定められています。しかし、以下のような状況に当てはまる場合は、実際に高速道路を走行しなくてもよいことになっています。
教習所から高速道路までが遠いから
教習所の近くに高速道路がなく、高速道路に向かうまでにおおよそ1時間以内でたどり着けない場合は実際に高速道路は走行しません。
高速道路で100km/hの速度が出せないから
高速道路で事故や渋滞が発生し、走行規制がかけられていて高速道路の法定速度となる時速100キロメートルを出して走ることが難しい場合、高速シミュレーターを行うことになります。
高速道路で時速100キロメートルを出せないとなると、一般道路を走行することと変わりがなくなってしまうため、練習にはならないからです。
そのほかの危険要素が多いから
高速教習を実施する上で、何らかの危険要素があるときは実際に高速道路を走行しません。
例えば、雨が降って滑りやすい路面状況であったり、雪が降りやすい地域であったりした場合は高速シミュレーターを実施することになります。
さらに、首都高など道路の構造が複雑で運転に慣れていても、走るために注意が必要な場合はシミュレーターになります。首都高で教習車を見かけたことがあるかもしれませんが、それは指導員が運転しているか、スタッフの移動に使われていることがほとんどです。
都心部では高速道路を走らずに免許を取得するのが一般的
地方にある教習所は、高速道路までの道や高速道路本線が渋滞していることも少なく、大都市圏と比較すると、走りやすい環境にあります。そのため、高速教習をシミュレーターで行っているという地方の教習所は少ないのです。
しかし、渋滞が常態化している東京などの大都市圏にある多くの教習所では、実際に高速道路を走行しての教習は行いません。
筆者が勤務していた都内の教習所では、シミュレーターを使って高速教習を行っていました。
最も近い高速道路までは道が空いていても30分ほどかかります。混んでいる場合は行くだけで1時間近くかかることも。行きも帰りも混んでいたら、往復するだけで2時間近くかかってしまうことになります。
教習時間は、連続で教習を行ったとしても最大100分と、時間が限られているため、道が混んでいる都内で高速教習を実施するには無理があります。
都内には、高速道路を走って教習している教習所もいくつかあります。これは高速インターチェンジがすぐ近くにあるためです。渋滞さえしていなければ、時間内に高速教習を実施できます。
不安解消のため、卒業後でも高速教習ができる教習所も
都内の教習所を卒業した人の多くは、実際に高速道路を一度も走ることなく、免許を取ることになります。最近のシミュレーターは精度が高く、高速道路環境がより精巧に作り込まれていてリアルです。
とはいえ、シミュレーターで時速100キロメートルを出しても速度感覚を体験することは困難です。また、「シミュレーター酔い」によってまともに高速教習を受けられなくなってしまう教習生もいます。
そうした教習生の不安を解消するため、教習所を卒業し免許を取得したあとに、実際の高速道路で教習を行うカリキュラムを用意している教習所もあります。
卒業して間もない教習生だけでなく、普段から車を運転しているものの、高速道路は不安だ、という人のための高速教習です。
時間制限のある教習ではないため、時間を気にせず東京の高速道路を走る練習ができるうえ、できるだけ空いている高速道路を選んで練習できるとあって、人気のカリキュラムとなっています。
シミュレーターでの高速教習のみで卒業した人で、高速道路を走るのに不安がある場合は、こうしたカリキュラムを活用してみるとよいかもしれません。
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- 執筆者プロフィール
- 室井大和
- 1982年生まれ。ライター歴6年、自動車業界9年。合わせて約15年。雑誌編集、記者、指定自動車教習所員資格保有。愛車はスズキスイフトスポーツ(33型)、BMW323i(E90型)、ジムニー(JB23型)。車はセダンではじ...