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あのランクルやジムニーですら、水に流される可能性も?実は怖いSUVでの渡河
いよいよ夏のレジャーシーズンが近づいてきましたが、夏と言えば心配なのが水難事故です。
これは人だけでなくクルマで起こりうるもので、例えば、2014年8月に開催された神奈川県山北町での四輪駆動車水難事故は、まだ記憶に残っている人もいるのではないでしょうか。
この事故は、増水した河を渡ろうとした四輪駆動車が流され、クルマが水中で横転。親子3人が死亡するといういたましいものでした。
こうした死亡事故は稀な例とも言えますが、実はクルマが河で流されたり、途中でスタックしてしまうというケースは毎年夏になると頻繁に起きています。
河川を渡るカッコイイSUVはあくまで”イメージ”
昨今はコロナ禍の影響で外出先がアウトドアに集中しており、中でも河川敷でBBQや川遊びを楽しむ人が増えているようです。JAFによれば、2020年あたりから河原で立ち往生したクルマからの救援要請が増えているといいます。
こうした背景には、四輪駆動車やSUVのCMから「自分もやれるかも」というユーザー心理を育てている可能性もあるのではないでしょうか?
一部の車種では、TVCMなどで、河川の中を派手な水しぶきをあげて走破するイメージ映像が使われています。
たしかに、多様な地形を走破できるという性能をアピールするには、ある意味効果的かもしれません。しかし、同時にこうした映像はユーザーに誤った四輪駆動車やSUVのイメージを植え付ける恐れもはらんでいます。
あのランクルやジムニーですら、水に流される可能性も
SUVの中でも、トヨタ ランドクルーザーやスズキ ジムニーなどのオフロード4WDは、優れた悪路走破性を有しているのと同時に、高い渡渉能力を持っています。
しかし、それにはあくまでもタイヤが川床でトラクション(摩擦によって前に進もうとする力)が発揮される間、という条件があります。
例えば、ランドクルーザー300系の最大渡河性能は700㎜。これは同車が履いているタイヤの外径寸法にも満たない数値です。つまり、横から見てタイヤが水中に没していたら、あのランドクルーザーでさえも水に流される可能性が高いということです。
理科の時間にならった「アルキメデスの原理」を覚えている方もいるでしょう。これは、「水中の物体には、その物体が押しのけた水に働く重力と同じ大きさの浮力が働く」という原理です。
これから考えると、一見大きくて重そうなクルマでも、大量の水が流れる河川では簡単に浮いてしまうということです。ちなみにSUV以外の乗用車で許容される水深は、わずか300㎜程度と言われています。
- 執筆者プロフィール
- 山崎 友貴
- 1966年生まれ。四輪駆動車専門誌やRV雑誌編集部を経て、編集ブロダクションを設立。現在はSUV生活研究家として、SUVやキャンピングカーを使った新たなアウトドアライフや車中泊ライフなどを探求中。現在の愛車は...