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「むしろハイブリッドカーや電気自動車のほうがうるさい?」庶民の車でも高級車並みの防音対策はできるのか
自分で防音対策するとどれくらいの費用がかかる?
このように、車両本体価格が高くなればなるほど、音への対策が多くなっていきます。不快な音は吸音や遮音で車内に入らないようにし、聞かせたいいい音を車内に入れるというのが、車作りの中で非常に難しい技術です。
こうした音の出し入れを比較的うまく行っているのが欧州車でしょう。吸音・遮音以外にも、聞かせたい音をあえて車内に入れ、不快な音を良い音でかき消してしまうという技法も使われます。
対して国産車では、車室外で発生する音はできるだけ防ぎ、本当の意味での静寂を求める傾向にあるといえます。
音に詳しいオーディオチューニングを得意にしたカーショップで話を聞くと、車の音対策はとても難しいものだといいます。
「車は軽量化と防音・防振の中庸を取っていかなければならないため、基本的に穴がたくさん空いています。価格の安い車ほど穴は多く、穴に対しての処置が行われていないことも多いのです。
嫌な音への対策をするには、穴をどうやって塞ぐかを考えなければなりません。ちなみに、高い車でも、それ相応に穴は開いているものです。ただ、穴をあけた後の制振や防音の処置は安い車よりも行われていますね。」
車の防音や遮音は、購入後に行うことができます。一般に、デッドニングと呼ばれる作業を行い、車の中にある様々な「穴」を埋めていき、音の侵入を予防する作業です。
3,000円程度でできる、フロアマットの下に静音マットを敷くといった簡単な作業もありますが、本格的なデッドニングを行うと相応にお金もかかってきます。
タイヤハウスの内側のデッドニングで4万円程度、床で7万円、トランクで5万円、ドアで2万円ほどの費用がかかり、相応の時間も必要となるのです。
むしろハイブリッドカーや電気自動車のほうがうるさい?
また、「音を音で消す」という手法も紹介してくれました。ロードノイズが気になる車は、あえてエンジン音を車内に入れることでロードノイズをかき消してしまうといったことを、自動車メーカーは上手くやっているというのです。
「エンジン音は、音を吸収させるために良い役割を持っています。だからこそ、ハイブリッドカーや電気自動車ではエンジン音が無くなった分、より音への対策が難しくなりましたね。」とも語ってくれました。
その言葉通りで、ハイブリットやEVが増えてきて、車内の音はエンジン音があったころよりも気になりやすくなっているのも事実です。
例えば、走行中のロードノイズ。「ゴー」というタイヤの音は、エンジン音と発生源や音の種類が似ていることから、一般的なエンジン車ではそこまで大きく車内に響かない音になります。
一見すると静かそうな電動車では、エンジン音が無いため、タイヤのロードノイズが直接車内へ入ってきやすくなるのです。音を音でかき消すことが出来ない電動車では、より吸音材や遮音材が多く必要となり、ロードノイズの少ないタイヤ選び等が重要になります。
車内のきしみ音なども、音の出るエンジン車より、音の少ない電動車の方が気になる人が多くなります。静かだからこそ、小さな音も聞こえるようになり、それが気になるという事象が発生してしまうのです。
これからの車選びでは、乗り味とともに、音に対するアンテナを張り、不快な音の少ない車を選んでいきたいものです。
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- 執筆者プロフィール
- Red29
- 1980年代生まれ。国産ディーラーでの営業職として働き、自動車関連の執筆者として独立。ユーザー目線に立った執筆を心掛けています。愛車はトヨタプリウス。ホットハッチに代表される、小規模小パワーのクルマが...