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本場は凄い!14時間渋滞や馬での利用…日本と海外で違うドライブスルー事情

海外のドライブスルーでは、日本では考えられない事態が起こります。

日本でも近年の中食ニーズの高まりによるドライブスルー渋滞が問題視されていますが、ドライブスルー本場アメリカは渋滞は規模が違います。また、国による文化背景や精神性の違いもドライブスルーの利用状況から見えてきます。

世界のドライブスルー事情はどうなっているのでしょうか。

アメリカのドライブスルーは渋滞で14時間待ち!?

1948年創業のハンバーガーチェーン「イン&アウト・バーガー」は2020年11月にコロラド州に新店舗をオープン。

それまで隣の州まで行かなければならかったイン&アウト・バーガーができたことでコロラド州のファンは大喜びし、長蛇の列をつくってドライブスルーに並びました。そのときの渋滞の長さは最大2マイル(3.2km)にもなり、待ち時間は最大14時間にもおよんだとのことです。

ハンバーガーはアメリカのソウルフード。そして車はアメリカでの生活と切っても切り離せないものであり、アメリカ人は普段から店内で注文すれば5分で食べられるハンバーガーを、わざわざドライブスルーに並んで30分も待つことをよしとします。

原則的にアメリカ人は、よほどのことがなければ車から降りようとしません。これは犯罪防止やウイルス感染対策というよりも、アメリカ人がハンバーガーとドライブスルーをなによりも愛していることの表れです。

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馬でドライブスルーは利用できる? トラクターや芝刈り機は?

海外には現在でも馬を利用する地域があります。乗馬が盛んな欧州やアメリカの片田舎では乗馬中にファストフード店に立ち寄って小腹を満たす光景も珍しくありません。しかし、日本人からすれば馬がドライブスルーに並ぶ光景は異様です。

日本の道路交通法では馬や馬車は軽車両にあたるため、ルールさえ厳守すれば公道を走行しても問題ありません。もちろん海外でもこのルールは同様です。

ただしドライブスルーを利用できるかは別問題。マクドナルドでは馬で利用できた例がある一方、スターバックスでは馬での利用を断ったという事例もあります。衛生上や安全上の観点から、馬でのトライブスルー利用の可否は各店舗によって異なるようです。

また海外では馬や馬車以外にも、牛や牛車、自転車、電動車いす(シニアカー)、セグウェイ、トラクター、芝刈り機に乗ってドライブスルーに訪れる客もいます。中東ではラクダに乗ってドライブスルーに訪れる客もいるそうです。

世界一の自転車都市とも呼ばれるデンマークの首都コペンハーゲンのマクドナルドでは、ハンドルバーに引っ掛けられる取手がついた自転車専用パックが大好評とのことです。

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アメリカでは後の客の代金を支払うのが常識!?

海外では、自分で頼んだ注文ではなく、後に並んだ客の注文の代金を支払う「ペイ・イット・フォワード」という事象がたびたび起こります。

「ペイ・イット・フォワード」は、2000年公開のアメリカ映画『ペイ・フォワード 可能の王国(原題Pay It Forward)』から生まれた言葉であり、直訳すると「あらかじめ支払う」ですが、その真意は「人から受けた施しを別の人に返す」という日本語の「恩送り」と同じ意味です。

ドライブスルーの先頭にいた客が、後で待つ客のぶんの代金も支払うと、店員は「代金は前のお客様が支払われました」と後で待っていた客に伝えます。すると後の客は「それなら、私も後の人の代金を支払います」となり、これが連鎖すると大規模なペイ・イット・フォワードの流れが起こります。

以前は極稀に起こる程度の頻度でしたが、コロナ渦になってからは大規模なペイ・イット・フォワードが頻繁に起こるようになり、現在は1日に数回起こることもあるそうです。ミネソタ州にあるファストフードショップ「デイリー・クイーン・グリル&チル」では、2020年に約900人もの客が3日間にわたってペイ・イット・フォワードを継続させたことが話題になりました。

なかには、SNSで拡散されたペイ・イット・フォワードの状況をみて、わざわざ参加するためにドライブスルーに並ぶ客もいたとのことです。

当然ながら、当たりが悪ければ自分の注文以上の金額を支払わなければなりません。アメリカの別の場所では自分が注文した額の数倍もの金額を支払わなくてはならなくなり、泣く泣くペイ・イット・フォワードの流れを断ち切ったというエピソードもあります。

ペイ・イット・フォワードは、遊び心と博愛精神が旺盛なアメリカならではの文化といえるでしょう。とはいえこれに似た行為は、以前からアメリカだけでなく世界各地で小規模ながら起こっており、コロナ渦を期に世界的な広がりを見せています。

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広い国土&車中心社会のアメリカならではの進化を遂げた

©bignai/stock.adobe.com

ドライブスルーは日本でもすでに馴染み深いものとなっています。ハンバーガーショップや牛丼屋、回転寿司などのファストフード店はもちろん、ドラッグストアやクリーニング店、さらには眼鏡屋や八百屋、仏壇屋などさまざまな業種でドライブスルーが活用されています。

しかしドライブスルー結婚式やドライブスルー選挙を行なうのは世界広しと言えどアメリカだけでしょう。そればかりかアメリカのドライブスルーは著しい進化を遂げています。

アメリカのファストフード店では、ETCを利用したノンストップの電子決済システムの導入や、渋滞防止のための多レーン化が進んでおり、現在では2レーン、3レーンは当たり前。ファストフードチェーン王手のタコベルでは現在4レーン化の整備を進めています。これは広い国土を持ち、車中心社会であるアメリカならではの進化といえるでしょう。

日本でも多レーンの店舗が増えているものの、狭い日本のとくに都市部では他レーン化が難しく、客が集中するだけで渋滞が起こってしまうのが現状です。

仮に日本で、アメリカのような大規模ペイ・イット・フォワードが流行しようものなら大渋滞による大混乱は避けられません。それはもはや利他的な慈善行為ではなく、利己的で自己中心的な行為になってしまいます。

ペイ・イット・フォワードの流行や中食ブームの盛り上がりは喜ばしいことです。しかし、ドライブスルーを利用する際はモバイルオーダーを活用するなどして周辺の渋滞への配慮も忘れないようにしましょう。

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執筆者プロフィール
伊藤友春
伊藤友春
1981年生まれ。自動車専門Webライターとして執筆活動中。自動車の構造に明るく、ほとんどの整備や修理をDIYでこなす。輸入車・コンパクトカー・変わったデザインやコンセプトの車が好きで、現在の愛車はその最た...

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