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ホワイトアウト発生!猛吹雪で多重事故。落ち度なくても過失割合が増えるって本当?

2021年1月19日、東北自動車道の下り線で約140台の車が絡む多重事故が起こりました。

同日には、北海道でも10台が絡む事故が起こっていて、当日は観測史上最も強い27.8mの最大瞬間風速が記録されたといいます。

これらの事故の原因とされているのは、吹雪によって視界が失われてしまう「ホワイトアウト」。

別名「白い闇」とも呼ばれていて、降雪や積雪が強風で舞い上げられることで、雪により視界が奪われてしまう現象です。

とても恐ろしいホワイトアウトですが、もし車を運転中にホワイトアウトが発生し多重事故に巻き込まれてしまったら、過失割合はどうなるのでしょうか?

また、ホワイトアウトが発生しても被害を受けないようにするには、どうしたらよいのでしょうか?

ホワイトアウトで多重事故、過失割合はどうなる?

©Irina Igumnova/stock.adobe.com

吹雪や地吹雪によるホワイトアウトで運転中に視界が失われてしまうと、道路の先が見えなくなってしまい安全確認が難しくなってしまいます。同時に後続の車両からも自車が見えなくなるため、不用意に減速や停止をすれば追突される恐れがあります。

そのため、ホワイトアウトが起きて危機を感じ、急にブレーキを踏んでしまうと後続車が次々に追突する玉突き事故に発展しかねません。

平時における追突事故の過失割合は、追突した車の過失が原則100%となり、3台以上の車が絡む玉突き事故の過失割合は、事故のきっかけをつくった車の過失がもっとも大きくなります。ただし、追突された車両であっても、急ブレーキや駐停車禁止場所での停車などが認められた場合の過失割合は0%とはならず、過失に応じて40〜50%まで割合が修正されます。

ホワイトアウトが起こっていた場合は、視界状況に対してブレーキや停車が危険回避のための適切な措置だったどうか正当性が問われるため、過失割合の算出がより複雑になり、多重事故ともなるとさらに難しくなります。

よってホワイトアウトの発生が原因とされる事故では高速道路・一般道ともに、落ち度がなくとも過失割合が0%になるケースは非常に稀といえるでしょう。

それに加え、大規模な多重事故の場合は、人身および物損賠償額の算出・トラックの積荷の損害賠償や休業補償・バスの乗員の賠償なども絡み合うため手続きは困難を極め、完了までに数年かかることもあるといいます。

交通事故の損害賠償請求権は、事故当日の翌日から、物損の場合は原則3年、人身損害の場合は5年で消失するため、時効になってしまう可能性もあります。つまりホワイトアウトによって生じた多重事故は、納得のいく結果にならない場合が多いため、事故に巻き込まれないようするのが賢明といえるでしょう。

ホワイトアウトによる視界消失の原因の多くは降雪よりも地吹雪です。そのため気温が低く、風が強い日は、高速道路はもちろん地吹雪が発生しやすい周囲が開けた道路や峠道などの走行を避けることがもっとも効果的です。

地吹雪がひどいときの運転、どうすればいい?

©kichigin19/stock.adobe.com

もし走行中にホワイトアウトが起こったら、ヘッドライト・ハザードを点灯させて、自車の存在を周囲に知らせましょう。フォグランプやリアフォグランプがあれば点灯してください。それから追突されるのを避けるため、ゆるやかに速度を落とします。

濃霧時と同じく、吹雪のなかで乱反射してかえって視界を悪化させる恐れがあるためハイビームは厳禁です。そして道路外の安全な場所まで移動し、吹雪がおさまるのを待ちます。以上がホワイトアウト時にすべきことです。

付近に安全な場所がなければ、進路左側に停車させ、視界が回復するのを待ちましょう。ただし路上での停車は、ある程度視界が効く状況下に限定されます。

場合によっては1m先も見えないときがあり、その状態で路上に停車してしまえば後続車両に追突されたり、車が雪に埋もれて一酸化炭素中毒に陥る恐れがあります。極めて視界が悪いホワイトアウト時は、停車させるよりも、ヘッドライトやハザードを点灯させた状態で徐行する方が安全といえるでしょう。

しかし、有視界距離ほぼゼロのホワイトアウト時の走行は、非常に危険な行為であることには変わりありません。道路と路肩・空と地面の区別がつかなくなるうえ、氷粒が視界を無軌道に流れるため、止まっていても動いている感覚や、直進しているはずでも曲がっている感覚に襲われて速度感覚と方向感覚を失います。

気付けば反対車線を走行していたり、吹き溜まりにタイヤをとられて動けなくなってしまっていることも珍しくありません。このようにホワイトアウトによる視界消失は、命に関わる非常に危険な事態です。

雪国のドライバーはホワイトアウト陥った際、吹雪の隙間からわずかに覗くガードレールやスノーポール・道路に沿って並んだ電柱、電線・路肩に積もった雪の陰影・車のわだち跡などを捉えて慎重に走行します。カーナビゲーションが備わっている場合は、ナビモニターに表示される自車位置情報と車外の視覚情報を組み合わせて、やむを得ず走ることもあります。

どうしようもなくなったら可能な限り身の安全を確保し、JAFや警察を頼る判断も大切です。ホワイトアウトが起こったら、停車するにしろ、走行するにしろ、あらゆる手段を活用して自分の生命の安全確保と二次的交通事故防止に努めてください。

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執筆者プロフィール
伊藤友春
伊藤友春
1981年生まれ。自動車専門Webライターとして執筆活動中。自動車の構造に明るく、ほとんどの整備や修理をDIYでこなす。輸入車・コンパクトカー・変わったデザインやコンセプトの車が好きで、現在の愛車はその最た...

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