更新
自動ブレーキは後付けできる?補助金とメーカー別の後付け安全装置
自動ブレーキの装備義務化が進む
国土交通省の調査によると、2016年に日本で生産された新車のうち、66.2%に「衝突被害軽減ブレーキ」が搭載されているとのデータが公表されています。
日本政府が進めている「衝突被害軽減ブレーキの国内基準」により、2021年11月以降段階を追って、発売される新型モデルの自動車へ自動ブレーキの装備義務化が予定されています。
なぜ自動ブレーキの義務化が進められているの?
自動ブレーキの義務化が進められている理由は、「高齢者の運転による事故」および「子どもを巻き込んだ事故」の撲滅を推し進めるためです。
2017年1月より、国連自動車基準調和世界フォーラム(WP29)上で日本が提案し議長として衝突被害軽減ブレーキの国際基準のガイドラインを検討してきました。 2年間もの期間をかけて、2019年6月に国際基準が成立しています。
このような世界的な自動ブレーキに対する取り組みが、自動ブレーキの義務化が薦められている理由の1つと考えられるでしょう。
自動ブレーキの後付けは可能?
自動ブレーキ義務化は現状、新車のみが対象の予定です。現在乗っているクルマには、後付けできるのでしょうか?
自動車メーカーは自動ブレーキの後付けはしていない
自動車メーカーは、新型車への自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)の搭載を積極的に行っていますが、すでに販売した車へ後付けできる自動ブレーキキットの販売は行っていません。
後述しますが、各メーカーから販売されている後付け安全支援キットは、踏み間違い防止キットのみです。
自動ブレーキの後付けキットを自動車メーカーが販売しない・できない理由として考えられるのは、販売済のすべての車で正常に動作する後付けブレーキを開発するのが難しいこと、車の安全性に関わる重要な性能の保証が難しくなることなどが挙げられます。
自動車メーカーによる後付けキット登場の期待は薄いため、自動ブレーキ非搭載車に関しては別の手段を考えましょう。
オートバックスで自動ブレーキの後付けができる?
オートバックスでも、後付け踏み間違い防止キットを販売・取り付けを行っていますが、こちらは自動車メーカー同様に自動ブレーキではありません。
販売されているのは「急発進防止装置 ペダルの見張り番Ⅱ」というキットです。
対応車種は200車種以上。購入、取り付け費用を含め44,000円で設置可能です。後述する補助金の対象にもなっています。
株式会社ACRが後付け自動ブレーキを開発!
2020年10月、株式会社ACRが後付け自動ブレーキシステムを開発しました。適合車種は限定されますが、国産車の15モデル以上に対応しています(2021/01/07現在)。
以下は「踏み間違い防止オートブレーキ ACR FM500AB」の紹介動画です。
- 短時間で急激なペダルの踏み込みを感知するとシステムが作動
- 軽自動車からミニバンまで200車種以上に対応
停車時もしくは時速10km未満で走行している時、急なペダルの踏み込みを感知すると、「急発進防止装置」が働き急発進を防止してくれます。
システムが作動すると「クリープ現象」の状態でゆっくり進みます。落ち着いてブレーキペダルを踏むとクルマを止められる補助装置の役割を果たすのです。
また、ミリ波レーダと単眼カメラにより、車両・対歩行者を検知。自動ブレーキ機能と踏み間違いによる急発進抑制機能(※前後)が利用できます。
ただし、ブレーキ制御の装置ではありません。自動で減速はしない点に注意しましょう。
「急発進防止装置ペダルの見張り番Ⅱ」の対応車種は以下の通りです。市販の軽自動車やミニバンまで200車種以上に対応しています。
「急発進防止装置ペダルの見張り番Ⅱ」主な対応車種(現行型、旧型含む) | |
トヨタ | アクア、アルファード、ヴィッツ、プリウス、ランドクルーザー、クラウン |
日産 | ノート、マーチ、スカイライン、セレナ、デイズ |
ホンダ | N-BOX、シビック、フィット、ステップワゴン |
スバル | インプレッサ、レガシィ、BRZ、レヴォーグ |
マツダ | デミオ、アクセラ、アテンザ、ロードスター |
スズキ | ワゴンR、スイフト、ソリオ、ハスラー |
三菱 | ekワゴン、デリカD:2 |
ダイハツ | タント、ミライース、ムーヴ |
本体価格は工賃込みで16万円(税別)。販売店はこちらの公式サイトで確認してください。
自動ブレーキの補助金
現在、自動ブレーキや踏み間違い防止システムなどの安全装置搭載車には国からの「サポカー補助金」を利用できます。ただし、車の運転者の条件が定められていますので、注意が必要です。
サポカー補助金の対象者
- 2020年度中に満65歳以上となる運転者
- 2020年度中に満65歳以上となる運転者を雇用する事業者
- 2019年度中に満65歳以上となるドライバーへ後付け装置を販売する事業者
サポカー補助金の交付額
- 自動ブレーキ+踏み間違い防止装置
新車の普通車 | 10万円 |
新車の軽自動車 | 7万円 |
中古車 | 4万円 |
- 自動ブレーキのみ
新車の普通車 | 6万円 |
新車の軽自動車 | 3万円 |
中古車 | 2万円 |
- 踏み間違い防止装置を後付け
障害物検知機能付きなし | 2万円 |
障害物検知機能付きあり | 4万円 |
サポカー補助金の対象となる車の条件
- 2019年12月23日以降に新車登録された普通自動車・軽自動車
- 2020年3月9日以降に中古車として登録された普通自動車・軽自動車
サポカー補助金の交付期限
2020年3月9日から予算上限に達するまでとなるため、早めの申請を行いましょう。
サポカー補助金の申請と交付の流れ
補助金の申請は車の購入者(車検証上の「使用者」)が行います。後付け装置の場合は、販売店を通して申請を行ってください。
- 補助対象車両を購入する
- 補助金交付申請書類を作成する
- 次世代自動車振興センターへ申請書類を郵送する
審査通過後、3の書類で申請した銀行口座へ補助金が振り込まれます。
サポカー補助金の申請に必要なもの
- 補助金交付申請書
- 車検証の写し
- 車を購入したことがわかる書類(領収書や自動車注文書の写しなど)
- 申請者本人の運転免許証の写し
- 補助金の振込先とする金融機関の通帳の写し
自治体が補助金制度を行っていることも
サポカー補助金とは別に、各自治体が行っている補助金制度を利用できる場合もあります。
サポカー補助金との併用ができる場合とできない場合は、自治体によって異なりますので確認してみましょう。
全国各地の自治体で実施している補助金制度の例を挙げていきます。
東京都「高齢者安全運転支援装置設置促進事業補助金」
東京都が実施している「高齢者安全運転支援装置設置促進事業補助金」は交通事故対策を目的とした、高齢者ドライバーによるペダル踏み間違い抑制装置の購入費用を補助する制度です。
- 都内在住で令和元年中に70歳以上となり、有効な運転免許証を所有する人が対象
- 自家用車と認可され、安全運転支援装置の搭載が可能な車種が対象
- 対象となるクルマの所有者と使用者の名義が同一である、もしくは住所が同一である必要がある
(参照)東京都都民安全推進本部「高齢者安全運転支援装置設置促進事業補助金」より抜粋
安全運転支援装置の購入を、東京都から販売事業者に費用の9割を負担します。購入した高齢者ドライバーの負担が1割で済むようになる制度です。よって、年金や老後の貯蓄で生活している高齢者でも安心してペダル踏み間違え抑制装置が購入できます。
愛知県豊田市「後付け安全運転支援装置設置費補助金」
愛知県豊田市が実施している「後付け安全運転支援装置設置費補助金」は、自動車運転を必要とする高齢者ドライバーを対象としたペダル踏み間違え抑制装置の購入を補助する制度です。
- 補助制度実施期間は令和元年12月1日から令和3年3月31日まで
- 市内在住で申請年度末時点までに70歳以上となり、有効な運転免許証を所有する人が対象
- 豊田市内で登録した自家用車であり、対象の期間以降に安全装置を設置した人が対象
- 上限6万円まで、1人1台分までが対象
(参照)愛知県豊田市「後付け安全運転支援装置設置費補助金」より抜粋
安全運転支援装置の設置に対して、豊田市が販売事業者に設置費総額(安全装置本体+部品+工賃)の9割を負担します。購入する高齢者ドライバーの費用負担が1割に抑えられるのです。
ただし、豊田市の場合は令和元年12月より、令和3年3月31日までと期限が決まっているので注意しましょう。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...