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「袖ビームって知ってる?」熱狂的なファンや同好会も…ガードレールの名脇役の魅力や役割に迫る
熱心なファンが多い「袖ビーム」って何?
道路標識や信号機といった道路設備には愛好家が多く、ブログやSNSなどで盛んに情報が交わされています。路上で見かける「袖(そで)ビーム」も熱心なファンのいるものの1つ……なのですが、これ、何のことかわかりますか?
袖ビームとは、ガードレールの端の丸まった部分のこと。ガードレール本体にボルト留めされているパーツで、金属製のものがメジャーです。
……と、言われてみれば日常的に目にするものとわかる袖ビームですが、パーツとして注目するといくつか疑問がわいてきます。まず気になるのは名前の意味。袖ビームの「袖」と「ビーム」は何を表すのでしょうか。
袖ビームの「袖」「ビーム」とは?
袖ビームの「袖」は建築用語で「左右の端にあるもの」を指します。「ビーム(beam)」は梁(はり)のことで、ガードレールでは本体の鉄板部分を指します。
つまり袖ビームとは、梁(ビーム)の両端の部分(=袖)という意味。一聴するとインパクトのある不思議な名前のように感じますが、実際はパーツの部位を表す実用的なネーミングといえます。
以上で名前の謎は解消されましたが、袖ビームの役割や、人気の理由なども気になるところです。これらの疑問を次節以降で解消していきましょう。
袖ビームの役割とは?何のためのパーツ?
衝突時のダメージを軽減する
袖ビームの役割の1つに、衝突事故の被害軽減があげられます。ガードレールのビームは切断面が鋭く、端部がむき出しの状態で設置すると路上の凶器になりかねません。そこで必要となるのが、先端が丸く安全なパーツである袖ビームです。
切断面が露出したガードレールは非常に危険で、ビームが車を貫通する衝突事故も起きています。カールした先端で衝撃を緩和でき、かつ交換も可能な袖ビームは、ガードレールの安全性を高める重要パーツといえるでしょう。
歩行者の怪我を防ぐ
ガードレールに接触した歩行者の怪我を防ぐことも、袖ビームの重要な役割です。車を貫くほど鋭利なガードレール端部は、その近くを徒歩や自転車で通る方にとっても危険な凶器となり得ます。
もし、ガードレール付近で歩行者が転倒し、ビームの切断面に頭が接触すれば大怪我を負いかねません。袖ビームへの接触でも怪我をする可能性はありますが、むき出しのビームに当たる場合と比べれば被害は小さく済むでしょう。
ガードレールの隙間を埋める
ガードレールは連結して延長させられますが、折れ曲がった道では同様の設置ができません。そこで曲がり角や交差点では、設置角度の異なるガードレールの隙間を埋める部材として、袖ビームが活用されています。
- 執筆者プロフィール
- 加藤 貴之
- 1977年生まれのフリーライター。10年以上務めた運送業からライターに転向。以後8年以上にわたり、自動車関連記事やIT記事などの執筆を手がける。20代でスポーツカーに夢中になり、近年は最新のハイブリッド車に興...