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電気のF1・フォーミュラEとは?面白さと魅力からF1との違いまで徹底解説
目次
フォーミュラEとは?
フォーミュラE 第3シーズン
FIA フォーミュラE選手権(FIA Formula E Championship)は世界で唯一のEV自動車レースで、「電気のF1」と紹介されることもあります。競技には、化石燃料ではなく電気を利用したシングルモーターで走るフォーミュラカーを使用します。
フォーミュラEの構想は2011年に発案され、2012年8月27日に国際自動車連盟(FIA)がシリーズ設立を発表。2014年9月に第1シーズンの開幕戦が中国/北京で開催されました。フォーミュラEのレースは「GP」ではなく「e-Prix」と呼ばれています。
環境対策となる電気自動車の普及促進を狙っているため、各国のサーキットではなく世界の大都市・リゾート地など「市街地コース」で行なわれることが大きな特徴です。レースシーズンは12月から年をまたいで翌年7月まで年間十数戦が、秋から冬にかけて開幕し年をまたいで年間10戦程度が行なわれます。
次期シーズンは第5シーズン(2018-2019年)の開催となります。
独自のレギュレーション
フォーミュラE 第4シーズン(レースカー乗り換え)
フォーミュラE独自のレギュレーションは、レースの途中でレースカーを乗り換え、1人のドライバーが2台のレースカーを使用する点が特徴です。
2017-2018年シーズンまでのバッテリー28kwh(ウィリアムズ製)では1レースを走りきれませんでしたが、次シーズン(2018-2019年)からはバッテリー容量が約2倍の54kWh(マクラーレン・アプライド・テクノロジーズ製)となったため、レース中にレースカーを乗り換える必要がなくなりました。
しかし、フォーミュラE独特のレギュレーションであるレースカーの乗り換えが廃止されることによって、単調なレース展開になることを懸念する声も上がっているようです。
タイヤの規定
フォーミュラE公式タイヤ
ミシュラン パイロット スポーツ EV2 | ||
---|---|---|
フロント | リア | |
タイヤサイズ | 24/64-18 | 27/68-18 |
タイヤ幅 | 245mm | 305mm |
トレッド幅 | 240mm | 270mm |
サイドウォール高 | 98mm | 122mm |
リム径 | 18インチ | |
重量 | 8.8kg | 10.9kg |
トレッドパターン | 左右非対称/回転方向指定なし | |
備考:第4シーズン |
フォーミュラEでは全車がフォーミュラE公式タイヤ「ミシュラン パイロット スポーツ EV2」を使用して、全戦を戦っています。この専用タイヤは市販車の18インチスポーツタイヤであるため、レースで培った技術を市販車のタイヤにそのままフィードバックすることができます。
フォーミュラEで使用できるタイヤは、コース・天候などに関係なくこの1種類のみ。ドライバーのテクニックに左右されやすい本来のレースを楽しむことができるといえるでしょう。
フォーミュラEの面白さと魅力|F1との違いは?
トヨタ F1 TF107
F1もフォーミュラEも、レースを通じて自動車の新たな技術を開発・試行したり、市販車へのフィードバックを行ったりする目的がある点は同じです。
しかし、F1は化石燃料を燃やしCO2を排出しながら迫力満点なF1に対し、フォーミュラEは地球温暖化問題に貢献している点が大きな違いです。
フォーミュラEのF1にはない独自の面白さや魅力をピックアップしました。
リサイクルやエコを様々な視点で実施
フォーミュラEは環境保護を考えたEVによるレースというだけではなく、レースを観戦する側にも環境保護を意識させるような以下理念に基づいています。
・100%再生可能な燃料を使用
・1レース1セットのみで走るリサイクル可能なタイヤを使用
・観戦者は公共交通機関を利用する
(フォーミュラEのレース会場に駐車場は用意されていない)
・自宅からの360°オンラインライブ観戦の提供
このように環境に配慮しながら、レース会場でなくても迫力のあるレースを楽しむことができる新しいレーススタイルが、フォーミュラEの魅力です。
EVマシンなのでエキゾーストノートがしない
F1は大音量のエキゾーストノートを奏でながら走る、視覚だけではなく聴覚・嗅覚も刺激するレースですが、フォーミュラEマシンはEVですので、エンジン音(エキゾーストノート)が発生しません。
上の動画はフォーミュラEマシンのサウンドを聞くことができます。
EVマシンはモーター音を発生させています。さらに、マシンに搭載されるモーターは各チームが独自開発をしたものであるため、音に個性があるのもおもしろい点です。
ファン参加型のドライバー応援システムの導入
フォーミュラEは、ファン参加型のドライバー応援システム「ファンブースト」を導入し、エンタメ性も高められています。
ファンブーストは、SNSでのドライバー人気投票の得票数上位3名に与えられるパワーアップシステムです。観戦者は好きなドライバーに投票でき、上位3人のドライバーは追加出力を獲得できます。
ファンブーストについては後述します。
フォーミュラEのコースや開催地
フォーミュラE 第4シーズン(香港市街地コース)
Round | 日程 | 開催都市 | 開催国 |
---|---|---|---|
1 | 2018/12/15 | ディルイーヤ | サウジアラビア |
2 | 2019/1/12 | マラケシュ | モロッコ |
3 | 2019/1/26 | TBA | TBA |
4 | 2019/2/16 | メキシコシティ | メキシコ |
5 | 2019/3/10 | 香港 | 中国 |
6 | 2019/3/23 | 三亜 | 中国 |
7 | 2019/4/13 | ローマ | イタリア |
8 | 2019/4/27 | パリ | フランス |
9 | 2019/5/11 | モナコ | モナコ |
10 | 2019/5/25 | ベルリン | ドイツ |
11 | 2019/6/9 | チューリッヒ | スイス |
12 | 2019/7/13 | ニューヨーク | アメリカ |
13 | 2019/7/14 | ニューヨーク | アメリカ |
備考:2018年8月30日時点 TBA-未定 |
フォーミュラEの第5シーズンは、2018年12月15日に初開催となるサウジアラビア・ディルイーヤで開幕を迎え、2019年7月まで世界各国を転戦します。
2019年2月/6月以外は月に2レースを開催し、第5シリーズの最終戦は7月13~14日に、アメリカ・ニューヨークでの連戦でシーズンを終えます。
フォーミュラEマシンの最高速度やスペックは?
アウディ スポーツ アプト シェフラー フォーミュラEチーム
フォーミュラEの第5シーズンは第4シーズンまでのレギュレーションが一新されます。第2世代の新型車に進化しバッテリー容量が拡大されたことでレース中は200kWの出力で走行可能。さらに、アクティベーションゾーンでは225kWまで向上させることができます。
アクティベーションゾーンは、現地で観戦するファンだけでなくオンラインやテレビで観戦するファンにもわかるようコース上に表示されるとともに、ハロデバイス上のLEDライトが点灯することで「ハイパワーモード」と「ファンブースト」の2種類のパワーモードが識別できます。
「ハイパワーモード」は全選手に回数制限つきで与えられる225kWまでのパワーアップシステム。「ファンブースト」はSNSでのドライバー人気投票の得票数上位3名に与えられる、250kWまでの1回限りのパワーアップシステムです。
観戦者は好きなドライバーに投票でき、上位3人は追加出力を獲得できるというファンブーストシステムは、今までのモータースポーツにはない楽しさがあります。
フォーミュラEマシンの最高速度は225km/hから280km/hに向上
フォーミュラーE 第1世代(Gen1) vs. 第2世代(Gen2) | ||
---|---|---|
Gen1 | Gen2 | |
全長 | 5,000mm | 5,160mm |
全幅 | 1,800mm | 1,770mm |
全長 | 1,070mm | 1,050mm |
最低重量(ドライバー含) | 880kg | 900kg |
ホイールベース | 3,100mm | 3,100mm |
バッテリー重量 | 320kg | 385kg |
バッテリー容量 | 28kWh | 54kWh |
最高出力 | 200kW | 250kW |
レース時最高出力 | 180kW | 200kW |
回生時最高出力 | 150kW | 200kW |
リアブレーキ・バイ・ワイヤ | なし | あり |
最高速度 | 225km/h | 280km/h |
0-100km/h 加速 | 3.5秒 | 2.8秒 |
フォーミュラーEの最高速度は前シーズンまでは225km/hでしたが、バッテリー容量の増加に伴い最高出力が向上することで、最高速度も280km/hとなりました、これによりレース展開も前シーズンとは異なる可能性があるため、フォーミュラEがさらに楽しくなるかもしれません。
- 執筆者プロフィール
- 宮代ツトム