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フライホイールとは?役割と構造|軽量化はなぜ有効?【動画で解説】
フライホイールの役割
動力をクラッチディスクに伝達する
クランクシャフトの末端に取り付けられているフライホイールは、エンジンとトランスミッションの間を繋いでいます。
エンジン側にはフライホイールが、トランスミッション側がクラッチディスクとなり、この2つがくっついたり離れたりすることで動力の伝達・遮断が行われます。
エンジンの回転をスムーズにし、速度を保つ
フライホイールによる慣性モーメントを利用し、エンジンの回転は気筒数に関わらず安定します。また、アクセル踏み込みの大小=速度の速い遅いに関わらず、速度を一定に保つことができます。
フライホイールの構造
フライホイールは、エンジンの力をトランスミッションに伝えたり、切ったりするクラッチと同体になっています。
下の動画は、これをわかりやすく解説しています。動画の開始位置を0:27としていますが、その画面の一番左側にある銀色の円盤状のものがフライホイールです。
フライホイールの周囲がギザギザになっているのは「歯車」です。この歯車は、セルモーターと噛み合うようになっており、エンジンの始動時の役割を担います。
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AT車はトルコンがあるのでフライホイールが不要
AT車は、MT車にあるクラッチの替わりに「トルクコンバーター」と呼ばれる流体がエンジンの力をトランスミッション、タイヤに伝える方式となっています。
トルクコンバーターの内部は密閉され、その中に液体が詰まっています。その液体は、ぐるぐると回っている、つまり、液体に慣性モーメントが働いているので、エンジンの回転を滑らかに維持することができるようになっています。
ただし、トルクコンバーターはパワーロスが多いので、さまざまな対策が施されています。(ここではその解説は割愛します)
トルクコンバータ(トルコン)の仕組みや構造はこちらの記事で解説しています。
軽量フライホイールはモータースポーツ向け
モータースポーツの世界では、マシンを速く走らせるため、フライホイールを軽量化しています。軽いフライホイールは素早い加速や、加減速を繰り返すことに向いているためです。
エンジンの回転数が低いときは、重たいフライホイールでなければ、滑らかな回転が維持できません。しかしレーシングマシンは速度域が高い(=回転数が高い)うえ、急加速・急減速が多いので回転を維持する時間が少ないため、重たいフライホイールからの恩恵は少なくなります。
軽量フライホイールは、回転数を変えやすくなる(=レスポンスが良くなる)、シフトアップが速くできるなどのメリットがあるため、レースで走るためにはフライホイールの軽量化は有効といえます。
ただし、あまり軽量化しすぎると回転力を蓄えることができず、トルクが細くなってしまうという欠点もあります。
軽量フライホイールはネット通販でも売っていますが、適合するかどうかはきちんと調べる必要があります。
価格は純正フライホイールで1~6万円ほど。軽量フライホイールはもっと安い製品もあるようです。フライホイール交換はクラッチ交換とセットで行われることが多いです。
一般ユーザーは通常のフライホイールでOK
軽量フライホイールはモータースポーツで真価を発揮しますが、エンジンを高回転まで回す機械がほとんどない一般ユーザーや普通車は、通常のフライホイールでじゅうぶんです。
むしろ軽量フライホイールにより、通常よく使う低速域でのアイドリングが不安定になり、停止・発進でもギクシャクしてしまいます。
さらに、フライホイールが軽くなったことで一定速度を保つために必要なエンジンパワーが増えてしまい、燃費の悪化につながります。
以上のことから、一般ユーザーは純正フライホイールをそのまま使用したほうが、メリットが大きいといえるでしょう。
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- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...