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中型免許で運転できる車は?8t限定や準中型免許の限定解除についても解説
※2022/03/07 記事内容を一部修正いたしました
中型免許とは?
中型免許は日本における自動車運転免許の区分の1つです。
この免許を取得すると、自動車ディーラーや整備工場の人々が運転している積載自動車や小型バスなどを運転できるようになります。
度重なる免許ルールの改正に伴い、様々な中型免許が誕生することとなりました。普通自動車免許を取得した時点の法律が適用されているため、まずは一度ご自身が普通自動車免許を取得された年月日を確かめておきましょう。
中型免許の種類
中型免許
中型免許は2007年6月に新たに設けられた免許区分で、この免許を取得すると次の条件を満たす自動車を公道で運転できます。
- 車両総重量7.5t(トン)以上11t未満
- 最大積載量4.5t以上6.5t未満
- 乗車定員11人以上29人以下
中型免許が誕生するまでは、同様の条件の自動車を普通自動車免許で運転することができたというわけです。
現在、中型免許を取得するための条件として、年齢が20歳以上であること、普通自動車運転免許取得から2年以上経過していることの2つが挙げられます。
8t限定中型免許
8t限定中型免許は2007年に中型免許と共に新たに設けられた免許区分で、次の条件を満たす自動車を運転することができます。
- 車両総重量8.0t未満
- 最大積載量5.0t未満
- 乗車定員10名以下
厳密には8t限定中型免許という免許の区分はありませんが、2007年6月1日以前に普通自動車免許を取得している人は8t限定中型免許が定める条件の自動車を運転することが可能です。免許証上に「中型車は中型車(8t)に限る」と記載されていることから、このように呼ばれています。
準中型免許
準中型免許は2017年3月12日に新たに設けられた免許区分で、その名称から察することができるように、中型免許よりも運転可能な車両総重量・最大積載量などの条件がより限定的です。
準中型免許で運転できる車両の条件は以下の通りです。
- 車両総重量5.0t以上7,5t未満
- 最大積載量3.0t以上4,5t未満
- 乗車定員10人以下
5t限定準中型免許
5t限定準中型免許は上記の準中型よりも条件が限定的な免許で、以下の条件を満たす自動車の運転が可能となります。
- 車両総重量5.0t未満
- 最大積載量3.0t未満
- 乗車定員10名以下
乗車定員10名は準中型免許と同じですが、車両総重量と最大積載量の制約が準中型よりも厳しいです。
2017年3月12日以降に普通運転免許を取得した場合には運転できる「中型自動車」が無い
このように中型系免許の経緯を辿っていくと、普通運転免許で運転可能な自動車の範囲が少しずつ絞られていることに気がつきます。
実際、2017年3月12日以降(=現在)に普通免許を取得した場合に運転できる自動車の条件は、車両総重量3.5t未満、最大積載量2.0t未満、そして乗車定員10名以下であることです。
以上のことから、世代が離れている人同士が1つの中型自動車を運転する場合、この制度を正しく理解していないと免許外運転をしてしまう危険があります。どちらが運転しても問題ないかどうかを事前に確かめる必要があります。
中型免許の取得方法
自動車学校(教習所)で教習を受ける
1つ目の方法は自動車学校で中型免許の教習を受ける方法です。
決められた技能教習を決められた時間だけ受け、最終的に卒業検定に合格すれば、免許センターで技能試験を受ける必要がなくなります。
自動車学校教員の指導を受けながら中型自動車の運転方法を学ぶことができるため、段階を踏みながら技能習得に努められるのもメリットです。
このように自動車学校での中型免許教習はサービスが充実していますが、教習費用が13万〜19万円ほどかかること、そして自動車学校へ一定期間通い続ける手間がかかることはデメリットと言えるでしょう。
免許センターで試験を受ける
2つ目の方法は免許センターで技能試験を受ける方法です。
この方法で免許取得目指すことのメリットとして、教習所に通う必要がないこと、そして受験費用が教習所に通うよりも安いことの2つが挙げられます。
試験にかかる費用は、仮免許試験が5,500円(試験手数料2,900円・交付手数料1,150円・試験車使用料1,450円)、本免許試験が8,650円(受験料4,100円・試験車使用料2,500円、・免許証交付料2,050円)となっており、教習費用よりも圧倒的に安いです。
デメリットは、本免許試験を受けるために同乗者(指導者=条件を満たす中型免許所有者)を乗せた路上練習を受験対象車種で5日以上行う必要があること、合格難易度が自動車学校よりも高いことなどです。
【注意】免許取得時には深視力検査が必要になる
また、中型免許取得では、普通自動車免許取得時とは異なり、通常の視力検査に加えて深視力検査が必要になります。
深視力とは遠近感や立体感を把握する能力がどれくらいあるのかを表したものです。準中型以上の免許を取得する場合、そして2種免許を取得する場合に測定されます。
深視力は三棹法(さんかんほう)で測定されます。横並びにされた3本の棒のうち真ん中の棒が前後に動き、3本の棒が同一線上になった時に手元のボタンを押すという内容を3回繰り返します。
深視力検査に合格するには、この時の平均誤差が2cm以下である必要があります。
中型免許で運転できる自動車
中型免許を持っていると何が便利?
中型免許を取得することで、車両総重量や最大積載量がより大きい自動車を、中型免許の条件範囲内で運転できるようになります。
例えば、自動車ディーラーやロードサービスでよく見かける車両積載車(荷台に自動車を1台載せられる自動車とする)は、車種や仕様によって車両総重量と最大積載量が異なります。
8t限定以上の中型免許を取得していれば、車両積載車で免許外運転になる可能性は低いでしょう。
中型免許で運転できる自動車の例
いすゞ エルフ、三菱 キャンターなどのトラックは中型免許や大型免許で運転できるようになるイメージですが、各自動車メーカーは同じ車種名でも仕様の異なるモデルやグレードを揃えているため、車種名だけで分類するには少し難しいところがあります。
よって、その都度カタログでグレードを読み解くのが良いでしょう。例えば、ボルボ・トラック ボルボFH(軸配列4 × 2のトラクター仕様)なら中型免許で運転可能です。
ここでは、具体的な車種名ではなく、大まかな名称ごとに分けて紹介します。
6トントラック
最大積載量が6tを超えている自動車は6トン車などと呼ばれています。中型免許を所有していると、いわゆる6トン自動車を運転することができます。
一部条件を満たす小型バス
乗車人数が11名以上29名未満の車両、例えば小型バスなどは、中型免許で運転することができます。
積載車
中型免許や準中型免許を持っていると、積載車を運転することができるようになります。ただし、車両総重量や最大積載量によっては準中型では運転できないものがあるため、事前に確認が必要です。
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