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分解可能な二段ベッドを作ったらさらにマルチパーパスで使い勝手が良くなった
キャンピングカー情報をはじめとして、キャンプや車中泊、バンライフなど、アウトドア&車旅の情報を配信しているWEBマガジン・DRIMOから、実際に車中泊やキャンピングカーを楽しんでいるライターによる記事をMOBYがご紹介します。※以降の記事内容および記事タイトルはDRIMOからの引用・参照です
9月の車検後に愛車キャラバンの内装の大改装を実施した。
この車を使い始めて6年経ち、その間何度も改装を繰り返してきたのだが、今回の改装は作り付けのベッドやベッドに展開できるソファーなどのない、車中泊仕様車としては斬新?な形態だ。
平らな床を広くとってベッドをなくした理由は、それなりにしっかりとした根拠があるのだが、その根拠や就寝方法については「キャラバンをおしゃれDIY!!使い勝手が良いように工夫した点とは?!」の記事に書いたので、そちらをお読みいただくとして、作業を進めて行くうちに当初の計画にはなかったことを思いついてしまった。
何を思いついたかと言えば、それまでまるで考えたこともなかった分解可能な二段ベッド(正確に言えば二段ベッド形式の就寝方法)の製作だ。
これは副産物的に思いついてしまったことなのだが、この「作り付けのベッドのない広くて平らな床 + 分解可能な二段ベッド」は思いの外実用的で、車を汎用性の高い状態にしておくことができる、かなり画期的なシステムだと思っている。
ちょっと見かけたことのないスタイルなので、車中泊仕様車のDYIを考えている人の発想のヒントになればと思う。
きっかけ
今回の大改装では、後部座席のシートバックは前に倒して畳むが、シート全体を折り畳まずに出した状態にしておき、その上も主に大きな荷物の置き場所として使うことを基本のスタイルとした。
その方が効率的と考えたからだ。
畳んだシートは場所をとるだけだが、この方法なら上が荷物置き場として使えるだけでなく、シートの下もちょっとした荷物の収納場所となる。
シートをシートして使う場合も色々置いてある物を移動したりといった手間もかからない。
そして、シート前のスペースはポータブルトイレがぴったり収まるサイズでもあるのだ。
しかし、上の画像の通り倒したシートバックの上は水平ではなく少し傾斜している。
このままでも荷物を積めなくはないが、この上に被せる台のようなものを作って水平にしたほうが、より荷物を載せやくなると考えた。
それで、ともかくこの畳んだシートバックの上を水平にする台を作ることにしたのだが、それを計画しているうちに、ついでにこの台を中心にして、前後に長さを延長できる取り外し可能な板も用意すればベッドにもなるなんて考えも浮かんできた。
これが二段ベッド化計画に繋がるきっかけなのだが、この時点ではまだ二段ベッドのことなど考えていなかった。
何故二段ベッド化計画へと発展したのか
何故二段ベッド化へと計画が発展したのか。
結論が後回しとなる文体でまどろっこしく感じられるかもしれないが、少し我慢してお読みいただきたい。
二段ベッドのあるキャンピングカーは決して珍しくない。
そして、キャンピングカービルダーが各々工夫を凝らしていてさまざまな形態があり、感心もするし見ているだけでも結構面白い。
標準ルーフのハイエースやキャラバンでも二段ベッドを備えた車はある。
しかし、上段は子供用だったり、カタログに載せる就寝可能人数を多くするためだけのような、現実的にはあまり使い勝手が良くなさそうと思えてしまうような車もあることは否めない。
上段との間隔があまりに狭ければ下段の人は圧迫感があってあまり快適とは言えない。
ポップアップルーフは別として、やはり二段ベッドというシステムは基本的に室内高の高い車向きではあると思う。
全長が5mをギリギリ切る私のキャラバンは、1ナンバーサイズのスーパーロングではあるが標準ルーフであり、何より基本一人車中泊が中心の私にとって、二段ベッドは面白いとは思うけど自分に直接関係のあるものではないと思っていた。
しかし、後部座席を利用した荷物を置く台を中核としてベッドを作ったとしたら、床からの高さは50cm以上になる。
この下に顔まですっぽり潜るような感じで入ったら圧迫感を感じるだろうが、十分人が寝られる高さのあるスペースがベッド下にもあることになる。
元々就寝時はコットを置くか床に直接マットを敷いて寝るように考えていたので、床に寝ること自体は全く問題ない。
そして、ベッドを作った場合に後部座席から後に延長される部分の長さは90cmにも満たない。
床に直接マット敷いてこの下に人が寝るとしても、ベッドの下に入るのは腰から下だけで済んでしまうことになり、これなら床に寝る人も圧迫感なく寝ることができる。
これを想像して真横から見たところを絵にしてみたら上のようになった。
下の人は床に直接マットを敷いて寝るので、正確に言えは二段ベッドではなく、「二段ベッド形式」のような感じではあるが、普通の二段ベッドの下段が最低でも床から30cm位は上がった位置にあるとしたら、この仕組みなら室内高が170cm近くはある車に設えた二段ベッドと同じようなことになり、標準ルーフの車でも無理している感じにはならない。
ところで、先程私は「基本一人車中泊中心」と書いたが、他の人と途中で合流したり現地で集合して一緒にキャンプや車中泊をすることは少なくない。
しかし、仕事に関わる旅での車中泊や、仕事の旅に絡めてついでに遊んでくることの多いような私は、他の人とスケジュールを合わせて一台の車で最初から最後まで一緒に全行程を旅をする機会が非常に少ないのだ。
だから他の人と一緒にキャンプや車中泊をする場合も、自ずと私の車の中で寝るのは私一人となる。
またそうした事情とは別に、幅の狭い車内でオッサン二人並んで寝るのは嫌だ。
若い頃はそういうのも苦にならなかったが、もうそんなことをするより、自分一人のための快適な空間を確保したいと考えてしまう。
そんなわけで、この車を使い始めた初期の頃(まだ娘が一緒に車中泊旅に付き合ってくれていた頃)は2名就寝できるようにしていたのだけど、贅沢と思われるかもしれないが、数年前からは割り切ってこの車の車内は一人旅仕様にしていた。
しかし、友人と旅に出る場合は各々一台の車で行くより、当然ながら一台の車で出かけた方が経済的で、エコロジカルでもある。
この無理のない「二段ベッド形式」ならオッサン二人でも快適に就寝できそうだなどと考えていたら、仕事半分ではなく、若い頃のように友人と二人で全くプライベートな遊びだけの旅にたまには出るのも良いなあなどとも思えてきた。
そう、たまには若い頃のように友人と二人で一台の車で車中泊の旅に出てみたくなったのが「分解式二段ベッドシステム」を作ることになった理由だ。
中核となる台の製作
まずは二段ベッド計画の前から考えていた後部座席の上に被せる台の製作に取りかかるのだが、主要な材料は今回の改装前にベッドにしていた板など使い回しや、その他余っていた木材だ。
だから所々穴が開いていたり、ビス穴の跡があるものばかりだ。
ベッドの中核ともなるこの台は、前側は畳んだシートバックの上に直接置けば良いが、低くなっている後ろ側には脚を付けて高さを合わせることにした。
使用した板は改装前にベッド一部だった厚みが10mmのOSB。
後部座席を座席として使う場合はこの台をどかさなければならないので、脚は折り畳み式にした。
最初は上の画像のように余っていた普通のヒンジを付けたのだが、これは後から付け替えた。その話は後述。
上の画像は塗装前だが、仮置きしてみると大体こんな感じとなる。
台の大きさは90cm x 60cm程度あり、これなら大きな段ボール箱・畳んだインフレータブルSUP・畳んだフォールディングカヤックなどの大きな荷物も余裕で載せることができる。
少し一気に話が飛ぶが、使いさしの白いペンキがあったのでそれを塗り、台の前側の板を取り付けた状態が上の画像。
この画像ではわかりにくいが、台本体と前側の板とはヒンジで繋いで畳めるようにしてあり、この画像は前側の板を畳んだ状態だ。
台の前側の板を展開するとこうなる。
この部分は板の幅が55cm程度しかないが、ベッドとして使う場合はこちら側に足がくる向きで寝るので、この程度の幅があれば問題ない。
そして、この部分の支えはどうなっているかと言えば、下の画像の短い2 x 4材を二つ重ねて繋げたものが脚だ。
ラッキーなことに2 x 4材を二つ重ねると高さがちょうど合って、手間が大変少なくて済んでしまった。
この脚は面ファスナーで付け外しができるようになっていて、板に面ファスナーで脚を付けた状態が上の画像。
外してしまえば荷物を積むときに邪魔にならない。
脚だけ設置箇所に置いてみると下の画像のような状態になっている。
ベッド頭側部分の製作
中核となる台と折り畳み式の板で長さは107cm確保できているので、後ろ方向に延長する部分は85cmもあれば全長が190cmを超えることになるので、大抵の人にはベッドとして十分な長さになる。
少なくとも現在身長が175cm弱(悲しいかな身長が縮み始めている)の私には十分な長さだ。
延長部分用の材料も、やはり以前ベッド用として使っていた板の流用。
長さを切って同じ白いペンキを塗った。
幅は70cmだったのでそのまま。
この板はOSBではなく、もっと重量の軽い厚み9mmの合板。
1mm高さがずれてしまうが、マットを敷けば全く問題ない程度だ。
当然9mmの合板そのままでは強度が足りないので、上の画像のように裏側には骨組みを固定。
そして先程中核部分の台の折り畳み式の脚の金具を後から付け替えたと書いたが、この延長部分の脚の取り付け方法に関しては結構悩んだ。
中核部分の台同様脚は折り畳み式にしておきたいのだが、普通のヒンジを付けただけではグラグラして問題外だ。
そこでホームセンター探検に出ることも考えたが、南米の密林を探索するとこんな金具が見つかった。
これは何かと言えば、テーブルに折り畳み式の脚を取り付けるための金具だ。
レビューを見ると良くないことを書いている人もいて、凄く高評価といった感じでもない。
しかし、同じような他の商品のレビューも星の数も大同小異。
そして、写真で見る限り全く問題はなさそうだ。
価格は4個セット・送料込みで¥1,780とお手頃。
もう夕方だったけど翌日配達できるということで、これをお取り寄せ。
余談だが、あの星の数とかレビューとかっていうのは役に立つこともあるが、全く邪魔だったり迷惑な場合も少なくない。
この商品のことではないが、「あなたの使い方の問題じゃない?」とか、中には外箱や梱包の仕方が気に食わなかったからという全く商品の品質に関係のない理由で低い評価を付けている人もいる。
サクラも大迷惑だが、神経質すぎたり自分側の問題で妙な低評価を付けられると、商品価値や品質がわかりにくくなり、余計な時間も食うので結構迷惑だ。
それはさておき、話を戻してこの金具についてだが、案の定全く問題などなかった。
それで4個セットだったこともあり、せっかくだから中核部分の台の脚の金具も普通のヒンジからこれに交換したという次第だ。
そして、その金具を使って板に脚を取り付けるとこうなる。
片側は中核の台と合体させるので、この部分に付ける脚は2本。
因みに金具はしっかりしていて折り畳みも全く問題ない。
良くない評価を付ける人の気持ちが全くわからない。
そして脚を畳むとこうなる。
ベッド展開
脚の取り付けも無事終わり、延長部分も合体するとこうなる。
車体後部から見た様子が下の画像で、ベッドの先端から床の端までの余ったスペースは長さが120cm程度ある。
低いコンテナボックスを置いてスツール代わりにしてみたら、ベッドではなくてテーブルとして使うのにも良さそうだった。
そしてベッドの上と下にマットを敷いたのが下の画像。
2名で就寝する場合はこの状態で使うことになる。
後ろ側から見るとこうなる。
二人のときにこのトイレを使用することはないと思うが、トイレを使用するときは前側の板をこのように跳ね上げる。
また、延長部分は使う時だけ積んで行けば良いのだが、脚を畳むことができるので、車内に積んでも大して邪魔にはならない。
後部座席を使える状態にし、中核の台と延長部分も畳んで車内に積んだ状態が上の画像。
この状態でもスペースをあまり無駄にすることなく大量の荷物を積むことができる。
畳む手間も大したことはない。
荷物の固定
中核となる台には数カ所にロープを通すアイストラップを取り付けた。
アングルも取り付けてあるが、これはベッド延長部分と連結する(離れてしまわないようにここに引っ掛ける)ためのもの。
こうして荷物をロープで縛り付ければ荷崩れを起こす心配もない。
この大きなバッグの中身は、空気を入れて膨らますと長さが4m位になるインフレータブルSUPだ。
畳んだコットもこうして縛り付けておくことができる。
一人旅のときも
二段ベッドを設置した状態でも、ベッドの先端から床の端までは120cm位あると先程書いたが、幅もタイヤハウスのある狭い部分で110cm程度、広いところは130cm程度ある。
起きて半畳寝て一畳と言うが、ベッド以外に半畳以上のスペースがあり、生活するのに十分なスペースだ。
案外こうして常設ベッドのような状態にしておいて、一人旅のときもこのスタイルで行くのも良いかもしれない。
季節や荷物の量などに応じてコットと使い分けるのも良さそうだ。
全部どければ広大な荷室になり、臨機応変に色々な形態にして使用できるこのシステム、我ながらなかなかに完成度が高いと思っている。
ともかく、せっかく無理なく2名就寝も可能にしたのだから、いつもの一人旅だけではなく、たまには友人と二人で車中泊旅に出てみることにしよう。
ライター:笠原 サタン
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