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【取材&試乗】フィアット デュカト!サイズ大きいけど運転は難しくないの?
キャンピングカー情報をはじめとして、キャンプや車中泊、バンライフなど、アウトドア&車旅の情報を配信しているWEBマガジン・DRIMOから、実際に車中泊やキャンピングカーを楽しんでいるライターによる記事をMOBYがご紹介します。※以降の記事内容および記事タイトルはDRIMOからの引用・参照です
目次
Stellantisジャパン本社でフィアット デュカトを借りて、乗ってきました!
昨年(2022年)、正規輸入が決定して今年のジャパンキャンピングカーショーでフィアットデュカトベースの「国産」キャンピングカーが、各正規ディーラー兼キャンピングビルダーから一斉デビューしました。
キャンピングカーの完成車としてフィアット デュカトをベースとしたモデルはいま大注目。ですが、ちょっと待った。
そもそも正規輸入されたデュカト自体はどんな車なのか。
そしてどうやらかなりの大サイズなのだけれども、日本の道路で運転はスムーズにできるのか。
そんな疑問を抱きました。
そこで、Stellantis(ステランティス)ジャパンの瀧川可奈子さんにお話を聞くとともに、キャンピングカーとして架装する前のデュカトを借り出して試乗。
果たして、小型乗用車の幅寄せとバックでさえ苦手な筆者にも、ちゃんと運転できたのか?
日本に正規輸入が始まったフィアット デュカトとは?
まずはあらためてフィアット デュカトとはどんな車かというと。
デュカトはイタリアの自動車メーカー・フィアットの商用車部門であるフィアットプロフェッショナルのLCV(ライトコマーシャルビークル=小型商用車)。
2020年・2021年にヨーロッパにおいて販売台数1位(商用車部門)。
ヨーロッパではLCVのカテゴリーで約7割のシェアを誇っているということなので、日本で言えばトヨタのハイエースのような存在と例えられるでしょう。
今回日本に正規輸入されることになったのは、主にキャンピングカーのベース車としての用途を念頭に置いてのこと。
ステランティスジャパンが総輸入元・総卸元となり、国内の著名なキャンピングカービルダー5社が正規ディーラーとなりました。
2022年モデルのフィアット デュカトとして日本に導入されたのは車両サイズ違いの3種類。
標準タイプ、そのロングホイールベース版、ロングホイールベースに加えてさらにハイルーフ仕様となっています。
エンジン・パワートレイン・駆動方式は3サイズとも共通。
最高出力180hp(132kw)、最大トルク450Nmを発生する第3世代の2.2リッター MultiJet 3ディーゼルエンジンに、なんと9速!オートマチックが組み合わされます。
駆動方式はFF(前輪駆動)のみ。
日本で商用車というとFR(後輪駆動)が主流というのが一般的なイメージだと思いますが、フィアット デュカトは乗用車のミニバンなどと同じFF方式を採っています。
このあたりはヨーロッパと日本の商用車の設計思想の違いなのかもしれません。
それではステランティスジャパン・マーケティング部プロダクトマネージャーの瀧川さん(以下、瀧川さん)にフィアット デュカトの特長について伺ったお話しを紹介していきましょう。
フィアット デュカトのエクステリアの特長は何ですか?
「まずなによりデザインですね。商用車とは思えないスタイル。
これはほかにはないイタリア車・フィアット デュカトならではの最大の特長といえます。
次に推したいのはボディカラーです。商用車の定番カラーである黒と白のほかグレー系が4色。計6色から選べます。
個人的にはきょうの試乗車のランサローテ グレー(スペシャルソリッドのグレー)がおすすめです」(瀧川さん)
フィアット デュカトの車両サイズについて教えてください!
「本国モデルにはもっと様々なサイズとタイプのフィアット デュカトがあります。
その中で日本に正規輸入となったのは、L2H2、L3H2、L3H3と呼ばれる3サイズです。
いちばん小型のL2H2でも全長5,410mm、全幅2,050mm、全高2,525mm。
日本国内のキャンピングカーのベース車としてはこのL2H2が主力になると考えています」(瀧川さん)
日本仕様のフィアット デュカトについて
「日本と同じ左側通行の英国向けモデルが基本となっています。
右ハンドルで、キャンピングカーになったときに居室への出入り口となるスライドドアは左側のみ。
車道側から乗り降りしなくていいようになっています。
日本向けのフィアット デュカトには、キャンピングカーでの長距離移動を快適にしていただけるように、クッションが厚くホールド性の高いシートとアームレストを標準仕様として選びました。
フィアット デュカトのシートの中でもグレードの高いものです。
安全装備では、走行時に後ろを確認するためのデジタルリアビュールームミラー、衝突被害軽減ブレーキ(歩行者検知機能付)、駐車時に真後ろの様子を映すリアパーキングカメラ、斜め後ろの死角にいる車を知らせるブラインドスポットアシスト、はみだし防止のためのレーンキーピングアシストなどが装備されています」(瀧川さん)
正規輸入のデュカトに保証は付きますか?
「3年10万キロの保証が付きます。正規輸入となったことで、ご購入後もユーザー様に安心感を持ってもらえると考えています」(瀧川さん)
お話しを伺って、カッコ良くて、安全装備もあれこれ装備されていて、保証も付いているのはわかりました。
だけど、このサイズ。日本の道路で運転できるのか。ということで次にいよいよ試乗記です。
【フィアット デュカト試乗記】デュカトで都内を走ってみました!
今回試乗できたのはL2H2という日本に導入されているデュカトの中ではいちばん小さいサイズ。
とはいえ先述したようにL2H2は全長5,410mm、全幅2,050mm、全高2,525mm。
車両引き渡し場所に着いて現車を見るとやはりデカい。大きな車を運転するの苦手なんです。
全幅2メートル超え。トヨタのアルファードが全幅1,850mm、同じくトヨタ・ハイエースのワイドボディが全幅1,880mmなので、デュカトはかなり幅広。
借り物だし、内心こすったらどうしようとドキドキでした。
試乗場所は東京都内の三田周辺、市街地。なるべく車が少ない場所で走ろうとお台場方面に向かうことにしました。
フィアット デュカトは背が高いので、運転席・助手席の乗り降りはどうかなと思いましたが、意外にも乗り込みやすいです。
動かし始めてすぐに難関。
引き渡し場所の屋内駐車場の出口がスロープになっていて左右に壁が!
車幅は広いし後ろも長いので、恐る恐る進んでいきました。が、運転席の位置が高いのとボンネットの形のおかげか車両感覚がつかみやすいのにまずびっくり。
すんなり公道に出られました。
しかしまだまだ油断は禁物。都内三田周辺の市街地です。
2車線または3車線で、当たり前だけど隣にほかの車は並ぶし、車線変更も必要になります。
おっとこれも大丈夫。ボンネットの左右がちゃんと見えます。
大きめのサイドミラーで車両の後ろの端まで確認できました。
はみだし防止のレーンキープアシストのお世話にならなくても、自分の走っている車線をキープ。
右折も左折もまったく問題なし。ちょっと走っただけで「あれ、デュカト乗りやすい」と思いました。
全然ドキドキしていません。
レインボーブリッジを渡ってお台場に行ったのですが、登り坂で少し多めにアクセルを踏んでみるとためらわずに加速していきます。
キャンピングカーとしての架装(家具や設備)がまったくない荷台(居室になる後ろの部分)ががらんどうの空荷状態なので、当然といえば当然ですが登りでもスイスイ走ります。
9速オートマチックトランスミッションは、さすがに9段なだけあって変速の継ぎ目がほぼわからないほど滑らか。
車高が2.55メートルもあるのに、カーブでもフラフラしません。
レインボーブリッジを渡っている最中も横風を意識することはなかったです。
ちなみにフィアット デュカトには横風に対処するクロスウインドアシスト機能が付いていますが、今回の試乗ではおそらく作動した場面はなかったと思います。
とにかく運転席からの前後四隅の見切りがいい。お台場の公園で撮影を終えた帰り道では、もうすっかり慣れていました。
少し気になった点も紹介しておきましょう。
車内ではあまり感じませんでしたがエンジンをかけたまま車外に出ると、ディーゼル特有のカラカラ音はまあまあ聞こえます。
カーブの滑り止め段差舗装の上を走ると少し跳ねました。
ただこれは空荷状態だからで、家具や設備を載せてキャンピングカーになった場合はちょうどよく安定するのだと思います。
もともと荷物を満載して走るための商用車ですから。
ほかには、強いて言えばウインカーのカチカチ音が「なぜこんなに?」と思うほど大きかったくらい。
試乗が終わってフィアット デュカトから降りて振り返ると「やっぱりデカい」とあらためて思いましたが、それとは裏腹に驚くほどストレスなく運転できるクルマでした。
フィアット デュカトは大きいだけあって車内は広々
先ほどからフィアット デュカトの車体はデカいと言っていますが、大きいということは室内が広いということ。
家具などが入っていないがらんどうの状態で室内高は1,932mm、車内長2,960mm、車内幅は2,000mm。
余程の高身長でない限り車内を立って歩けます。
正規輸入のデュカトベースのキャンピングカーは、安全性を考慮してボディ外装を切断してキャブコン(キャブコンバージョン)にすることは許されていません。
つまりすべてバンコン(バンコンバージョン)となります。
これだけ大きなサイズのバンコンは「国産」キャンピングカーでは初めて。
キャンピングカーの購入を検討する際に、新しい選択肢が増えたと言えます。
ライター:DRIMO編集部
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