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中古キャンピングカーを購入する際に注意すべきこと
キャンピングカー情報をはじめとして、キャンプや車中泊、バンライフなど、アウトドア&車旅の情報を配信しているWEBマガジン・DRIMOから、実際に車中泊やキャンピングカーを楽しんでいるライターによる記事をMOBYがご紹介します。※以降の記事内容および記事タイトルはDRIMOからの引用・参照です
中古のキャンピングカーにはメリットや魅力が沢山あるが、当然良いことばかりではない。
良いことばかり並べ立てず、今回は中古のキャンピングカーを入手する際に注意しておいた方が良いような点を挙げてみようと思う。
中古キャンピングカーの入手方法について
まずは入手方法について。
中古のキャンピングカーの入手先としては次のような方法が考えられる。
- キャンピングカー専門店、または中古キャンピングカー専門店
- 一般的な中古車販売店
- ヤフオクなどウェブサイト上
- 知人や知人のツテ
まず、キャンピングカー専門店からの購入は、品質に関しても購入後の保証やメンテナンスなどに関しても、最も安心できる方法だ。
専門店は他の入手方法と比較すると価格が高いような印象を受けることもあるが、車の状態を精査して正しく評価し、メンテナンスが必要であればメンテナンスをした上で販売している。
一見価格が高そうに見えたとしても、そのような手間賃が入っていることは忘れてはならない。業者もただ間に入って手数料だけ取っているわけではないのだ。そこは勘違いしないでおきたい。
ただ、中には詐欺やボッタクリのような業者がいないわけではないのも事実。
キャンピングカーではないけれど、結構な金額の手付金を払った後、準備が整うまで待ってくれと言われ、暫く待っても連絡がなく、電話も出ないので店を訪れたら、店ごと消えていたという目に遭った知人もいた。
また、何でも大きい店が良いと思う人もいるが、規模が大きければ良いという話でもない。
規模が大きいのが悪いという訳ではなく、規模が小さくても専門的な知識が豊富で、信頼できるスタッフがいる店もたくさんあるということだ。
会社の規模や体裁より、実際にスタッフと話をしてみて信頼に足るか否かを判断することが大切である。
また、キャンピングカーを専門とはしていない普通の中古車販売店でも、数は少ないがキャンピングカーが販売されていることがある。
そうした場合は、車に関しては高い知識があっても、キャンピングカーの設備についての知識には乏しいこともある。
その辺りも正直に話してくれるのだったら信用できるが、キャンピングカー専門店からの購入の場合と同じで、適当に調子の良いことばかり言うようだったら、キャンピングカー設備以外のことも信用できなくなるため、その業者での購入自体をやめた方が無難かもしれない。
専門店、一般的な車の中古販売店どちらにも共通することだが、中身が全然な車を見かけだけカッコよくして販売する中古車販売業がいること、うかうかしているとすぐ売れてしまうなどと煽って、やたら手付金の支払いを要求してくるような業者もたまにいるので、購入する業者もなるべく慎重に選ぼう。
個人で出品している人もいるが、専門業者も数多く出品している。個人の出品は、業者より価格が安い傾向があり、変わった車や面白い車が出ていることがある。
しかし、素人が直接販売する車輌には、一見問題なそうに見えても、全く気付かないところに大きな問題が潜んでいる可能性もある。
個人売買では、購入後の保証やメンテナンスなども普通は期待できない。
また、業者から購入するのなら、販売店の扱うローンを利用できたり、自分で銀行などから借りてローンを組む場合は、審査が終わるまで待ってもらうことなども可能だ。
オークションサイトからの購入でも、相手が業者なら事前にそうした相談に応じてくれることもある。
しかし、個人からオークションで落札し、その後に「銀行から融資が降りなかったからキャンセル」では無責任過ぎる。個人から購入する場合は、基本的に一括払いの現金の準備が必要だ。
知人や知人からのツテで入手する場合は、比較的安価で譲り受けられる可能性があり、見ず知らずの人から買うより安心感があると思える。
しかし反面、車に不具合があったり、金銭的なやりとりでギクシャクしたりすると、人間関係を壊す可能性が大いにある。お互い軽く考えて大きな失敗をしないように注意したい。
最後に、以上4つの中古キャンピングカーの入手方法以外に、キャンピングカーの中古車ではなく、中古のVANやトラックを入手して自分でキャンピングカーに仕立て上げる方法がある。
これの一番の注意点は、安全面で注意しなければならないのは当然として、無闇やたらに改造すると車検が通らなくなってしまったり、以前何度か触れたことがあるが、合法的な範囲の改造でも、ディーラーでは車検を受け付けてくれなくなる可能性があることだ。
また、手放すときにオークションや人づてなら見合った価格で売れる可能性もあるが、しっかりノーマルな状態に戻さないと査定が低くなってしまったり、最悪の場合は査定額がつかなくなってしまう可能性があることは覚悟しておくべき。
一般車の、イジってあったり後付け装備盛り沢山の中古車の場合は、販売価格はノーマルな状態より高くなっていても、買取価格は逆に安くなってしまうことがあるなんて話も聞いたことがある。
価格について
入手方法による価格の違いは前の項目と内容が重複するので、ここではそれとは違った観点からの価格の違いの傾向について触れておく。
- 自作車や大きく手を加えている車輌の方が、ノーマル状態(ビルダーが作ったままの状態)に近い車輌より安い傾向がある
- どちらかと言うと輸入車より国産車の方が値下がり率が低く、特に北米から輸入された車輌は車格に対して安く感じる個体が多い
どちらもしっかりと統計などをとった厳密なデータなどではないが、見ていてこのような傾向があるように感じる。
手の加えられた車が元の状態の車より安い傾向にあるのは、前の項目の最後でも触れたようなことだ。
自分に都合の良い改造が施されて、それが安価で入手できるなら良いと思うが、故障や不具合の原因にならないか、車検に問題ないないかなど、購入を決める前にしっかり見極めておく必要がある。
国産車やヨーロッパ車と比較すると、北米の輸入車の方が比較的安くなる傾向があるように見受けられることについてだが、やたらな家より豪華な北米製の巨大なキャブコンの中古車が、ポップアップルーフのVWバナゴンやカリフォルニアよりずっと安く売られていることは珍しくない。
アメ車ベースのキャブコンが好きな人にとっては好都合なことも多いようだが、お買い得感が強かったり手の届く価格だとしても、巨大な北米製のキャブコンは、税金やメンテンナンスにかかる費用などをしっかりシミュレートしておくべき。
でないと、購入後にとんでもないことになる可能性があるので、そこにも十分な注意は必要だ。
故障やメンテナンスについて
車としての機能
キャンピングカーを選ぶ際には、先に家の部分に目が行きがちだが、キャンピングカーも車なのだから、購入する際には家の部分だけでなく、普通の車を選ぶ時と同じように、車としての機能に注意を払う必要があるのは当然だ。
中古車は新車と比べたら一般論的に故障する可能性は高くなる。
当然そのことは念頭においておかなければならないし、ハズレの車だったりしたら何かと厄介だが、それまでどんな扱い方をされてきた車かわからない場合は危険度も高い。
また、一般の修理工場ではキャンピング機能の部分の面倒は見てもらえないことも多いが、少し大きめの車輌の場合は、工場内に収まらないとか重量オーバーなどの理由で、一般の修理工場では修理を請け負ってもらえないケースもある。購入する前にそうしたことも念頭に置いておいた方が良い。
中古車の状態を判断する場合、一般的には外観や内装の状態、そしてエンジンなど動力関係(順不同)をまずは重視する人が多いと思う。
しかし、一般的な車より重量の重いキャンピングカーの場合は足回りに大きな負担がかかっていることが多い。
非常に重要な項目だが、これについて素人が判断するのはなかなかに難しいことだ。やはり販売店の信頼度にかかってくる。
また走行距離を重視する人は多く、それも確かに一理ある。しかし、走っても走らなくても経年劣化してしまうパーツが車には意外と多く、走行距離より適切にメンテナンスされていたかどうかの方が重要だとプロの整備士から聞いたことがある。
特に年式が古めの車の場合は、メンテナンス歴や部品の交換歴などが記録されていて、適切にメンテナンスされてきたことがわかると安心度が高くなる。
また、これはキャンピングカーに限らず中古車全般に言えることだが、雪国や海岸近くで使われていた車は下廻りが塩害(雪国は融雪剤により)を受けている確率が高い傾向がある。
車が使用されていた地域にも気をかけた方が良い。適切な処置をせずにペンキを塗ってごまかされている場合もあるようなので要注意。
雨漏り
キャブコンやトレーラーに特に多い、つきものとも言える問題が雨漏りだ。
またキャブコンでなくても、屋根にベンチレーターなどが付いているとそこから雨漏りしてくることは珍しくない。
そして雨漏りは原因を突き止めにくかったりするから厄介だ。雨漏りした形跡があったら要注意。外から見えない部分が腐食している可能性もある。
衛生面
キャンピングカーとして登録すために必要な条件や細かな規定は色々あるが、とにかく寝台・調理設備・水道(清水タンクと汚水タンクが必要)が備わっていなければキャンピングカーとして登録することができない。
そして、トイレやシャワー設備のある車ももちろんあるが、このどれもが衛生面に関わることばかりだ。
専門店の場合はしっかりクリーニング済みで販売されている場合もある。
しかし、個人売買やクリーニングがされてない場合は、ベッドのマットなどは消毒したり、張り替えたり交換する必要がある場合もある。
また、チェックのしにくい部分だが、水のタンクやパイプもカビが繁殖していたりして洗浄しても無理なら、部品の交換が必要になってしまう。
もしオークションなどで現物確認をすることなく購入するような場合は、衛生面に関しては特に注意が必要だ。
燃費
燃費が良いからとハイブリット車やディーゼルエンジンの車を選ぶ人がいるが、普通のガソリンエンジンと同じ車格の車と比較した場合、このどちらも車両価格は高価だ。
その価格差を埋めるには、最低でも10万kmか車によってはそれ以上走らないことには低燃費の恩恵にあやかることはできない計算になる。
これとは全く逆に車輌価格が比較的安いからと購入してみたら、とんでもなく燃費が悪くて、想定外にランニングコストがかかってしまうなんてことも十分起こり得る。
普通の車なら車種でおおよその燃費は予測でき、もし公表されている数値や他のユーザーの評判と大きくかけ離れていたりしたら、それは余程運転の仕方が悪いのか、その個体に大きな問題があるかどちらかに当てはまることになる。
しかし、キャンピングカーの場合は架装することで重量は重くなり、空気抵抗が大きく変化してしまう車でもあるため、ベース車のデータが全く参考にならないケースもあり、燃費が推し量りにくいことも多々あると考えられる。
キャンピングカーは小型のベース車輌=好燃費が当てはまるとは限らない。
例えば、元の状態では燃費の良い小さなエンジンの車が、架装する事で無理して頑張らなければならないような状態となってしまい、燃費が著しく悪化してしまうこともあるのだ。
それに対して、元々燃費があまり良いとは言えないけれど、トルクのある大きなエンジンの車は余裕があるため、架装してもあまり燃費に影響しないようなこともある。
こうしたことは中古車に限った事ではないので、中古に限らずキャンピングカーを購入する際には注意が必要だが、燃費だけの問題でもない。
燃費の他に修理・メンテナンス費用、税金など全てを含めたランニングコストは非常に重要だ。
「キャンピングカーで旅したら安上がりだから」が大きな理由でキャンピングカーを購入したのに、普通に宿やテントに泊まって燃費の良い車や公共交通機関で旅をした方がずっと経済的だったり、車を買ったのは良いけど、予算が不足して旅に出られないなんてことになってしまったら本末転倒だ。
キャンピングカーに乗るということは決して経済性だけが理由ではないが、燃費に関しては一般的な車の図式が当てはまらないことは頭に入れておいた方が良いと思う。
最後に
色々とややこしいことや少々脅すようなことも書いてしまったが、なんでも興味があったら実行に移すのは良いことだと私は思う。
失敗は成功の元でもある。考えてばかりで二の足を踏んでいたり、石橋を叩いてばかりではつまらない。
そういった意味でキャンピングカーに興味のある人にとって中古の存在は大変有り難いものだ。
そして、話が今回の振り出しに戻ってしまうが、ここまでの総まとめとして入手方法についての結論を言ってしまうと、あなたが車とキャンピングカーについてしっかりとした知識がある、或いはそうした人が身近にいて力になってくれるのでもなければ、信頼できる専門店から購入するのが最も得策だと私は思う。
価格が高ければ絶対に信用できるかと言えば残念ながらそうとも限らないが、ケチって大きな損失を出すのは愚の骨頂でもある。
安心に対する対価は支払うべきだ。
ライター: 笠原 サタン
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- 執筆者プロフィール
- 車旅情報Webマガジン「DRIMO」
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