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マイカー元年を飾った「花の1966年組」サニー、カローラ、スバル1000の輝かしいデビュー【推し車】

通産省の構想発表から11年、ついに現れた本格的な「国民車」

1966年は日本でマイカーが普及し始める「モータリゼーションの夜明け」だった(背景:©tabibito/stock.adobe.com)

後に「マイカー元年」と言われた1966年は、戦後日本のモータリゼーションにおいて大きな転換点であり、その中で大きな役割を果たす3台の新型車がデビューした年でもあります。

1955年5月に通産省自動車課が発表した「国民車育成要綱案」(国民車構想)の時点ではまだ荒唐無稽だったコンセプトが、技術の発展と国民所得の向上でついに花開き、安くて高性能で経済的なマイカーが現実的なものとなりました。

それから50年以上経ち、所得に対して高額すぎる車が増え、「自動車とは所有すべきか、所有にこだわらず使いこなすサービスか」という新たな転換点に経った今、未来が明るいと思えた時代を代表するマイカー元年生まれの3台を紹介しましょう。

日産 サニー(初代・1966年4月)

初代日産 サニー

「マイカー元年」のトップバッターとなったのは4月発売のサニーで、大型化するブルーバードに対してかつてのダットサン110/210のような1リッター級小型大衆車として登場。

西ドイツ(当時)のオペル カデットA(1962年)とよく似たデザインや、サスペンションのセッティングなど走りの面でヨーロッパの雰囲気を感じさせて好感を得ますが、何より魅力的だったのは41万円からという低価格。

当時のブルーバード(2代目410型)が1リッターエンジンのスタンダードで54万円からだったのに対し格段に安くて車重は7割程度と軽く、同じ排気量でも新しく10馬力以上ハイパワーのA型エンジンでパワーウェイトレシオも抜群で燃費も良好!

安い、速い、経済的と三拍子揃い、当時開通し始めたばかりの高速道路にも対応しているとなれば売れないわけもなく、発売とともに大人気でバックオーダーを抱え、工場でも急速に増産体制が整えられました。

後述する初代カローラ登場後は名より実を取るヨーロッパ調がむしろアダになってしまい、改良も常に後手に回って2番手に甘んじたとはいえ、大衆への普及で日本のモータリゼーションを急加速させた功績は大きいでしょう。

なお、2006年に日本での販売を終了、後継のティーダラティオ/ラティオも2016年で国内向けが廃止され、現在はノート/ノート オーラがそのポジションにあります。

スバル 1000(1966年5月)

スバル1000

サニーや後述するカローラほどではないものの、やはり日本のマイカー時代で大きな役割を果たしたスバル1000。

当初、スバル(当時は富士重工)は1950年代にもP-1ことスバル1500で4輪車参入を狙ったものの、同じ中島飛行機系だからと富士精密からFG4Aエンジンの供給を受けたところ、「ウチの資金で作ったエンジンを使うとは何事か」とプリンスが激怒。

結局スバル1500の量販を断念(※)したスバルは「スバル360」により軽自動車から4輪車へ参入、その後独自開発で水平対向4気筒エンジン+FFレイアウトのスバル1000を生み出します。

(※そして富士精密はプリンスと合併し、中島飛行機系でも完全に別な道を歩んだ)

当時は既にFF車がなかったわけではないものの、前輪駆動に起因する駆動系の耐久性問題に直面してなかなか発展せず、スバル1000が初の実用的、かつ大々的に量販された4輪駆動乗用車と言えるでしょう。

販売力の差もあって、サニーやカローラに比べれば地味な存在でしたが、FFレイアウトの恩恵で広い車内、卓越した悪路走破性による走りも高く評価されます。

後には発展型のスバル ff-1 1300G時代にバン改造4WD車から「水平対向エンジン+4WD」という大きな特徴が生まれ、現在もスバル1000を始まりとしたクルマづくりが、スバルを自動車メーカーとして生き長らえさせています。

トヨタ カローラ(初代・1966年11月)

初代トヨタ カローラ

「マイカー元年」の最後発である初代カローラは、最後だけあってライバルたちを研究し尽くした力作として満を持して登場。

サニーが1リッターエンジンを積むと把握してから急いで排気量アップ、「プラス100ccの余裕」というキャッチコピーの元となった1.1リッターエンジンも有名ですが、もっとも肝心なのは「80点主義」で作られた初のトヨタ車だというところです。

よく誤解される「80点でいいクルマ」ではなく、「最低80点、それ以下でユーザーにガマンさせる部分を作らない」ことを徹底した「80点プラス主義」というべきコンセプトで、コストは抑えつつも工夫で満足度を高めていきました。

サニーが「安い、速い、経済的」なら、カローラは「満足」を加えた四拍子で、コスト低減のためリンク機構が煩雑なコラムシフトではなく、ミッションから直接シフトレバーを生やしたフロアシフトがかえってスポーティと言われるなどの幸運もあり、大ヒット!

BC戦争でブルーバードがコロナに敗れつつあったのを挽回したい日産も黙っておらずにサニーを改良すれば、トヨタも応じてカローラの改良を進めるといった調子で、この2台の争いが日本車のレベルを急速に高めていったと言っても間違いないでしょう。

ライバルの全てが廃止された2023年現在でもトヨタはカローラの販売を続けており、それどころかほぼビジネス用途で安価な旧型カローラアクシオEXから、超豪華で高性能のGRカローラスポーツまで、幅広いラインナップを誇る、代表的な日本車の1つとなっています。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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