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「ヤバい…」ランボルギーニを日本の軽自動車で再現?ホンダの変態職人車とは

スポーツ走行目的ではない軽ミッドシップ

しかしながら、実はホンダがZのエンジンを縦置きミッドシップに配置したのは、スポーツ性能を高めるためのものではなく、搭載できる4速ATがなく軽自動車にはやや大きいシビック用のトランスミッションを使わざるを得なかったためです。

とはいえ、狭い軽自動車にとってミッドシップは合理的なレイアウトです。エンジンはリアシート下に収められるため室内長を確保できるうえ、理想的なシートポジションにしやすい利点があります。また、フロントタイヤの切れ角を多く確保でき、最小回転半径を小さくできるメリットもあります。

2代目ホンダ Zの車名の由来は『「ゼロ」から発想し、すべてに「究極」をめざしたスモールという意志をこめた』ネーミングとのことです。

Zにはホンダらしいこだわりも

その一方でホンダは、Zの重量分配比率を50:50に調整し、新開発されたリアサスペンションの採用や、64PSを発揮するターボモデルにはヘリカルLSDを搭載するなどホンダらしい走りへのこだわりも伺えます。

また、Zには電動パワーステアリングや前席左右にエアバッグなどの当時の最新装備をいち早く採用されるなど、安全面にも抜かりはありません。特徴的なリアウインドウから「水中メガネ」の愛称で親しまれた、先代にあたる初代ホンダ Zも当時の先進装備を満載した車でした。

ライバル不在の独壇場…しかし売れなかった

これだけ凝った構造の軽自動車は他に見られません。にもかかわらず、ホンダ Zは売れませんでした。当初ホンダが設定した目標販売台数は、多からず少なからずの月間5,000台。しかしフタを開けてみれば、総販売台数は販売終了するまでの4年弱で約4万台と、不人気車と呼ばれるのに十分な数字です。

その理由として挙げられるのは、収納などの車内ユーティリティ不足。凝ったパワートレインによって増えた車重に対するパワー不足。趣味性が高い車にも関わらず4速ATしかなかったバリエーション不足。価格が高かったことに起因するバリュー不足などです。

こだわりすぎた職人車に海外からも注目が

特殊な構造を採用してまで、ホンダの「M・M思想(人のためのスペースは最大に、メカニズムは最小に)」を忠実に守ってつくられたのがホンダ Zです。しかしこだわってつくりすぎたがために、ユーザーの需要を読み間違えてしまった点がZの失敗の要因のひとつといえるでしょう。

しかし中身を知っている人から見れば、ホンダ Zは今でも街中で見かければ特別な雰囲気が感じられる不朽の名車。ホンダ Zの存在を知った海外の車好きの間では、ランボルギーニ ディアブロに引っ掛けて「悪魔のZ」と呼ばれているとか、いないとか。不人気車とはいえ、良い点も悪い点も含めてホンダらしいと思える車がホンダ Zです。

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執筆者プロフィール
伊藤友春
伊藤友春
1981年生まれ。自動車専門Webライターとして執筆活動中。自動車の構造に明るく、ほとんどの整備や修理をDIYでこなす。輸入車・コンパクトカー・変わったデザインやコンセプトの車が好きで、現在の愛車はその最た...

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