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「国産車で、これ以上カワイイ車はあるのだろうか…」初代ホンダ トゥデイ【推し車】

カワイくてナデナデしたい国産車のホンダ代表

無地バンパーですら絶妙な2トーンカラーと思える巧妙なデザイン

半ばフロントバンパーへ埋まる、パチクリとした丸い目、潔く脇に寄せられたナンバープレートや、1本で十分と割り切られたシングルワイパー、それでいてフロントウィンドウの傾斜はフェラーリ308GTBで、四隅にタイヤを置いてフンス!と踏ん張る姿。

果たして国産車で、これ以上カワイイ車はあるだろうか…とナデナデしたくなる、それが初代ホンダ トゥデイです。

意外にも発売から2年3ヶ月ほどのマイナーチェンジでフロントマスクが一変、そのまま1998年まで生産されたので、2代目シティやグランドシビックの軽自動車版のような姿の方が馴染みありそうですが、ホンダコレクションホールに行けばいつでも会えます。

新人の闇プロジェクトによる、ホンダの軽乗用車復活第1号

軽ボンバン全盛期の復活なので、控えめながら「最大積載量200kg」のデカールが

かつて、NコロことN360や初代ライフ、初代Z、ライフステップバン、バモスホンダと、個性的な軽自動車を数多く生み出したホンダですが、排ガス規制や550cc化への対応、車検の義務化や軽自動車免許の廃止など、軽自動車の存在意義は失われていきます。

さらにホンダでは、カリスマ創業者、本田 宗一郎氏のキモ入りだった乗用車ホンダ1300が大失敗に終わり、初代ライフを拡大発展させたパッケージに環境対策エンジンCVCCを積む前提の小型車、初代シビック(1972年)へ四輪車メーカーとしての社運を賭けました。

幸い、シビックはCVCCを積む以前から、発売と同時に大ヒットしましたが、まだ生産能力が乏しいホンダが捌ききれるか不安になるほどの注文が来ると、ほぼ全ての生産ラインをシビックへと切り替える大博打に出ます。

こうして、根強い需要があるTN系の軽トラを除く軽自動車は全て廃止され、特に軽乗用車からは撤退という形になりました。

その状況はTN後継の初代アクティ登場後も変わりませんでしたが、ある年に入社した新人はどうしても「軽自動車を作りたい…」という、強い願望を抱いていたのです。

新人の作業は工数に入らないという立場を活かし、教育名目でスケッチを書かせてもらい、アクティのエンジンを積んだモックアップも作り…という作業は全て非公式、つまり闇プロジェクトとして密かに進行。

完成したモックアップを元に設計部署や工場への根回しを行い、いきなり当時の社長へ「どうですか!これ作っていいですか?!」とプレゼンし、なんとOKをもらいました。

へ〜自動車ってそんな風に開発してもいいんだ?と思うかもしれませんが、当時まだ中小メーカーの1つに過ぎなかったホンダだからこそ、許されたような話。

軽3輪トラックの名車として知られるマツダ K360も似たような経緯で開発されましたが、クチうるさくアタマがカタイ人のいない方が、時にはよいクルマが生まれるようです。

市場の要請から偶然生まれた、丸いパチクリお目々

EV時代に入って今より多様なデザインが可能になれば、ぜひともこのままで復活してほしい

このモックアップが初代「トゥデイ」として1985年に発売されるわけですが、初期型の特徴的なフロントマスクは、モックアップ段階だとむしろ1987年のマイナーチェンジで変更された顔に近いものでした。

ただし横長の角型ヘッドランプではなく、変形丸目ヘッドライトだったといいますから、イメージとしてはダイハツの初代オプティ(1992年)に近かったのかもしれません。

それでは購入後に交換が必要になったら高価になってしまうため、お客様が困るだろうと単純な丸目ヘッドライトになりますが、アクティ用直列2気筒エンジンを水平近くまで倒して実現した、低く傾斜したボンネット先端とフロントバンパーの間には収まりません。

そこでフロントバンパーをえぐり、イギリスで販売する計画もあったので現地の保安基準に合わせた高さで抑え、ボンネットもえぐってどうにか押し込むと、あの独特な「ボンネットとバンパーをえぐった奥でパチリとした丸目」というフロントマスクが生まれました。

後のマイナーチェンジでシビックなど他のホンダ車と共通イメージの角目ヘッドライトへ変更されましたが、女子ウケがよく、さらにマイナーチェンジ後も2代目トゥデイ(1993年)が失敗作になったこともあって、1998年まで長く売れるロングセラーとなります。

「逮捕しちゃうぞ」「機動警察パトレイバー」など人気マンガ/アニメでも劇中を飾るミニパトとして登場機会が多く、舞台を彩る小道具としても最高のクルマ。

現在はエンジンのロングストローク化による全高拡大と、衝突時歩行者保護のため高くならざるをえないボンネット、さらにトールワゴン全盛期でルーフが低いクルマを作りにくいためレトロ版リメイクは難しいですが、EV時代にはぜひとも復活してほしい1台です。

※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。

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執筆者プロフィール
兵藤 忠彦
兵藤 忠彦
1974年栃木県出身、走り屋上がりで全日本ジムカーナにもスポット参戦(5位入賞が最高)。自動車人では珍しいダイハツ派で、リーザTR-ZZやストーリアX4を経て現愛車は1989年式リーザ ケンドーンS。2015年よりライタ...

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