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モータージャーナリストがオススメする、中古のアウディのSUV3選
スタイルで選ぶ アウディの中古SUV
ジャーマンプレミアムのなかでも、以前からジェンダーニュートラルなデザインで、老若男女幅広い支持を集めるアウディ。それだけに、強面なマスクやボールドな雰囲気が好まれるSUV界にあって、独特のポジションを勝ち得ている。
アウディSUVシリーズの車名はQという頭文字をもち、Q2から4と6を除いてQ8まで数字が大きくなるに従って車格も上がる。元来、4WDに強いブランド(クワトロ)。小気味のいい動きが信条で、運転のしやすさという点でもオススメのSUVを多数輩出してきた。
西川 淳
精密機械工学部出身。産業から経済、歴史、文化、工学まで俯瞰して自動車を眺めること を理想とする。高額車、スポーツカー、輸入車、クラシックカーといった趣味の領域が得意。中古車事情にも通じる。
使いやすいサイズ感の定番モデルをチェック!
アウディ Q3
中古車の流通台数からみた定番商品は、アウディの場合、Q5である。けれどもこれには歴史の長さも多少影響しているかもしれない。最初に登場したアウディのSUVはQ7で、その後にQ5が登場し、そして「Q3」が出た。つまり大きなモデルから順に世に出した。
流通量のみならず、車格的にも真ん中のQ5は確かに“定番”として認められる存在だと思うけれど、個人的にはよりアウディらしい走りを楽しむことができるQ3をあえて定番SUVとして推してみたい。
2018年に2代目へとモデルチェンジ。日本市場へは2020年から導入された。顔つきが上級モデルのQ8似となって、先代より少し迫力が出ている。ガソリンエンジン(35TFSI)のFFとディーゼルエンジン(35TDI)のクワトロ4WDを用意し、ボディタイプとしてはスタンダードと、クーペチックなスポーツバックが設定された。
日本に上陸してまだ日が浅いということもあってか、中古車相場は高値で安定している。当然のことながらディーゼルの4WDグレード、「35TDI」が最も高いけれど、その分、リセールも高い。実質的には同じようなものだから、そこはライフスタイルに併せて選んで欲しい。
とはいえオススメはガソリンエンジンの「35TFSI」だ。使いやすいサイズ感と軽やかなステアリングフィール、FFながらも安定した走りで、実用性はとても高い。予算に余裕があるのであれば「35TDI」もお勧めしたいが、相場的にQ5と被ってくるから悩ましい。
いっそ走行距離の少ない2018年ごろの旧型を300万円くらいで探してくるというのもアリだろう。「Q3」の良さはとにかくそのボディサイズにあって、使いやすい大きさでありながらSUVらしいボリューム感という点が嬉しい。それは旧型でも同じなのだから。
実用性の高いハイパフォーマンスSUV
アウディ SQ5
アウディの基本ラインナップを理解する上で大事な法則がある。それはスタンダードよりもS、SよりもRSが高性能で高価であるというグレード構成だ。
最高性能のRSシリーズは、その昔のクワトロ社、現アウディスポーツ社によってパワートレーンやシャシー&サスペンションが徹底的にモディファイされたスパルタンモデルで、SUVのQシリーズにも設定されており、今のところ最上級モデルのQ8とベーシックモデルのQ3にのみ存在する。その名もRS Q8とRS Q3だ。
前者はポルシェ カイエンやベントレー ベンテイガ、ランボルギーニ ウルスとの共通点も多いから、その高いパフォーマンスも容易に想像がつくだろう。後者は手頃なサイズに400psの直5ターボエンジンをぶち込んだといえば、これまた容易にその過激さを理解することができる。
とはいえ中古車相場で2千万円超えの前者はもちろん、後者であっても8百万円超とかなり高価で、リセールバリューも弱含みであることを考えると迂闊にはオススメできない。
そこで急浮上するのがRSではなくSの「Q5」だ。「Q5」はそもそもアウディのSUVラインナップの中核を占める、言ってみれば大黒柱。RSほど過激ではないけれど、実用性の高さと価格設定の妙とを兼ね備えたハイパフォーマンスSUVとして、「SQ5」は魅力的な存在だ。
3リッターV6ターボは354ps&500Nmを発揮。ミッドサイズのSUV には十分すぎるパフォーマンスである。それでいて3年落ち距離2万km台という良質な個体を500万円台で見つけることができる。何から何までスパルタンな乗り味のRSよりもむしろ、常用域においてライドフィールに優れたSを積極的に選ぶという手も大いにありだ。
それに、何度も言うけれど「Q5」は巷で最もよく見かけるアウディSUVである。その上級モデルに乗っているという優越感もまた捨て難いことだろう。
気軽に乗れるおしゃれなモデルにも注目!
アウディ Q2
充実したアウディのSUV ラインナップにあって、他とは違うカジュアルで洒落たデザインが特徴のコンパクトモデル、「Q2」。2017年に日本デビューを果たした。
「Q2」の魅力は、なんと言っても兄貴分たちとはテイストの異なるスタイリングにある。SUVらしい重厚感とはまるで無縁である代わりに、クーペ風のルーフラインと特徴的なエンドピラーが独特な存在感を与えている。小さなパーソナル高級車という意味でも貴重な一台だ。
見た目のイメージそのままにQ3よりもややスポーティな味付けのドライブフィールもまたアウディらしい軽快感ある走りをより強調している。
現在では1.5リッターエンジンを積んだ「35TFSI」グレードのみの新車ラインナップとなっているが、以前はより経済的な1リッターエンジンを搭載する「30TFSI」も存在し、それが現在、中古車市場にも多く出回っている。
1リッターエンジンであっても日常使いには全く問題ない。街乗りから高速領域まで十分カバーするから、むしろお買い得だとも言える。なにせ走行距離の少ない個体が300万円以下で簡単に見つかるのだ。
アウディのSUVは、アウディらしさとも言える高級感のあるデザインと、クワトロシステムをはじめとする優れた走行性能が特徴だ。
走りを重視したい人は「S」や「RS」がつくグレードから目を通してみると良いだろう。街乗りをメインに考えている人は、取り回しのしやすい「Q2」や「Q3」あたりのコンパクトなモデルがおすすめだ。お財布とも相談し、じっくり選んでみよう。
- 執筆者プロフィール
- 西川 淳
- 産業から経済、歴史、文化、工学まで俯瞰して自動車を眺めること を理想とする。高額車、スポーツカー、輸入車、クラシックカーといった趣味の領域が得意。中古車事情にも通じる。永遠のスーパーカー少年。自動車...