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【コーティング vs ワックス】美しさと手軽さ、どちらを優先する?効果や価格も比較してみた
ワックスとコーティング、何が違うの?
ワックスとコーティングはどちらも車のボディのケアグッズ。ともに似たような役割を持つため、「違いがわからない」「どっちを使えばいいの?」と迷っている方は多いのではないでしょうか。
塗装面に保護膜をつくり、汚れの原因となる雨やホコリなどからボディを守ることがワックスとコーティングに共通する役割です。塗布した面にツヤと光沢を出せることも両アイテムの共通点といえるでしょう。
以上の点が類似しているワックスとコーティングですが、両者には相違点も多数あります。適切なカーケア用品を選べるように、ワックスとコーティング双方の特徴やメリット・デメリットを知っておきましょう。
ワックスの特徴とメリット・デメリット
ワックスの特徴と種類
ワックス(カーワックス)は1950年代からあるケア用品で、植物性のロウ(蝋)や石油系溶剤などを原材料としています。一般的にカルナバロウ(カルナバヤシのロウ)の配合量が多いほど高級品とされ、特徴の異なる次の3タイプがあります。
- 固形ワックス:ツヤ出しと保護性能に優れるが塗布に手間がかかる
- 半練りワックス:塗りやすく汚れ落としにも使えるが保護性能は固形タイプに劣る
- 液体ワックス:ごく簡単に塗布できるが効果の持続性はほかのタイプに劣る
固形ワックスは最も古くからあるタイプで、次いで半練りワックス、液体ワックスの順に開発されました。ただ、後発品ほど優れているわけではなく、上記のように各タイプには一長一短があります。
ワックスのメリット・デメリット
ワックスのメリット
ワックスのメリットとして次の2点があげられます。
- 低コストで施工できる
- 深みのあるツヤが出る
一般的なワックスの価格は数百〜数千円程度と安価。3千円ほど出せば高品質な製品を購入できます。また、ガソリンスタンドでは手作業でのワックスがけを5千〜7千円程度で依頼できます。こちらはやや値が張りますが、施工の手間を考慮すると割高とはいえません。
ボディに深みのあるツヤが出ることもワックスのメリットです。しっとりした自然なツヤはワックスに特有の魅力。コーティングでもクリアなツヤを出せますが、質感や深みはワックスに一歩劣ります。
ワックスのデメリット
ワックスのデメリットには次の4点があげられます。
- 施工に手間がかかる
- 効果の持続期間が短い
- 長期間放置すると色あせや水垢の原因になる
- 窓ガラスに付着すると油膜になる
ワックスがけには塗布、乾燥、拭き取りの3工程が必要で、施工はボディのパネルごとに分けて行うことが一般的です(一部の液体ワックスを除く)。このように施工に手間を要するにもかかわらず、ワックスの効果は1〜2ヶ月程度しか持続しません。
また、ワックスに含まれる油分はボディの褪色や水垢、ウィンドウの油膜の原因となります。このため、ワックスは定期的な除去と塗り直しが必要ですし、雨で流れてウィンドウに付着しないか気にしなければなりません。
コーティングの特徴とメリット・デメリット
コーティングの特徴と種類
コーティングは1970年代に登場したカーケア技術で、効果の持続性の高さを大きな特徴としています。塗面に付着するだけのワックスと異なり、コーティングは塗装膜の細かな凹凸を埋めて密着するため容易には剥がれ落ちません。
ワックスより耐久性が高く便利なカーケアとして、コーティングは70年代に大流行しました。現在では進化と多様化が進み、次の3タイプが普及しています。
- ポリマーコーティング:高分子化合物(シリコーンやフッ素など)を主成分とするコーティング
- ガラス系コーティング:ポリマーとガラス繊維を組み合わせた有機質コーティング
- ガラスコーティング:ガラス成分100%の被膜を形成する無機質コーティング
3タイプの中ではガラスコーティングが最も耐久性に優れています。また、3タイプのいずれにも市販品があり、DIYでの施工が可能となっています。
コーティングのメリット・デメリット
コーティングのメリット
コーティングのメリットには次の3点があげられます。
- 効果が長期間持続する
- 簡単に施工できる
- 塗装面が強固な被膜で守られる
ポリマー系コーティングは施工から3〜6ヶ月、ガラス系は6ヶ月〜1年、ガラスコーティングは3〜5年ほど効果が持続します。これはあくまで一般的にいわれる持続期間ですが、3タイプのいずれもワックスよりは耐久性が高いと考えてよいでしょう。
施工が簡単なこともコーティングのメリットです。一部の市販コーティング剤はスプレーしてすぐに拭き取るだけで施工が完了しますし、水に濡れたボディに塗布できる製品もあります。
塗装面が硬い膜で覆われることもコーティングの利点。ガラスコーティングは特に被膜の硬度が高く、JIS規格の鉛筆硬度「9H」に相当する製品もあります。このように硬い保護膜はワックスでは作れません。
コーティングのデメリット
コーティングのデメリットとして次の2点があげられます。
- 施工料金が高額(特にガラスコーティング)
- 保護膜のツヤが人工的
コーティングの中でも、専門業者に依頼するガラスコーティングは施工料金が7万〜10万円以上と高額です。また、ガラスコーティングは年に1回程度のメンテナンスが必要で、専門業者に依頼すると1万〜5万円以上の料金がかかります。
保護膜のツヤが人工的で、ワックスとくらべて深みにかけることもコーティングのデメリットです。ただ、コーティング独自のクリアな光沢を好む人もいるため、この点は一概に短所とはいえません。
なお、市販のコーティング剤の価格は、施工が簡単なガラス系のもので2千〜3千円程度です。こうした安価な製品には、ワックスと比較してのデメリットはほぼないと思ってよいでしょう。
- 執筆者プロフィール
- 加藤 貴之
- 1977年生まれのフリーライター。10年以上務めた運送業からライターに転向。以後8年以上にわたり、自動車関連記事やIT記事などの執筆を手がける。20代でスポーツカーに夢中になり、近年は最新のハイブリッド車に興...