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スタッドレスタイヤが無い時代、車の冬支度って何してた? 普及するまでの紆余曲折
歴史は古いが普及には時間がかかった、その理由とは
そんな環境問題を引き起こさないためにも、スタッドレスタイヤの開発が進められ、現代では安全に雪道を走行することができるようになりました。
スタッドレスタイヤの歴史は1933年に遡ります。大手タイヤメーカーのミシュランが深雪でも走れるよう、雪を排出しやすいラグ形状のトレッドデザインを採用した『MICHELIN Neige』というタイヤを製造しました。
「Neige」とはフランス語で「雪」を指し、まさに雪道でも走行が可能であることを示しているネーミングです。
現代のスタッドレスタイヤの特徴のひとつでもある、一つ一つのブロックが取り付けられたようなデザインをしていました。
このようにして現代のスタッドレスタイヤへとつながる最初のタイヤと、その技術が誕生したわけですが、こういった製品がスタッドレスタイヤとして本格的に取り扱われるようになったのは、1980年代のことです。
現代で認識されているスタッドレスタイヤとして1982年に登場したのが、ミシュランが製造した『MICHELIN XM+S100』でした。
これは、現代のスタッドレスタイヤでも見られる、雪を吐き出すためのブロック形状のトレッドパターンをしています。
当時はまだ他のタイヤメーカーも、このようなスタッドレスタイヤを製造していなかったことから、ミシュランは業界のパイオニアとして、約40年前から現在のスタッドレスタイヤに繋がるタイヤを製造したのです。
しかし、そんな優れたスタッドレスタイヤですが、現代ほど装着の義務化などが強く進められていなかったこともあり、普及が難しかったとも言われています。
国産タイヤメーカーの関係者は、スタッドレスタイヤの普及について、次のように語っています。
「国内では1990年頃にスパイクタイヤの装着が禁止されました。これにより、スタッドレスタイヤの製造と販売が促進されていきました。
当時はノーマルタイヤにチェーンを履かせて走行することも多かったため、雪道を走行するための追加費用が多くかからないという特徴がありました。
その一方で、スタッドレスタイヤは開発コストが高かったことから、ノーマルタイヤと比較しても高額で、かつ冬場の中でも雪道以外を走行することで、ダメージを負ってしまうという特性から、すぐに世の中に普及するのは難しかったといえます」
このように、製品としては理にかなっていたものの、当時のユーザーから見ると費用がかかることから、不必要と捉えられるケースもあったようです。
現在のスタッドレスタイヤの進化
現代ではスタッドレスタイヤも進化を遂げ、さまざまな性能や価格で展開されています。
スタッドレスタイヤは雪道や凍結した路面において「通常通り」走ることのできるタイヤで、走る・曲がる・止まるといったクルマの基本要素が保たれる構造になっています。
価格帯は性能により別れており、低価格で購入できる海外メーカーの場合は4本セットで1万5千円程度から購入できます。価格と品質のバランスの良さで選ぶと4本で2万5千円〜3万円、国産ブランドは4本セット4万5千円ぐらいが目安となっています。
使用時期(タイヤ交換)は、気象庁が発表している雪や結氷の最終日を参考にすることや、最低気温を目安にしたりすると判断しやすくなります。
また、最低気温が3℃になると路面凍結が起こると言われているため、月の最低気温が5〜7℃程度になったらノーマルタイヤへ交換することが推奨されています。
また、「オールシーズンタイヤ」と呼ばれる冬でも夏でも一年中履き続けられるタイヤも存在します。ただ雪道、凍結した路面においては、スタッドレスタイヤの性能に劣ることがあります。
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- 執筆者プロフィール
- Schnux
- 1999年生まれ。学生時代から編集部でアルバイトをして、今は一流ライターとして特訓中です。愛車はフォルクスワーゲン・アップ!車は主にサウナに行くために使っていますが、犬を飼い始めたので買い替えるか迷い...