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「えっ…補償額が半分以下?」希少中古車の事故を巡る保険トラブル続出…対策は?

売値1,000万円でも補償されるのはたったの……

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保険会社が示すこの車両保険金額は、一般的なそのクルマの残存価値を示したものにすぎません。

ですから、R32型スカイラインGT-Rの場合、売価の1,000万円が車両保険金額として設定されることは無いでしょう。売買契約書などを証拠にしても、高くて売価の半分程度になることがほとんどです。

つまり、市場価格1,000万円で買った希少なスカイラインが、納車翌日に不慮の事故で全損となった場合には、この例で行くと500万円までしか車両保険が下りないということになります。

このような希少な中古車と車両保険で発生する補償金額の大きな差が、昨今トラブルになることが少なくありません。 なぜなら、相手がいるもらい事故などでも、十分な補償が下りないケースが数多く出てきているからです。

もらい事故で全損すると悲惨な結果になることも

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もらい事故(責任割合が相手に100%)の場合には、事故の加害者に対して修理・復旧費用を請求するわけですが、ほとんどの場合、相手方が加入している自動車保険の対物補償を使って補填されます。

この対物補償もまた厄介で、補償金額の計算は時価額となるのです。

「時価額とは当該自動車の取引額(小売金額)に当たる」という最高裁判例があります。つまり、同一の車種や年式、グレード、同程度の使用状況や走行距離のクルマを、中古車として購入する時にかかる費用が、車の時価額というわけです。

これを算出するために用いられるのが「オートガイド自動車価格月報(通称レッドブック)」と言われるものです。対物補償で保険金が下りる場合、車両保険のように事前に取り決めた金額がありませんので、レッドブックに掲載されている小売価格を参考にし、事故被害を受けた車の価値を決め、補償します。

ですので、1,000万円で購入したプレミアム中古車が納車翌日に全損のもらい事故をくらってしまっても、相手の保険会社から補填されるのは、車両保険と同等の500万円程度が上限になるでしょう。事故をもらった側としては、これが十分な補償とは受け止めきれません。

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こういった現状に対して、製造年から25年以上を経過したクルマに対して、プレミアム価格を考慮した車両保険を設定できる「クラシックカー専用保険」というものも登場しています。しかし、加入条件に合致しないプレミアム価格中古車も多くあるため、本質的な解決方法とはなっていません。

ですので、希少中古車がもらい事故の被害に遭ったケースでは、加害者側を相手取り、訴訟を起こす人も多いようです。

こうした希少中古車に乗る場合は、車両保険の金額はもちろんですが、任意保険で弁護士特約に加入しておくことも必須と言えるでしょう。

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本質的な解決方法としては、保険会社が売価=保険補償額とすることが素直な落としどころですが、高くなった補償金額を回収するために保険料は高くなってしまうでしょう。

プレミアム価格を保証することにより、希少中古車オーナー以外の保険料負担も大きくなることが予想され、その負担を一般ユーザーが行うべきなのかということも、議論になるはずです。

今できることは、車両保険金額を出来るだけ高く設定しておくこと、そして弁護士特約を設定するという、場当たり的な方法しかありません。増えていく希少中古車の存在に対して、保険がどのように機能するのか、今後、大きな対応が必要になってくることでしょう。

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執筆者プロフィール
Red29
Red29
1980年代生まれ。国産ディーラーでの営業職として働き、自動車関連の執筆者として独立。ユーザー目線に立った執筆を心掛けています。愛車はトヨタプリウス。ホットハッチに代表される、小規模小パワーのクルマが...

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