更新
自動ブレーキは誤作動しないの?誤作動の割合と事故率まとめ
街や郊外を走るクルマに、『自動ブレーキ』の搭載が普及しています。国土交通省によれば、2016年の時点で、日本で生産された新車の66.2%に『衝突被害軽減ブレーキ』が装備されているといわれているのです。
「高齢者や子どもの交通事故被害を軽減する」目的で、自動ブレーキの普及が進んでいます。しかし、あなたは自動ブレーキが誤作動をするのではないかと不安に感じていませんか?
今回は、自動ブレーキの誤作動について事例を交えながら紹介します。事故率や事故の責任は誰が負うのか、誤作動による事故を防ぐには何が必要かを詳しく紹介します。このページを通じて自動ブレーキの理解を深めましょう!
自動ブレーキ誤作動の割合と事故率
国土交通省が発表している「衝突被害軽減ブレーキ不具合」のデータを参照し、自動ブレーキ誤作動の割合と事故率を紹介します。
■【補足】『衝突被害軽減ブレーキ』不具合の割合
不具合の項目 | 件数 | 割合 |
「勝手に作動」 | 249件 | 73% |
「作動しない」 | 88件 | 26% |
「その他」 | 3件 | 1% |
合計 | 340件 | 100% |
■【補足】『衝突被害軽減ブレーキ』が係る交通事故件数と事故率
82件(全体の340件のうち「24%」)
(参照元1)国土交通省公式動画『衝突被害軽減ブレーキは万能ではありません!』
(参照元2)国土交通省公式サイト『衝突被害軽減ブレーキは万能ではありません!』
実に、自動ブレーキ不具合のうち、4件に1件が交通事故に結びついています。自動ブレーキは万能ではなく、すべての事故を回避する、軽減できるとは限らないのです。
自動ブレーキの事故について
自動ブレーキの事故について、ケースを交えながら詳しく紹介します。考えられるケースは以下の2点です。
- システム自体は正常に動いているが外部要因によって作動しないケース
- システム自体に不具合があるケース
システム自体は正常に動いているが外部要因によって作動しないケース
システム自体が動いていても、外部要因によって作動しないケースが存在します。
「スピード」「周辺環境」「路面状況」の要素が、事故の発生に絡んでいるのです。
■スピード
スピードによっては、障害物を検知できずに交通事故を起こす危険があります。
自動ブレーキが作動する規定の速度を下回って走行していたとしましょう。センサーが検知して、自動ブレーキが作動し衝突を回避します。しかし、規定の速度を上回って走行していた場合、自動ブレーキが作動せずに障害物に衝突する危険があります。よって、どのようなスピードで走っていたとしても、完全に障害物の前でクルマを停止できる保証はないのです。
■周辺環境
周囲の状況によって、障害物を検知できずに交通事故を起こす危険があります。
最たる例は、「日中」「夜間」の違いです。日中ではセンサーが障害物を検知し、自動ブレーキの作動で衝突を回避。しかし、夜間ではセンサーが障害物を検知できずに衝突する危険があります。
同様に、早朝・夕方の太陽が逆光となる場合や、雨の中で走行している場合でも、センサーが検知できずに自動ブレーキが作動しない場合があります。
■路面状況
スピードによっては、障害物を検知できずに交通事故を起こす危険があります。
道路に積もった雪や、急な下り坂では、自動ブレーキが作動しても対応し切れずに障害物に衝突する場合があるのです。
(参照元)国土交通省公式動画『衝突被害軽減ブレーキは万能ではありません!』
システム自体に不具合があるケース
自動ブレーキのシステム自体に不具合があるケースが存在します。
最たる例が、2018年3月18日、アメリカ・アリゾナ州で発生した事故です。ウーバー・テクノロジーズの自動運転車が道路を横断した歩行者を跳ね飛ばし、死亡させた事故が話題となりました。
米運輸安全委員会(NSTB)の調査によれば、以下の状況が判明しています。
- 衝突時に自動ブレーキが作動する設定になっていなかった
- ドライバーに警報を出す仕組みにタイムロスがあった
- 「横断歩道以外で道路を横切った歩行者」=「障害物」とは検知できなかった
車両に搭載されていた自動運転システムが歩行者をとらえたのは事故直前の5.6秒前でした。
しかし、システムは横断歩道を横切った歩行者を「障害物」と検知する設計になっていなかった点が取り上げられています。加えて、危険を察知してからドライバーに警報がなされるまでに遅れが生じた点が指摘されているようです。
よって、システム自体の不具合や設計上で問題があり、自動ブレーキが作動しないケースが存在します。
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...