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「目が見えない人が安全に横断歩道を渡るために」あなたが知らない“エスコートゾーン”、ドライバーがすべきサポートとは
エスコートゾーンの構造と安全性
エスコートゾーンの構造
平成31年3月に警察庁が通達した「エスコートゾーンの設置に関する指針(以下、設置指針)」によると、エスコートゾーンの構造は次のように規定されています。
- 基底面(下地)と突起体(点字材)により構成すること
- 突起体には摩耗に強い材を使用すること
- 色を横断歩道に合わせること
- 滑りにくさを設置路面と同程度にすること
上記のほか、設置指針ではエスコートゾーンの細かな寸法や点状突起の配列などが定められています。
エスコートゾーンは安全に通行できる?
設置指針に規定されている“滑りにくさ”は、歩行者はもとより自動車にも影響を与える要素です。エスコートゾーンの上でタイヤが滑っては危険ですから。
もっとも、設置路面(アスファルト)と同程度の滑りにくさであれば、エスコートゾーンは安全に通行できる路面と考えてよいでしょう。少し気になるのは、雨で濡れたときのコンディションです。
SNSでは「エスコートゾーンは雨の日に少し滑りやすい」との声が見られます。また、「そもそも横断歩道の白線が滑りやすい」との意見も。
実際のところはどうなのか、筆者の地元の道路工事会社に問い合わせてみました。ご回答は次のとおりです。
道路工事会社のご回答
「弊社のエスコートゾーン施工では、横断歩道のラインよりも滑りにくい表面になるよう配慮しています。具体的には、スリップ防止の透明骨材を点字シート表面に固着させています。」
実際にエスコートゾーンを歩いてみた
上記のご回答から、エスコートゾーンは安全性の高い設計になっていると考えられます。雨の日の滑りにくさについても「少なくとも横断歩道の白線よりはマシ」と思ってよいのではないでしょうか。
ちなみに、筆者が実際にエスコートゾーンを歩いてみたところ、踏んだ感触は歩道の黄色い点字ブロックより柔らかく、たしかに滑りにくいように感じました。
ただ、これはあくまで筆者の住む地域での話です。工事業者ごとの施工方法の違いから、エスコートゾーンの安全性には多少の地域差があるかもしれません。
ドライバーが心がけたいこと
エスコートゾーンの感触はアスファルトとは明らかに異なります。仮に筆者が目をつぶって渡ったとしても、足裏の感覚をたよりに反対側までたどり着けたでしょう。
ただ、エスコートゾーンがいかに認識しやすくても、その途上に障害物があれば安全に通行できなくなってしまいます。たとえば、渋滞でエスコートゾーンの上に車が止まると、視覚障害者は横断のための道標を失うことになります。
こうした不具合を少しでもなくすには、ドライバーの協力が必要です。最寄りのエスコートゾーンの場所を覚えておくだけでも、渋滞時の停車位置に気を配れるようになるでしょう。
いかに優れた設備があっても、それだけでは理想的な交通社会は実現しません。さまざまな境遇の方が路上にいることを意識し、互いに配慮して通行する。こうした心がけが重なって、よりよい交通社会が育つのではないでしょうか。
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- 執筆者プロフィール
- 加藤 貴之
- 1977年生まれのフリーライター。10年以上務めた運送業からライターに転向。以後8年以上にわたり、自動車関連記事やIT記事などの執筆を手がける。20代でスポーツカーに夢中になり、近年は最新のハイブリッド車に興...