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ビッグモーター、保険金の不正“水増し請求”認める…再発防止策に「従業員教育の強化」など
中古車大手ビッグモーターが「自動車保険金請求において不適切な行為があった」と認める
中古車販売の大手「ビッグモーター」は、2023年7月5日付けで公式Webサイトにて「特別調査委員会の調査報告書受領に関するお知らせ」の題名で報告を公開しました。
この報告の中でビッグモーターは自動車保険金請求において不適切な行為があったことを認め、特別調査委員会から以下の再発防止策の提言を受けたとしています。
・鈑金部門における適切な営業目標の設定
・リスクマネジメントを実効的に行うための内部統制体制の整備
・懲戒処分の運用の適正化等
・現場の声を拾い上げるための努力
・従業員教育の強化
ビッグモーターはこの事態を重く受け止めているとし、外部専門家の助言を得ながら再発防止に取り組み企業体質の改善に努めると報告に記載したほか、過去の鈑金塗装作業については引き続き検証を行い、不適切な請求事案を確認した案件においては真摯に対応すると述べられています。
ビッグモーターのこうした不正行為は過去にも度々報道されており、2022年8月29日の東洋経済の報道によれば、「上長の指示で過剰な自動車の修理をし、その費用を保険会社に請求している」という旨の内部通報をきっかけに、2021年秋に水増し請求の疑いが浮上。
取引のある保険会社3社(損害保険ジャパン、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険)が、各社それぞれで修理費の請求書数百件から抽出したサンプル調査を2022年2月以降に実施したところ、全国33のうち25の工場で、80件を超える水増し請求の疑いがある案件が見つかったとし、水増し請求の中には、修理の必要がない車のパネル部分に「板金塗装を施した」とするものや、中古の部品を「新品」と称して付け替えたといった、悪質なケースもあったといいます。
これを受け、損害保険ジャパン(損保ジャパン)、東京海上日動火災保険、三井住友海上火災保険の3社がビッグモーターに対し、水増し請求の疑いがある関東地域の4工場についてさらに詳しい自主調査を要請した結果、4工場すべてで水増し請求があったことがわかりましたが、同社は「工場と見積作成部署との連携不足や、作業員のミスなどによるもの」「意図的なものでないことを確認している」と兼重宏行社長の指示や組織的な関与はないと主張。
さらに東洋経済によると、調査を要請した保険会社のうち損害保険ジャパン(損保ジャパン)は「組織的な不正の指示がなかったと確認できた」と追加調査を行っていなかったとし、またビッグモーター側は2022年7月以降に「東京海上と三井住友海上の自賠責保険を扱わない」という通知を社内に行ったと報じられています。
また、ビッグモーターでは2016年12月から翌2017年2月にかけても、産経新聞により不祥事が報道されていて、ビッグモーターの各店舗店長には月間の自動車保険件数に関する目標額が定められ、目標を下回った店長は、目標を上回った店長に対して現金を罰金として支払う慣行があったとしていました。
ビッグモーター側はこれを事実と認めながらも、会社からは一切強制しておらず、不満がある店長がいるなら現金授受をやめるよう指示したと説明し、あくまでも店長が自主的に行っていることを強調。しかし、兼重社長の名前で送られた『保険選手権大会に関して』という件名の社内メールで、罰金の金額を社長自らが設定していたことを示す内容があったと報じられています。
「意図的ではない、社長の指示もない」と主張
「客のタイヤをパンクさせる方法」をレクチャー、交換費用や保険金で利益
不正車検は依頼者にも罰則・処分がある?
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...