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私たちの車を作るレースとは?あまり知られていない24時間レースのあれこれ

24時間レースとは、その名の通り24時間を走行し、最初にコントロールラインを通過したチーム、あるいはもっとも周回を重ねたチームが優勝となる、車にとっても人にとっても非常に過酷なレースです。

日本では馴染みが薄いため、24時間レースがどのように行われているか知らない方も多いのではないでしょうか。

「ドライバーが徹夜して走るの?」「トイレはどうしているの?」「日本で24時間レースは開催しているの?」「そもそも、なぜ24時間も走る必要があるの?」など、疑問は尽きません。24時間レースとは、一体どのようなレースなのでしょうか。

24時間レースの意義とは?

©Dan74/stock.adobe.com

フランスの「ル・マン24時間レース」は、1923年から行われているもっとも歴史が長い24時間レースです。ベルギーの「スパ・フランコルシャン」、アメリカフロリダの「デイトナ」と並び、これらは世界三大24時間レースと呼ばれています。

また1970年から始まったドイツの「ニュルブルクリンク24時間」も、一周20.8kmにもおよぶ長いコースと荒れた路面により世界一過酷な耐久レースとして有名です。日本でも、2018年からスーパー耐久シリーズ戦に富士スピードウェイでの24時間レースが組み込まれ毎年開催されています。

2時間でおおよそ300kmを走るF-1はスプリントレースと呼ばれ、陸上競技で言えば短距離走にあたります。それに対し、一昼夜を走る24時間レースは、肉体と精神の限界に挑む駅伝やウルトラマラソンに近い競技といえるでしょう。

ル・マン24時間レースでの走行距離は5,000km以上。平均速度は250km/hにもおよび、24時間で30回以上の給油と、10回以上のタイヤ交換が行われ、シフト回数は2万回以上にものぼります。車が故障すれば修理して走り、ときにはピットのなかでエンジン交換まで行なわれます。

そのため、24時間レースは車が速いだけでは勝てません。車の耐久性はもちろん、燃費性能までを含めた総合性能を問われるのです。

車の新技術や信頼性は24時間レースがつくった

そのように過酷な24時間レースを行なう意義とは、一体何でしょうか?

実は、今やほとんどの車に搭載されているディスクブレーキやダイレクトイグニッションシステムはル・マン24時間レースでテストされ、その信頼性が確かめられてから実用化されたものです。

同じく、悪天候時でも見やすい淡黄色のフォグランプは、フランスのシビエがル・マンのために開発したものです。

夜間も走行する24時間レースでは、ヘッドライトの性能もタイムに大きく影響します。高輝度キセノンランプを使ったHIDヘッドライトや、幻惑せずに良好な視界を確保するマトリックスLEDヘッドライト、遠方まで照らせるレーザーハイビームもル・マンで試されてから実用化されました。

また、24時間をレーシングスピードで走行すると、油圧配管や電気端子、操作スイッチなど、通常のレースや一般道の走行でありえないような場所が破損することも珍しくありません。得られたこれらの耐久限界のデータは、レーシングカーだけでなく市販車にも反映されます。

このように、参戦するメーカーやチューナーは、車の耐久力や新技術を試す場として、こぞって24時間レースに参戦するのです。そして24時間レースでの勝利は、栄光とともに高い技術力と信頼性の証明になります。

24時間レースは人間にとっても過酷なもの

©Bastien Chilloux/stock.adobe.com

24時間レースは、ドライバーが1人で走るわけではありません。レース規定やチームによって異なるものの、1チームあたり2〜5人のドライバーが交代で走るため、出走していないドライバーは食事や睡眠をとることができます。

規定により、1回あたりの出走時間はスプリントレース並の2時間半程度に抑えられるためトイレも問題にはなりません。

また現在では、レーシングカーにもエアコンが装備されるため、脱水症状などの体調不良は起こりにくくなりました。チームによっては食中毒による全ドライバーのリタイアを避けるために、ドライバーの食事の調理を完全に分ける場合もあるといいます。

それでも一昼夜に渡って走り続けることはドライバーにとって過酷です。ドライバーには休憩のための個室が用意されますが、レース中であるため、気が高ぶって休めないことも多いそうです。

24時間レースを走るドライバーに求められる自己管理能力とメンタルは、スプリントレース以上といえるでしょう。

選手やマシンを100人体制のチームが支える

24時間レースの主役は車とドライバーだけではありません。長丁場を戦い抜くには、チームとしての強さがより重要です。

ル・マンでは1チームあたり100名近いスタッフが関わります。監督や補佐役のエンジニア、メカニックやピットクルーはもちろん、マッサージ師や料理人なども加えられ、チームによっては100人を超える場合もあります。

修理が必要になる事態に陥れば、メカニックの作業もタイムアタックのように急がざるをえないうえ、完璧に修理する必要があります。

監督は情報を整理し、長丁場を走り抜くための戦略を練らなければなりません。ペース配分や路面状況に対するタイヤ選択はもちろん、ピットインタイミングの判断など難しい局面での判断も迫られます。

しかし、予定通りに事が進まない点も24時間レースの特徴です。クラッシュや天候悪化によるレース中断も度々起こります。不確定要素が多すぎるためチームスタッフ全員、24時間のうち心が休まるときは一時もないでしょう。

日本で唯一! 富士24時間レース観戦に行こう!

©motofumi/stock.adobe.com

ル・マン24時間レースが開かれるフランスのル・マン市は、平時は歴史情緒溢れる静かな街です。しかし、レース開催期は世界中から観戦客が訪れ、街全体がお祭り騒ぎに色めき、飲食業や宿泊業、交通産業などを中心に地域経済も大きく動きます。

また、ル・マンとニュルブルクリンクで行われる24時間レースでは、観戦客はコース脇の芝生にテントやキャンピングカーを置いて、バーベキューをしたり談笑しながらレースを思い思いに楽しむのが定番の楽しみ方となっています。

近年のキャンプブームも手伝って、富士24時間レースのコースサイドには毎年キャンピングカーやテントが並び、レース期間中の富士スピードウェイはまるで海外のような様相です。キャンプを目的にした観戦客も増えており、2020・2021年のレースでは人気キャンプ漫画『ゆるキャン△』とのコラボ企画も行われました。

富士スピードウェイではキャンプ観戦の整備を積極的に行っており、手ぶらで来場してもキャンプ観戦ができるように、観戦チケットとテント一式がセットになった「キャンプヴィレッジパッケージ」も販売しています。

またレース期間中は、選手やレースクイーンとの交流イベントであるピットウォークや、マシンを観察できるグリッドウォークはもちろん、数々のイベントも併開催されます。レーシングカーのエキゾーストノートが響くなか、夜には花火も打ち上げられます。

24時間レース観戦は、欧米的なスローな時間を楽しめる贅沢なイベントといえるでしょう。2018年に復活した「富士24時間レース」は、世界にも負けない独自のレースに育っています。

観客がいることでレースが開かれ、チームが参戦します。チームはドライバーのために、ドライバーは勝利のために、勝利はメーカーのために、メーカーは自動車技術の進歩のために24時間レースを戦い、そこで得られたデータは私達が乗る市販車にも活かされます。

過酷な24時間レースは、日常からもっともかけ離れてはいますが、同時にもっとも日常に近いレースであるともいえるでしょう。

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執筆者プロフィール
伊藤友春
伊藤友春
1981年生まれ。自動車専門Webライターとして執筆活動中。自動車の構造に明るく、ほとんどの整備や修理をDIYでこなす。輸入車・コンパクトカー・変わったデザインやコンセプトの車が好きで、現在の愛車はその最た...
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