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宮崎駿監督の愛車はシトロエン!独自のセンスで選んだクルマを徹底紹介

天才アニメーターにして映画監督の宮崎駿

「風の谷のナウシカ」「天空の城ラピュタ」「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」など、日本人なら誰でも1度は見たことがあるスタジオジブリのアニメ作品。
これらの作品を監督したのが、希代の天才アニメーターとして知られる宮崎駿氏です。

2001年公開の「千と千尋の神隠し」は、日本のアニメーション作品として初めてベルリン国際映画祭で金熊賞を受賞。
同年の米アカデミー賞では長編アニメーション賞を受賞しました。
また、04年公開の「ハウルの動く城」は、ベネチア国際映画祭のオゼッラ賞、ニューヨーク映画批評家協会最優秀アニメーション賞を受賞し、同年の米アカデミー賞に再びノミネートされています。
宮崎駿氏の作品は日本国内のみならず海外でも高い評価を受けています。

2013年に長編映画製作からの引退を発表

そんな宮崎駿氏でしたが、13年に公開された「風立ちぬ」をもって長編映画制作からの引退を発表。
翌14年の「思い出のマーニー」(宮崎駿氏は直接制作には関わっていません)をもって、スタジオジブリの制作部門が解散したこともあり、宮崎駿氏は創作活動から身を引いたものと思われていました。

ところが、15年にスタジオジブリ・プロデューサーの鈴木敏夫氏が、ジブリ美術館向けの短編アニメ「毛虫のボロ」を制作中であることを表明。
昨年11月13日に放映されたNHKスペシャル「終わらない人 宮崎駿」(今年1月29日に20分の未公開シーンを追加してNHK BS1で再放送)では、その制作の模様が紹介されるとともに長編映画製作への復帰を示唆しました(今年2月24日に正式発表されました)。

宮崎駿氏のおいたち

宮崎駿氏は1941年1月東京生まれ。
同年代のアニメーション作家に「機動戦士ガンダム」の富野由悠季氏、「銀河鉄道999」のりんたろう氏、「ドラえもん」の芝山努氏がいます。

幼少期の宮崎駿氏は身体が弱く運動は苦手でしたが、絵がずば抜けてうまく、熱心な読書家であり、手塚治虫や杉浦茂の漫画をこよなく愛する「漫画少年」だったと聞きます。

宮崎駿氏の父親は一族が経営する「宮崎航空興学」の役員だったこともあり、生家には一般に公開されていない旧軍の戦闘機の資料などがあり、宮崎駿少年はそれらに触れたことで、航空機や軍艦などへの興味を持ち、知識を増やして行ったようです。

大学時代の宮崎駿氏は、「戦争がいかに経済的に不合理であるか」との経済学の講義に感銘を受けて、戦争という行為の愚かさを悟り、それまで収集した軍事関連の書物を泣きながら焼いたというエピソードがあります(しばらく経ってから再び資料集めを開始したそうですが・・・)。

出発点―1979~1996

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東映動画に入社~アニメーターとしての活動を開始~

学生時代の宮崎駿氏は漫画家を志望していましたが、いざ漫画を描くと「手塚治虫に似ている」と他人から指摘を受けます。
母親から「人の真似はするな」と言われ続けてきた宮崎駿氏は大変な屈辱感を覚えたと聞きます。
そのため漫画家への道を断念し、自分の画風を気にする必要がないアニメーターへと進路を変更します。

63年、学習院大学を卒業した宮崎駿氏は東映動画(現・東映アニメーション)に入社。
先輩アニメーター・大塚康生氏の下で動画マンとしてアニメ製作に携わるようになります。

大塚康生氏による当時の宮崎駿氏への評価

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以前、筆者は東映動画時代に直属の上司だった大塚康生氏に当時の宮崎駿氏の印象を聞く機会がありました。
大塚康生氏は当時の宮崎駿氏を次のように述懐します。

「彼は新人のくせに我が強く、とにかく生意気なヤツでした。
ところが、いざ絵を描かせるとずば抜けて上手い。
しかも集中力が高くて、仕事がすごく早いんですね。
ボクは内心彼に負けたと思いましたよ。
でも、ほかの人間にはただの生意気な若造にしか見えない。
だから、ボクは彼が周囲に潰されないように守ってやろうと思いました。
でも、そうしたら“大塚は宮崎をエコ贔屓している”とボクまで嫌われちゃってね(笑)。
一時は大変でしたが、次第に周囲も彼の実力を認めざるを得なくなりました」

60年代の東映作品で頭角を現す

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宮崎駿氏は63年の「わんわん忠臣蔵」で動画を手掛けたのを皮切りに、65年の「ガリバー宇宙旅行」で原画マンに昇格(ラストシーンは宮崎駿氏のアイデアで演出を変更)。
そして、高畑勲氏、森康二氏、大塚康生氏らと共に3年がかりで長編大作「太陽の王子 ホルスの大冒険」を作り上げました。

宮崎駿氏が東映時代に手掛けた作品はほかに、「長靴をはいた猫」「空飛ぶゆうれい船」があります。
宮崎駿氏が担当した戦車や戦闘機による戦闘シーンの作画は、今でも古参のアニメファンの間で語り種になっています。

その間に宮崎駿氏は24歳で朱美婦人と職場結婚。
67年に宮崎吾郎氏(06年に「ゲド戦記」で監督・脚本を務める)、70年に宮崎敬介氏(のちに版画家として活躍)が誕生しました。

Aプロダクションで「ルパン三世」に参加

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71年に東映動画を退社した宮崎駿氏は、新企画「長靴下のピッピ」を制作するために、高畑勲氏、小田部羊一氏とともにAプロダクションに移籍しますが、この企画は原作者の許諾が得られずに頓挫します。

その後、同じくAプロダクションに移籍していた大塚康生氏に乞われるかたちで、視聴率低迷に喘いでいたテレビアニメ「ルパン三世」(1stルパン)のテコ入れのため、演出として中盤から同作に参加しました。

「ルパン三世」の終了後、大塚康生氏、高畑勲氏、小田部羊一氏らとともに子供向け映画「パンダコパンダ」を2本制作します。
この映画は「となりのトトロ」の原型になった作品であり、当時のパンダブームと相まって子供たちの間で人気を博しました。

「ハイジ」から「カリオストロの城」まで

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Aプロダクションを退社した宮崎駿氏は、高畑勲氏、小田部羊一氏とともにズイヨー映像(のちの日本アニメーション)に移籍し、74年に放送されたテレビアニメ「アルプスの少女ハイジ」の制作準備に入ります。
この作品を制作するに当たって、宮崎駿氏ら制作スタッフは、舞台となるスイスで綿密なロケハンを行いました。
宮崎駿氏は同作において全カットの場面設定・画面構成を担当しています。

そして、78年にテレビアニメ「未来少年コナン」の演出(事実上の監督)を担当。
この作品では演出だけでなく、ほぼすべての絵コンテ・レイアウトを担当し、脚本・絵コンテ・レイアウト・原画をほぼひとりでチェックするなど、超人的な働きを見せました。

79年にはテレコム・アニメーションフィルム(トムス・エンタテインメントの子会社)に移籍し、大塚康生氏とともに映画「ルパン三世 カリオストロの城」を制作します。
同作は宮崎駿氏の映画監督デビュー作となりました。

オリジナル映画「風の谷のナウシカ」の製作

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しかし、次回作の日米合作映画「リトル・ニモ」は企画が途中で頓挫。
宮崎駿氏は「風の谷のナウシカ」や「天空の城ラピュタ」などの原型となるオリジナル企画を構想するも実現には至りませんでした。
そんな中、早くから宮崎駿氏の才能に目を付けていた鈴木敏夫氏(当時は編集者として徳間書店に籍を置いていました)は、「風の谷のナウシカ」の映像化を目論み、アニメ専門誌「アニメージュ」編集長・尾形英夫氏を巻き込んで、宮崎駿氏による同誌での漫画連載によって映画化への道筋をつけるという奇策を編み出します。
果たせるかな、「アニメージュ」で連載された漫画「風の谷のナウシカ」は読者の支持を集め、84年についに映画「風の谷のナウシカ」として結実します。

スタジオジブリの設立

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映画「風の谷のナウシカ」という実積を得た宮崎駿氏は、85年に徳間書店の出資を得てスタジオジブリを設立。
86年に「天空の城ラピュタ」、88年に「となりのトトロ」、89年に「魔女の宅急便」を相次いで制作。
新作の公開とともに興行成績は右肩上がりで伸びて行き、ジブリ作品はやがて「国民アニメ」と呼ばれるまでの人気を集めて行きました。

ジブリ映画聖地についての情報はこちら

独特のセンスで選ばれた宮崎駿の愛車

©dieter76/stock.adobe.com

戦車や飛行機などのメカニズムに並々ならぬ興味を持つ宮崎駿氏は、かつては自動車専門誌「NAVI」(二玄社刊・現在は休刊)にたびたび寄稿していたことからも分かる通り、クルマにも関心を持っていいます。

と言っても、その対象は高性能を誇るスーパースポーツや最新型のハイテク車にはないようです。
前述の大塚康生氏は宮崎駿氏の好みについて次のように筆者に語ってくれました。

「宮さん(宮崎駿氏のこと)は、ジャンルを問わずとにかくメカニズムが好きだね。
飛行機でも戦車でも軍艦でもメカは何でも好き。
もちろん、クルマも大好きです。
でも、いささかレトロな趣味だよね。
ピカピカの流線型よりも、ボルトやナットが露出した古臭いメカが好きみたいで、彼の興味の対象は第2次世界大戦以前に作られた古いメカニズムにあるようです」

宮崎駿氏の趣向が分かる1冊の本

宮崎駿の雑想ノート

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そんな宮崎駿氏の趣味を垣間みることができる1冊の本があります。
それは92年に大日本絵画から出版された「宮崎駿の雑想ノート」というイラストエッセイ&漫画集です。
収録された漫画やイラストは模型雑誌「モデルグラフィックス」で不定期連載されたもので、本業の映像作品制作の傍らで宮崎駿氏が半ば趣味で描かれたものです。
内容は軍用機や戦車がメインテーマになっており、クルマはほとんど登場しません。

ですが、大塚康生氏の言葉を裏付けるように登場するメカニズムは、最新とか精錬という言葉とはかけ離れた古色蒼然としたものばかりです。
こんなところからも宮崎駿氏の趣向が伺えます。

そんな宮崎駿氏はクルマ選びにも独特なセンスが発揮されるようで、フランスの個性的な大衆車・シトロエンを乗り継いでいます。

ジブリ映画に登場するクルマの情報はこちら

宮崎駿氏の愛車その1 シトロエン2CV

シトロエン 2CV

宮崎駿氏のお気に入りで、免許取得後に初めて購入し、長年愛用しているクルマがシトロエン2CV(ドゥシュヴォ)です。

48年にシトロエン社が発表した2CVは、農民の移動手段となる廉価なクルマを意図して企画された小型大衆車で、駆動方式に当時としては珍しかったFF方式を採用し、斬新なアイデアを数多く盛り込んだ軽量簡素な構造を持ち、優れた走行性能と居住性、経済性を同時に成立させた歴史に残る傑作車です。

車名の「2CV」とは「2馬力」を意味しますが、これは実際のエンジン出力を意味するのではなく、かつてのフランスの自動車課税基準である「課税出力」のカテゴリー区分を示します。
なお、宮崎駿氏の個人事務所「二馬力」はシトロエン2CVから命名されました。

東映動画時代に最初の2CVを購入

宮崎駿氏がシトロエン2CVを購入したのは、東映動画に在籍していた67年のことです。

当時の日本は「マイカー元年」と言われていましたが、宮崎駿氏はそうした軽薄な風潮を嫌っていたそうです。
ところが、生まれてくる子供の保育園の送り迎えにクルマは必要ということでマイカー族に転向。
ルイ・マル監督のフランス映画「恋人たち」に登場したブリキで作られたような2CVに興味を持ち、クルマ好きだった大塚康生氏に相談し、中古車を探してもらったそうです。

大塚康生氏が探してきた2CVは、もともとプリンス自動車工業の社員が所有していたクルマで、前年の66年に同社が日産自動車と合併することになり、日産の内規で他メーカー車の所有が禁止されたことから、個人間売買で売りに出されていたクルマでした。

大塚康生氏とともに実車を試乗した宮崎駿氏は、簡素で合理的な設計の2CVに「このクルマそのものが文明批判だ!」と感銘を受けたのだとか。
宮崎駿氏は家賃10ヵ月分(具体的な金額は不明)で2CVの購入を即決したそうです。
宮崎駿氏は2CVとの出会いによって「クルマ社会大嫌いのクルマ大好き人間」になったと後年語っています。

同僚から気の毒がられた宮崎駿氏の2CV

当時、東映動画の同僚は国産車のスバル1000やトヨタ・カローラ、プリンス・スカイラインなどに乗っていました。
そんな中で宮崎駿氏と大塚康生氏は、今以上に高嶺の花だった輸入車を愛用していました。
宮崎駿氏のシトロエン2CVは、さぞ同僚から羨ましがられたのではないかと思いましたがさにあらず。
じつは宮崎駿氏の2CVは、54年にタクシー用に輸入された車両が自家用車として払い下げられ、そこから複数のオーナーを渡り歩いたという正真正銘のポンコツ車で、故障も多く、走行中にドアやキャンバストップが空いたり、ガソリンタンクに錆で穴が空いたりするなどのトラブルが多発。
路上で立ち往生することも珍しくなかったようで、むしろ同僚からは気の毒がられていたそうです。
しかし、宮崎駿氏はよほど気にいっていたのか、周囲の評判をよそに2CVに乗り続けました。

なお、宮崎駿氏の2CVは、TVアニメ「ルパン三世」(1stルパン)最終回となる第23話「黄金の大勝負!」にて、宮崎駿氏にそっくりのモブキャラクターとともに登場しているほか、映画「ルパン三世 カリオストロの城」では、ヒロイン・クラリスが物語冒頭でカリオストロ城からの逃亡するのに使用しています。

これらの劇中に登場したシトロエン2CVは、ルパン三世が愛用するフィアット500が大塚康生氏の個人所有車を作画資料に用いているのと同様に、宮崎駿氏の当時の愛車を参考に作画されたそうです。

宮崎駿氏が所有中の2CV

現在、宮崎駿氏が愛用しているシトロエン2CV最終型。写真はツートーンカラーが特徴の上級グレードの「チャールストン」ですが、宮崎駿氏の愛車は普及グレードの「スペシャル」のようです。

宮崎駿氏は途中中断を挟みつつ、現在までに少なくとも5台以上のシトロエン2CVを乗り継いでいます。
最初の2CVは375ccエンジンの初期型でしたが(宮崎駿氏はこの初期型をもっとも気にいっていたそうです)、その後は角目ヘッドランプの後期型を経て、現在は602ccエンジンを搭載した最終型を所有しています。

今年放送されたNHKスペシャル「終わらない人 宮崎駿」のロングバージョンでは、スタジオジブリに隣接する個人アトリエ「豚屋」に埼玉県所沢市の自宅からシトロエン2CVで通勤する様子が収められていました。

設計の古い2CVにはエアコンが装着できないため、夏場はキャンバストップをオープンにし、ルーフ開口部にすだれを掛けている様子が、NHKスペシャルの映像で確認できました。

また、2CVはエアコンやデフロスターを使ってガラスの曇りを取ることができません。
しかも、2CVのサイドウインドウは巻き上げ式ではないため、冬場でも窓を全開にするか完全に締め切るかの二者択一となります。
当然、窓を閉め切った状態ですとガラスが曇ります。

宮崎駿氏は戦車をテーマにした漫画「泥まみれの豚」を執筆する際に、戦車操縦席のスリットからの視界を疑似体験するため、冬場に窓が曇った2CVのフロントウインドウを戦車のスリットと同じ面積だけ雑巾で拭き取り、そこから前方を覗きながら2CVを走らせたたことがあったそうです。
結果は運転にかなり難渋したとか。
結局、その様子を警察官に見咎められ、停車させられて「あんた何やってるの?」と注意を受けたそうです(危険ですのでマネしないで下さい)。

宮崎駿氏が2CVを気に入っている理由は?

宮崎駿氏は85年に発表したイラストエッセイの中で「シトロエン2CVは30年代のフランス機の末裔である」として、戦前のフランス航空機との設計思想の類似性を指摘しています。

とくに2CVのルーフラインは「同時代に設計された大型爆撃機のブロシュMB.200のコクピットに形状がそっくりだ」と独自の主張をしています。
また、宮崎駿氏は「小さなエンジンの安いクルマを作るために2CVは、軽量化を飛行機的発想で行ったのである」とも語っています。
そして、結論として「乗用車の設計思想は同時代の航空機のそれを反映する」とも。

熱心な航空機マニアであり、独自の感性を持つ宮崎駿氏らしい見解です。
おそらく、宮崎駿氏は2CVの持つフランス的な合理主義だけでなく、飛行機を思わせる軽量設計と簡素で効率的なメカニズムを気に入っているのでしょう。

宮崎駿氏がコクピット形状がシトロエン2CVに似ていると指摘したフランスの重爆撃機ブロシュMB.200。
1934年に制式化されましたが、第2次世界大戦の勃発時には旧式化して活躍しませんでした。

シトロエンについて更に詳しく知りたい方は、以下の記事も是非ご覧ください。

シトロエン 2CVに関する情報はこちらの記事

シトロエン2CVが欲しい!という方は、以下の中古車情報も参考になさって下さい。

最新「2CV6」中古車情報
本日の在庫数 16台
平均価格 229万円
支払総額 143~354万円

宮崎駿氏の愛車2 シトロエンGS

シトロエンGS

シトロエン2CVを乗り継いできた宮崎駿氏ですが(一時的に初代パブリカにも乗っていました)、70年代にアニメの仕事が忙しくなった際に、2CVに手が掛けられないとして、一時的にシトロエンGS(おそらく新車で購入したのだと思われます)に乗っていました。

70年に発表されたシトロエンGSは、コンパクトカーの2CVと大型乗用車のDSとの間を埋めるクルマとして開発されました。

GSは駆動方式に2CVと同じFFを採用し、ボディサイズの割に排気量が小さい1〜1.3Lの空冷水平対向4気筒エンジンを搭載。
さらにシトロエン伝統のハイドロニューマチック・サスペンションを採用した意欲作です。

自動車評論家の故・徳大寺有恒氏は、著書「間違いだらけのクルマ選び」の中で、理想主義的な設計で作られたGSを絶賛していますが、同時に「素晴らしいクルマだが小型車として無理がある」とも記しています。

その言葉の通り、当時の日本では複雑な設計が災いしてトラブルが多いクルマとして知られていました。
じつはGSのトラブルはクルマの問題というよりも、フランスに比べて高温多湿な日本の気候、メンテナンス情報の不足、貧弱なディーラーサービスに大きな原因がありましたが、いずれにしても維持が難しいクルマであったことは変わりがありません。

GSは宮崎駿氏の好みに合わなかった?

シトロエンGS

宮崎駿氏は2CVについてはエッセイや漫画などで度々魅力を紹介していますが、大きく立派になったシトロエンGS(それでも現在のクルマに比べれば相当にシンプルです)は好みではなかったのか、このクルマに関しては「3年ほど所有した」と語るに留まります。

ほぼ同時期にGSを所有していた大塚康生氏にクルマの印象を尋ねたところ「故障ばかりでまともに走らなかった」と語っていました。
おそらくは宮崎駿氏のGSも故障がちで稼働率が低かったのではないでしょうか?

結局、宮崎駿氏はシトロエンGSを短期間で手放し、再び2CVに乗り換えています。

ちなみに初期宮崎アニメの常連だった声優の故・永井一郎氏もGSを所有していました。
こちらは当たりの個体だったようで、永井一郎氏は長期に渡って同車を愛用し続けていました(筆者は90年代に都内で永井一郎氏のGSと路上で擦れ違ったことがあります)。

水平対向エンジンについてはこちらをどうぞ

宮崎駿氏の愛車3 トライキング・スリーホイーラー

写真はトライキング・スリーホイーラーの原型となったモーガン・スリーホイーラーです。

トライキング・スリーホイーラーは、94年に宮崎駿氏が新車で入手した3輪のオープンスポーツカーです。

トライキング社は英国のバックヤードビルダーで、前2輪・後1輪(駆動輪は後輪)のモーガン・スリーホイーラーの忠実なレプリカを製造するメーカーです。
エンジンはモトグッチィ製のVツインをフロントに搭載。
組み合わされるトランスミッションはバイク用(バックギアはオプション)か四輪車用の5MTが搭載されます。
02年にトライキング社は活動を休止し、その後は同社の元社員によって細々と生産が続けられているようです。
トライキング・スリーホイーラーはキットカーでの販売が中心でしたが、追加料金を支払うことで完成車として購入することもできました。

宮崎駿氏は注文から1年近く待ってトライキングを手に入れたそうです。
走ること以外の機能がまったく備わっておらず、快適性など絶無なトライキングでしたが、宮崎駿氏はダイレクト感溢れるドライブフィールがいたく気に入ったようで、一時は通勤にも使用していました(宮崎駿氏曰く「飽き飽きしていた通勤路が突然戦場に変わった」とのこと)。
宮崎駿氏はトライキングの運転を「空中戦」に例えており、購入時はその興奮を抑え切れない様子でした。
しかし、バックヤードビルダーが製造した少量生産車だけにトラブルは少なくなく、維持には相当苦労されたようです。

トライキングは近況を聞かないため、宮崎駿氏が現在でも所有しているかは不明です。

トライキング・スリーホイーラーの原型となったモーガン・スリーホイーラーは、中古が出回っているようです。
気になる方は覗いてみてはいかがですか?

引退を撤回した宮崎駿の次回作に期待!

シトロエン2CV

宮崎駿氏の愛車についてのまとめ記事はいかがでしたでしょうか?

宮崎駿氏の愛車について、ここまで細かく解説した記事は、ご本人がイラストエッセイなどで描かれたものを除けば、これまで存在しなかったと思います。

前述の通り、宮崎駿氏は現在フルCGによる長編アニメ制作の準備を進めています。
具体的な作品内容や公開時期などについては公表されていないため、どのような作品になるか、いつ公開されるかはハッキリしていません。
しかし、引退宣言を撤回してまで作ろうとしている新作には、宮崎ファンなら誰しもが期待したいところです。

アニメや漫画関連の情報はこちら

執筆者プロフィール
MOBY編集部
MOBY編集部
新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...

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