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車を盗難されたらどうなる?盗難の手口や対策など解説

車の盗難被害の現状
警察庁が毎年発表している「犯罪統計資料」の数値や一般社団法人日本損害保険協会が公表している「自動車盗難事故実態調査結果」を参考とし、車の盗難被害がどう移り変わっているか解説します。
重要窃盗犯認知件数
2017年から2021年までの合計5年分、犯罪統計資料で公表されている数値をチェックしてみると、自動車の窃盗事件として把握されている「重要窃盗犯認知件数」の項目で次のような数値が明らかとなりました。
- 2017年:10,213件
- 2018年:8,628件
- 2019年:7,143件
- 2020年:5,210件
- 2021年:5,182件
上記の数字で注目したいのは、2017年と2021年それぞれの合計件数です。
2017年の段階では1万件程度の窃盗犯認知件数となっていたのが、2021年の調査では5,000件程度まで減少しています。
2020年ごろから続く新型コロナウイルス(COVID-19)の感染状況も影響を及ぼしていますが、新型コロナウイルス前の2019年でも7,000件程度となっており、人の動向を左右する社会情勢だけが盗難件数の減少に貢献しているわけではないようです。
また、2003年のピーク時には合計で6万4,223件の窃盗犯認知件数を記録していましたが、2021年の数値を見ても10分の1程度まで減少していることも注目すべきポイントです。
“官民合同プロジェクトチーム”の存在が盗難減少に繋げている
10分の1程度まで窃盗犯認知件数が減少しているのには、2001年に「自動車盗難等の防止に関する官民合同プロジェクトチーム」が発足し活動を続けてきたのが挙げられます。
官民合同プロジェクトチームは、警察庁・財務省・経済産業省・国土交通省と4つの省庁に加えて、民間団体とオブザーバーと呼ばれる補助的立場の団体が関わり構成されているのが特徴。
海外からの不法入国および滞在、組織ぐるみで行われている窃盗や不正輸出を防ぐべく、国際組織による犯罪のストップを目論み活動しています。
盗難を防ぐ対策や取り締まり、不正輸出の防止、盗難された車の被害回復など、広報活動、地域の協議会での取り組みも交えつつ進めてきました。
20年以上もの活動継続により、着実に自動車盗難認知件数の現象に結びつけ、愛車を不本意な形で失うのを防ぐのに繋がっているでしょう。
車が盗難されたらどうする?

もし、愛車など乗っている車が盗難被害にあったら、所有者および使用者はどう対処したらよいでしょうか。
車が盗難されたらすぐに取り組むべき2つの手順と、1つの事例をピックアップしてみました。
まずは警察署や交番に届け出る
自宅の駐車場や外出先で車両の盗難に遭ってしまったら、直ちに最寄りの警察署もしくは交番へ連絡したり、直接向かったりするのをおすすめします。警察にて警察官の指示に従い、盗難届を提出する流れです。
盗難届を提出すれば犯人の捜索から逮捕に繋げるきっかけとなるほか、万が一盗難に遭った車が悪用された際、所有者や使用者に容疑がかけられる可能性もあるため、二次被害を避けるのにも役立ちます。
ただし、盗難届を提出する際は、車検証に明記されている情報を記入しなければなりません。あらかじめ、車検証のコピーをとり、自宅で保管するとよいかもしれません。
運輸支局で手続きを行う
警察での対応が終わったら、引き続き運輸支局で車両の登録抹消を行いましょう。登録抹消を済ませないと、万が一盗難に遭った車が見つからなかったとしても自動車税が課せられ続けられるケースがあるからです。
普通車であれば運輸支局、軽自動車であれば「軽自動車検査協会」へ出向き手続きを行います。
登録抹消は2種類に分かれており、「永久抹消」および「一時抹消」のどちらかを選ぶ流れです。盗難された車が見つかっても再び使用しないなら永久抹消、見つかって再び使用するケースでは一時抹消で申し込むとよいでしょう。
一時抹消で申請したのち、見つからないままの状態であれば永久抹消へ切り替える方法も存在するため、状況に応じた申請を進めるとよさそうです。
【コラム】盗難車の発見確率は25%⁉
盗難にあった車の発見確率は4台に1台、およそ25%程度とされています。
日本損害保険協会による「自動車盗難事故実態調査」では、2020年度(第22回)のリサーチ結果で、車両本体の盗難により保険金が支払われたケースは158件にのぼったと公表されています。158件の内訳をチェックすると、車両が見つからなかったのは120件、車両が発見されたのは38件です。
これらの数値から考えても、4台に3台は盗まれたら手元に帰ってこないかもしれないと肝に銘じるべきかもしれません。
車を盗難する手口は?

車を盗難する方法は3つに分類されます。
直接車両へ侵入し危害を加えるものから、車に備わっている機能をあえて犯罪の方向へ利用して盗難に繋げる方法も取り入れられているため、車の所有者は注意しなければなりません。
車内へ直接侵入して盗む
1つ目の盗難手段が「車内へ直接侵入する」方法です。
コンビニエンスストアなどお店の駐車場に停めていたり、路上駐車をしていたりする車で、エンジンをかけっぱなしにしている、あるいは施錠がされていない車がターゲットとなります。
所有者もしくは使用者が車両から離れたタイミングでそのまま接近し、車内へ侵入して持ち逃げするのが基本となりますが、手口はそれだけにとどまりません。
施錠がされていても窓ガラスや鍵を破壊したり、あるいは窓の隙間から針金などを利用してロックを解除したりするなど、荒業を使って車内に侵入するケースもあるようです。
イモビカッターを使用して盗む
2つ目の盗難手段が「イモビカッターを使用する」方法です。
イモビカッターとは、車のイモビライザー(自動車盗難防止システム)の機能を無効にする装置。元々は自動車整備業や合鍵を作製する際に使用していた道具でしたが、車を盗難するために悪用されることが増えています。
イモビライザーのID識別をリセットさせるべく「イモビカッター」を使用して、エンジンをかけられるようにしてしまう方法も存在するそうです。本来、盗難防止で使用しているはずのイモビライザーが、かえって愛車を危険に晒しているかもしれません。
リレーアタックで盗む
3つ目の盗難手段が「リレーアタック」を利用した方法です。
近年の新型車に欠かせない装備となっている「スマートキー」を巧妙に利用しています。スマートキーが発する微弱な電波を犯人は増幅させる装置を使い、駐車スペースに止まっている車の鍵を開錠するというもの。
スマートキーの微弱な電波を犯人側は中継役と盗難役に分けてタスキリレーを行う流れとなっており、組織的な窃盗方法としても用いられています。
車の盗難を防ぐ方法

車の盗難に遭う前に、被害を受けないよう対策を進めるのも重要です。
車の盗難を防ぐ効果的な方法を3点ピックアップしました。
防犯グッズ・システムを使う
1つ目が、「防犯グッズ・システムを使う」方法です。
手頃な予算で入手できる防犯グッズは多く、誰でも気軽に取り入れられるのが魅力です。
ステアリングに装着する「ハンドルロック」をはじめ、リレーアタックを予防するスマートキー収納ケース、タイヤに括りつける「タイヤロック」など、破壊されるリスクもありますが抑止力を高めるには大切なアイテムです。
車の盗難防止装置を付ける
2つ目が、「車の盗難防止装置を付ける」方法です。
犯人の手口を解説した項目で、イモビライザーが逆に犯罪へ活用されると取り上げましたが、社外品のセキュリティ装置や危険時の警報システムを装着すると愛車の危機に気づきやすいでしょう。
駐車場に盗難対策をする
3つ目が、「駐車場に盗難対策をする」方法です。
特に、自宅の駐車スペースであれば、防犯カメラ(監視カメラ)を設置すると効果的でしょう。夜間でも映像が捉えられる赤外線レンズにより、いつでも車の状態を確認できます。
近年では、自宅にあるパソコンやスマートフォン・タブレットを使って、ライブ映像でチェックが可能。大手の警備会社により防犯サービスが提供されているため、信頼性の高い盗難対策を施せます。
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- 執筆者プロフィール
- 長谷川 優人
- 1990年生まれ。30代突入と同時期にライター業を開始。日常系アニメと車好き。現在所有はワゴンR(MH95S)。アニメ作品の聖地巡礼などで、各地へドライブに出かける。