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ノックダウン生産とライセンス生産の違いは?「三菱ジープ」などメリットも解説

輸出の主流になりつつあるライセンス生産

©pornsakamp /stock.adobe.com

自動車メーカーと輸出先国の関係をさらに進める方式が、ライセンス生産です。

その名の通り、メーカーが相手国の企業に製造する許可(ライセンス)を与えることです。その見返りとして、メーカーはライセンス料を受け取ります。

メーカーは自社の技術が漏洩・盗用されるリスクを背負いますが、その分、生産に関しての投資、コストをかけることなく、自社の製品を輸出できます。

相手国側の企業には、様々なメリットが生まれます。まず、自国よりも進んだ技術を得ることができるばかりか、部品製造も自国で行うため、さらなる雇用につながります。

また、ライセンス契約を結んでいれば、国家間の政治的な関係が悪化した場合でも、製品の安定供給が望めるというのもメリットです。ただし、製品を輸入する場合よりも、ライセンス料の影響でコストが高くなるケースもあります。

戦後の日本にとって重要な存在となった”三菱ジープ”

三菱 ジープ(1998年)

ノックダウン生産とライセンス生産は、段階的・断続的に行われるケースが少なくありません。

例えば、戦争によって産業が壊滅的だった日本ですが、朝鮮戦争の勃発によってアメリカの戦略的拠点となります。アメリカは自国で軍需品を生産するよりも、朝鮮半島に近い日本でノックダウン生産させた方がスピーディで安定した供給が可能と判断したのです。

そして、ノックダウン生産された軍需品のひとつが、20世紀最高の工業製品のひとつである「ジープ」です。米国はウイリス・オーバーランド社製のジープの部品を日本に送り、中日本重工業(現三菱重工業)で組み立てさせました。それが「CJ3A-J1」と呼ばれるモデルでした。

中日本工業は1953年に、ジープに関するライセンス契約をアメリカと結び、1956年に「J3B-J3」を完全国産化。本国の技術を学びながら、自国にあった製品化を進め、“三菱ジープ”として定着していきました。

この四輪駆動車の技術があったからこそ、後の「パジェロ」や「デリカ」、そして現在の「アウトランダーPHEV」に繋がったことは間違いありません。

このようにノックダウン生産やライセンス生産は、国家やメーカーの思惑が大きく影響することが多いのですが、生産国(輸出先)側には、産業の定着、発展といったメリットが多大にあるのです。

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執筆者プロフィール
山崎 友貴
山崎 友貴
1966年生まれ。四輪駆動車専門誌やRV雑誌編集部を経て、編集ブロダクションを設立。現在はSUV生活研究家として、SUVやキャンピングカーを使った新たなアウトドアライフや車中泊ライフなどを探求中。現在の愛車は...

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