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車の空走距離・制動距離・停止距離とは?意味の違い、計算方法を図解で紹介!
車の「空走距離」「制動距離」「停止距離」の違いを再確認。なめたらいけないのは空走距離!
【図解】車の空走距離・制動距離・停止距離とは?
まずは、語句の意味を表にまとめます。
空走距離 | ドライバーが「ブレーキを踏む」と意思決定(無意識の条件反射を含む)してから、ブレーキペダルを踏みはじめ、実際に効き始めるまでに車が空走する距離。 |
制動距離 | ブレーキが効き始めてから車が停止するまでの距離。 |
停止距離 | ドライバーが「ブレーキを踏む」と意思決定(無意識の条件反射を含む)してから、車が完全に停止するまで。 |
図解と合わせて語句の意味をご覧いただくと、その違いもおわかりいただけると思います。

それでは、それぞれの語句について掘り下げていきましょう。
空走距離は個人差に大きく依存する
空走距離は次の3つの時間的要素で構成されます。
- 【反射時間】ドライバーが「ブレーキを踏む」と意思決定(無意識の条件反射を含む) し、ブレーキペダルを踏む足の筋肉を動かし、
- 【踏み替え時間】アクセルペダルからブレーキペダルに踏み替える時間
- 【踏み込み時間】ブレーキペダルが踏まれてから、その踏力をブレーキまでに伝えて、ブレーキキャリパーなどの制動装置を作動させるまでの時間。
1については、ドライバーの年齢、運動神経、反射神経など、フィジカルな部分で時間が短くなったり長くなったりします。同じドライバーでも疲労の度合い、健康状態によっても変化します。
3については、車の設計や経年劣化、走行距離などのコンディションによる時間ですが、2より1の要素の方が占める割合が多くなります。つまり、個人差が大きく影響することになります。
空走時間は?
あくまで平均値となりますが、
約0.75秒
とされています。この秒数の間に時速60kmではおよそ22mも進みます。
制動距離は路面状況、タイヤの性能によって変わる
車が止まるには、タイヤと路面との間で生じる摩擦力が必要です。当たり前ですが、濡れた路面、凍った路面(アイスバーンなど)は滑りやすいため、止まりにくくなります。
この摩擦力は、タイヤの性能によっても変化します。摩擦力が高いタイヤ、すなわちグリップ力が高いタイヤは、制動距離を短くすることができます。(その反面、タイヤの寿命が短い、乗り心地が悪い、騒音が大きいなどのデメリットも多い)さらに、タイヤの摩耗状態も影響を与えます。
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車の「停止距離」計算方法と速度別一覧表
車の停止距離は、次の公式で計算すると求めることができます。
【車の速度(時速〇km)の2乗】÷【254×摩擦係数】
なぜ「254」なのかの解説すると、論文ほどの文章が必要となるようなので割愛します。高度な算式へ経て、254という係数にたどり着いたそうです。
摩擦係数とは?
摩擦係数とは、二つの物体の接触面に働く摩擦力と、接触面に垂直に作用する圧力(垂直抗力)との比のこと。なんのこっちゃわからないなら「モノとモノを擦り合わせたとき、めっちゃ擦りやすいモノが摩擦係数が低い、擦りやすいモノは摩擦係数が高い」とおぼえてください。
車を走行させるよくある場面での摩擦係数は以下の通り
- 乾いたアスファルト:0.7
- 濡れたアスファルト:0.45~0.6
- 圧雪路:0.15
- 凍結路:0.07
※乾いたアスファルトの10倍滑りやすいのが、凍結路という単純計算ではありません。実際のすべりやすさ度はもっと開きます。

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【速度別停止距離一覧表】実はこんなに空走していた
乾燥路(アスファルト)
時速 (km) | 空走距離 (m) | 制動距離 (m) | 停止距離 (m) |
20 | 6 | 2 | 8 |
40 | 11 | 9 | 20 |
60 | 17 | 20 | 37 |
80 | 22 | 36 | 58 |
100 | 28 | 56 | 84 |
120 | 33 | 81 | 114 |
濡れた路面(アスファルト)
時速 (km) | 空走距離 (m) | 制動距離 (m) | 停止距離 (m) |
20 | 6 | 3 | 9 |
40 | 11 | 13 | 24 |
60 | 17 | 28 | 45 |
80 | 22 | 50 | 72 |
100 | 28 | 79 | 107 |
120 | 33 | 113 | 146 |
思っていた以上に、空走距離が長いと感じませんか??
安全な車間距離とは?簡単に覚える方法

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安全な車間距離は、時速マイナス15mなどと言われていますが、わかりやすく「走行中の速度」と同じm数の車間距離を開けておくと安全です。
また、「2秒」の車間距離も安全とされています。前方を走る車が通過したポイントまで、最低2秒以上かかる車間距離を空けるという方法もあります。
さらに、車線や電信柱の間の距離も、車間距離を測る目安として活用できます。
高速道路の破線:20m(8mの実線と12mの空白)
一般道路の破線:10m (5mの実線と5mの空白)電信柱の間隔:約30m(場所のより違いあり)
それでは、安全運転で楽しいカーライフを!
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