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車の保安基準適合証と保安基準適合標章の違いとは|車検証の代わりになる?
目次
保安基準適合証、保安基準適合標章とは?
保安基準適合証と保安基準適合標章は、「指定工場」で車検を受けた際、同じタイミングで発行・公布される証明書類です。
保安基準適合証と保安基準適合標章は使用用途が異なり、指定工場で以下のように扱われています。
- 保安基準適合証=車検を受けた証明となり、運輸支局に提出するための書類
- 保安基準適合標章=車検証が正式に発行され、ユーザーが受け取るまでの間に車へ表示しなければならない書類
保安基準適合証と保安基準適合標章の違い
一般的に、保安基準適合証は、車検の書類手続きを行う人(=整備担当者など)が扱う書類であるため、車検を受けた車のユーザーはほとんど見る機会がないでしょう。
しかし、保安基準適合標章は、車検終了直後から新しい車検証が届くまでの間、公道を走行するために必要になります。フロントガラスに貼られたことがあるという人もいるかもしれません。
保安基準適合証とは?
保安基準適合証は、車検を受けた車が保安基準(道路運送車両法)に対応した証明となる書類です。
国土交通省が管轄している「運輸支局」から認定を受けた「指定自動車整備事業者(指定工場)」が発行・交付します。指定工場の自動車検査員が作成・交付を担当するため、車検を依頼したユーザーは作成書類を目にする機会が少ない書類です。
指定工場は全国各地にある運輸支局の車検場に車を持ち込まなくても車検を受けることができる施設です。「自動車分解整備事業者」の資格をもち、優秀な設備・技術をもつ工場が運輸支局より指定工場へ認定されます。
指定工場で車検を受けた後、自動車検査員が車検内容を記入した書類を作成し、15日以内に運輸支局に書類を提出します。運輸支局に提出した書類が認可されたら、書面だけで車検証の発行が可能です。
保安基準適合証が交付される車
保安基準適合証が交付される対象は、以下に該当する車です。
- 継続検査を受けた車
- 中古車新規検査で「構造等に関する事項に変更がない」車
- 中古車予備検査で「構造等に関する事項に変更がない」車
今まで継続して乗り続けてきた車を継続して使うため、あるいはナンバー登録がされていない車を再登録するために検査を受けた車が対象となります。
書類の有効期限は15日間で、運輸支局への提出が遅れると、無効になります。指定工場は運輸支局への持ち込み、もしくは車検をやり直すなどの対応をして再び保安基準適合証を交付することとなります。
保安基準適合標章とは?
保安基準適合標章は、車検終了後から車検証および「検査標章」が手元に届くまでの間、検査を受けた証明としてフロントガラスに表示しなければならない証明書です。
指定工場は、保安基準適合標章を保安基準適合証と同時に作成し、車検が終了した車に貼り付けます。有効期限は15日間と決まっていて、期限内に検査標章と引き換えで貼り替えなければなりません。
車は、道路運送車両法の第66条で以下の法律が定められているため、検査標章が手元にない状態で行動を走らせる際は、保安基準適合標章を貼り付ける義務があります。
また、同法第109条の9によれば、保安基準適合標章が貼り付けられていない状態で車を使用すると、50万円以下の罰金が課せられる可能性があるため、注意しましょう。
車検終了後に発行される四角いステッカーは「検査標章」
検査標章は、車検証と合わせて保安基準に対応した車とわかる証明書です。
四角いステッカーの形をしており、車に装着されているフロントガラスの内側で、上部に貼り付けなければなりません。貼り付ける位置は備え付けているルームミラー付近、もしくは運転席からもっとも離れている場所となっています。
ステッカー表面に書かれている数字は車検証の有効期限です。
車検証と同じ年月が表示されており、ひと目で大まかな有限期限の確認が可能です。表示される例として「5・8」となっていれば、令和5年8月に車検証の期限が満了するとの意味です。
同じく、裏面に書かれている内容は、車検証の有効期限が年月日まで詳しく書かれています。「令和5年8月31日」と書かれているのでひと目で詳しい有効期限がチェックできます。
指定工場が申請した保安基準適合証が運輸支局で認可されると、車検証と合わせてユーザーのもとに送られる流れです。車検終了後から貼り付けていた保安基準適合標章をはがし、検査標章と貼り替えることで公道を走れるようになります。
保安基準適合証と保安基準適合標章があれば車検証はいらない?
残念ながら、保安基準適合証と保安基準適合標章は車検証および検査標章の代わりとなりません。
保安基準適合証と保安基準適合標章が適用される有効期限は15日間です。あくまで、車検証と検査標章が発行され、ユーザーの手元に届くまでの「仮証明書」となります。
車検証と検査標章が手元に届いたら、貼り付けていた保安基準適合標章をはがして検査標章を貼り付け、車検証は点検記録簿に挟むなど車内に常備しましょう。
なお、車検証や検査標章は道路運送車両法66条で定められている「自動車検査証の常備と検査標章の表示」に従い、車内で保管および表示をする義務があります。違反をすると、道路運送車両法109条9項で定められている50万円以下の罰金を課せられる可能性があるため、注意しましょう。
保安基準適合証と保安基準適合標章は期限に注意
保安基準適合証と保安基準適合標章を発行・交付できる指定工場での車検は、ユーザーが貴重な時間を使わずに車を乗り続けられるメリットがあります。
車の整備から運輸支局まで車を持ち込む手順を指定工場がすべて代行してくれるため、ユーザーは手間をかけずに簡単に車を所有することが可能です。
ただし、指定工場の自動車検査員が作成した保安基準適合証の書類と保安基準適合標章は有効期限が15日間と決まっています。特に、保安基準適合標章はユーザーが管理するため、期限が切れた状態の標章を貼り付けたまま公道を走らないように気をつけなければなりません。
車検証が届いたら早めに車内へ保管し、同じく検査標章は車のフロントガラスに貼り付けるようにしましょう。
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- 執筆者プロフィール
- 長谷川 優人
- 1990年生まれ。30代突入と同時期にライター業を開始。日常系アニメと車好き。現在所有はワゴンR(MH95S)。アニメ作品の聖地巡礼などで、各地へドライブに出かける。
- 監修者プロフィール
- 鈴木 ケンイチ
- 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレー...