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今や「なくても困らない高額オプション」?車のサンルーフ、純正採用車種が減っている納得の理由
サンルーフはなくても困らない?
サンルーフとは、車の屋根に取り付けられた開閉可能な天窓のことです。サンルーフがあれば、サイドウインドウを開けずに換気ができたり、よりたくさんの光を取り込むことができます。そして何より、開けたときの開放感を満喫できます。
筆者はかつて、車を購入する際、サンルーフのある車を積極的に選んでいました。しかし最近は、サンルーフが取り付けられている車が少なくなっているようです。
国産自動車メーカーの販売担当者はこう話します。
「最近は、サンルーフを選択できる車種が昔よりもかなり少なくなっています。かつてはサンルーフの設定があった車種でも、マイナーチェンジやフルモデルチェンジを行った際に選択できなくなっている(オプション装備品の廃止)ことがよくあります」
なぜ、サンルーフは減少傾向にあるのでしょうか?
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今やサンルーフは「不要な高額オプション」
サンルーフが減少している理由のひとつは、価格の高さです。筆者の調べたところでは、国産車、外車問わず、サンルーフをオプション装備品として設定している車種を複数確認できたものの、いずれも価格は10万円以上とオプション品としては高額です。
ルーフ部分から採光できるのは魅力的ですが、換気を目的とするのであればサイドウインドウを開ければ可能ですから、サンルーフはなくても困らない高額オプションとも言えるわけです。現代の車選びにおいては、高額なオプションであるサンルーフは不要と考える人が多数派になってきているということなのでしょう。
筆者は、トヨタ チェイサー、三菱 デリカ スターボックス、三菱 レグナム VR-4を購入するときサンルーフを取り付けました。かなり昔のことなので、正確な金額は覚えていませんが、いずれもオプション装備品として少なくても10万円以上はかかっていたかと思います。
それでもあまり使用する頻度は高くなく、今思えば見た目だけで選んでいたのかもしれません。
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サンルーフが高額になってしまう理由とは?
さらにサンルーフの現状について、前出の販売担当者はこう話してくれました。
「サンルーフを取り付ける車は、強度を高める必要があります。サンルーフは後付けも難しく、製造段階で取り付けるためのコストがかかるため、車体そのものの車両本体価格の上昇につながってしまうのです。」
車のボディ形状でいえば、ミニバンなどの室内空間の広い車種は、必ずといっていいほどサンルーフの取り付けが可能でした。しかし、2022年5月に発売されたホンダ ステップワゴンや、同年12月に発売された日産 セレナはともにサンルーフのオプション設定がありません。
こうした点について、前述の担当者は次のように話します。
「サンルーフは、取り付けて終わりという単純な装備品ではなく、車体構造そのものに影響を及ぼすオプション品です。そのため、コストや需要の観点から、廃止するというのはやむを得ないと思います。
当社でも、サンルーフを希望されるお客様はかなり少なくなっています。サンルーフのオプション設定がある車種でも、購入費用を抑えたいとの理由で、取り付けしないお客様が増えています。」
さらに、サンルーフを取り付けると新車の納期が伸びてしまうこともあります。
「例えば、当社で販売している、サンルーフを取り付けできる車の場合、サンルーフのない車では納車まで4ヶ月ほどかかりますが、サンルーフを付けると、さらに4~5ヶ月ほどかかってしまうことも過去にありました。そのため、サンルーフの取り付けをあきらめるお客様もいます。」
なお、サンルーフの後付けは可能なのか調べたところ、国内の正規自動車メーカーではほぼNGでした。
また、起震車などの特装車の製作を手掛ける民間業者に聞いたところ、「車種によっては対応可能な場合はあります。純正部品が存在していれば取り寄せて取り付けられますが、純正部品がなければかなり難しいでしょう。車種ごとに個別の見積もりなので、一概に価格は言えませんが。」という回答でした。
サンルーフの後付けを専門に行っている会社では、10~20万円前後で取り付けられることもあるようですが、純正サンルーフオプション価格とほぼ同じと考えると、後付けするメリットは少ないかもしれません。
サンルーフ装着車のリセールはどう?
高額なオプションのサンルーフですが、リセール時にメリットはあるのでしょうか?
比較的年式が新しい車種の場合、同じ年式、ほぼ同じ走行距離でも、純正サンルーフ付きの方が高値で販売されています。例えば、ホンダ アコードやトヨタ ハリアーなどは数万円から20万円前後高く売られています。
純正のサンルーフが付いていると、リセールバリューは良くなる傾向にあるようです。
ただし、古い車種の場合は、サンルーフの有無はあまり影響がないと思われます。筆者がかつて所有していたトヨタ チェイサーには純正サンルーフが付いていましたが、2023年の中古車市場では数万円の差しかありませんでした。
一方、中古車買取業を営む自動車販売会社社長に話を聞いたところ、純正品ではないサンルーフを取り付けた車種のリセールはさほどよくないとのこと。
「以前、サンルーフを後付けしたジムニーを買い取った経験がありますが、買取価格はサンルーフのない車の買い取り相場とあまり変わらない値付けをしました」
純正品ではないサンルーフの場合、その後のメンテナンスなどに不安があり、毛嫌いしている人も少なくないといいます。もちろん、取り付け業者のメンテナンスを受けることはできますが、近くに取り付け業者の会社がなければ、遠方に出向く必要があり、かなりの手間となります。
サンルーフ付きの車は、一度乗るとその開放感にやみつきになる人が多いはず。サンルーフ付きの車に乗りたいのなら、純正品としてサンルーフを選択できる車種を検討するか、中古車の購入も視野に入れて車を探すことをおすすめします。
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- 執筆者プロフィール
- 室井大和
- 1982年生まれ。ライター歴6年、自動車業界9年。合わせて約15年。雑誌編集、記者、指定自動車教習所員資格保有。愛車はスズキスイフトスポーツ(33型)、BMW323i(E90型)、ジムニー(JB23型)。車はセダンではじ...