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エンジンのデコンプとは?仕組みについても!振動軽減が目的?
目次
エンジンのデコンプって何?
デコンプとは、デコンプレッションの略で、圧力を抜く事によってエンジンの始動性向上や始動時の振動を軽減する事です。
自動車やバイクに搭載されているレシプロエンジンはピストンの往復運動によりエネルギーを得ていますが、排気量が大きいほど大きな力がかかり、振動や始動時に必要な力が大きくなります。
そのため、バルブの調整で圧力を逃がしてやり、エンジンの始動をしやすくしたり、振動を軽くしたりする機構がデコンプレッションです。
レシプロエンジンに関する情報はこちらの記事
車やバイクのエンジンに備わっているデコンプ機構
このデコンプレッションはバイクや自動車などのエンジンに組み込まれていますが、バイクの場合はキック時にエンジン始動をしやすくするのが主な目的です。
レシプロエンジンはピストン運動によりエネルギーを取り出しますが、このピストンの動きの内で、ピストン運動を最も妨げる位置が上死点と呼ばれます。
バイクのエンジンをかける時は、ピストンの位置がこの上死点を過ぎてからキックすると始動しやすくなりますが、ピストンが上死点付近に位置している時は燃焼室の容積が最も小さくなるため内圧が高まっており、始動に大きな力が必要になります。
そこで、キックでの始動をしやすくするためにデコンプ機構により圧力を抜いてやるのです。
自動車の場合は、主にハイブリッド車やアイドリングストップ車で頻繁にエンジンを再始動する際、不快な振動を軽減するためなどにデコンプ機構が設けられています。
最近の自動車に乗っている方ならハイブリッド車やアイドリングストップ車は身近なものかと思います。デコンプレッション機構は、これらの車に乗っている方は日常的にお世話になっている機構と言えます。
昔のディーゼルエンジンに備わっていたデコンプ機構
また、ディーゼルエンジンの場合はセルモーターの負荷を軽減するためや、エンジンを停止させるためにデコンプ機構が用いられる事がありました。
昔のディーゼルエンジンはエンジンキーをオフにしてもすぐには停止しませんでした。ガソリンエンジンはキーをオフにすれば電流が遮断されて点火プラグの火花が散らず、燃料が燃焼しなくなり、エンジンが止まります。
しかしディーゼルエンジンはガソリンエンジンのような電気制御の点火プラグを持たないため、すぐには停止しなかったのです。エンジン停止の方法の一つとして、デコンプ機構を用いて圧縮された力を開放してやる事で停止させるというものがありました。
昔はトラックなどにデコンプレバーが付いており、これを上げ下げする事でエンジンを始動させたり停止させたりしていましたが、現在では技術も進歩し、キーを回して電子制御により燃料供給を停止させるだけでエンジンを停止させる事ができます。
耕運機のディーゼルエンジンのデコンプレバー始動動画
- 執筆者プロフィール
- MOBY編集部
- 新型車予想や車選びのお役立ち記事、車や免許にまつわる豆知識、カーライフの困りごとを解決する方法など、自動車に関する様々な情報を発信。普段クルマは乗るだけ・使うだけのユーザーや、あまりクルマに興味が...
- 監修者プロフィール
- 鈴木 ケンイチ
- 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレー...